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カテゴリ:投資一般
仮免許から若葉マークになった総理大臣は、早速法人税の5%カットを指示したそうです。 経団連は歓迎の意を表したそうです(当然ですね)。 しかし、そもそも消費税の5%増税を示唆しながら民主党党首選に臨んだのに、どうして法人税5%減になったのか、まったくもって酔っ払い運転のような政治思想です。 それはさておき、法人税を減税したら投資して雇用が増えるというロジックはずっと腑に落ちない点がありました。 考えられるシナリオとしては、 法人税減 → 内部留保が増える → CFも増える → 投資余力が増える → 設備投資する → 雇用が拡大する ということなのでしょう。 利益やCFを活用できる自由度が増す、ということでしょう。 したがって経団連は喜びます。 しかし、腑に落ちなかったのは、企業が投資を増やすのは、手元資金があるからでしょうか? 私はずっと考えて、「そんなことはないはずだ」 という結論に至っています。 それには「十分な投資リターンが見込める」という蓋然性が経営者には必要なのではないでしょうか? アメリカにおいても日本においても、企業の手元現預金の比率は高くなっていると言われます。キヤノンでは、8000億円相当の現預金がありますし、トヨタでも2兆円の現預金を保有しています。 キヤノンは大分(御手洗さんの地元)で多少設備投資すると発表しましたが、トヨタは「車も地産地消」が一番だ、と言って国内投資に消極的になってしまいました(国内の自動車販売台数は年々じり貧)。 アメリカ企業もキャッシュは積み上がっています(もっともグローバル展開していると、海外現地法人の口座に積んであって国内還流しにくいというのもある)。投資先のシスコシステムズは年商400億ドルに対し、手元現預金も同額です。 一方、日本、アメリカ、欧州他バブル経済が象徴したように、人間は将来への見通しがある程度明るい希望を持てれば、個人でも法人でも、積極的に借金して投資しています。 金融機関も将来見通しがある程度明るければ、審査基準は緩和してきます。 したがって、手元にお金があるか否かは投資の意思決定の最大の要因にはならないのではないでしょうか? 減税したら雇用を増やせとか、雇用を増やさないのなら、留保課税をするぞ、とか言うのは本末転倒な議論だと思います。 経営者と労働組合にサービスしたのだと思いますが、短絡的な発想としか思えません。 私は、あまり好きではありませんが、財務省が実質減税反対、と言っているのは、減税しても投資や消費に結びつかず、貯蓄に回る割合が高くなることを危惧して言っているのだと考えています。日銀のデフレ対策の意見も概ね、「政策と連動する」と言っているのは正論だと思います。 官僚が抵抗勢力の様に描かれますが、彼らがもっとも財政を危惧しているのだと思います(財政破綻すると、財務省が一番困る)。 Big Pictureがなく、小手先だけで何かを変えて財源確保もできず、消費税を20%にする、とかいう形にならないよう配慮願いたいものです(サラリーマン増税も止めてほしい)。 供給を維持するのなら、需要を増大させる方法を(これが日本国民の最大公約数だと思いますが、子ども手当他のチグハグな議論や移民に対する嫌悪感などで人口増加への道筋が立たない)、 需要が伸びないのなら(短中期的にはこちら)、供給を絞る(業界再編・行政改革をもっと促す。しかし、たくさんの血を見るので、抵抗勢力が大きい)かのどちらかだと思います。 外部環境を見ても、1ドル120円なんて望むべくもありませんので、内需を拡大できれば、日本は必然的に恩恵を受けられる立場にあるはずです(しかし、これも早く手をつけなければ、コモディティの価格が円高以上に値上がっていくので、実質購買力が低下する羽目になる)。 したがって、企業の海外流出阻止とか、外資を呼び込むとかも、税率以前に、日本国内が投資対象として魅力的であるか、が視点になります。 需要がない、規制が多い、そのくせ円高でコストが割高、なぜか鎖国したがる世論、ということだと意味がありません(いいですか、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーが日本拠点を法人化したのはつい4~5年前ですぞ。税率ではなく当時の日本の可能性や景況感でした)。 選挙受けする政策と思っているのでしょうが、足元の地方選では大敗しているのに・・・。 政治家になる条件として、「学科試験」も設けたらどうでしょう?選挙だけうまいのはダメ! 小沢問題なんて4億円程度のみみっちい問題に「わき見運転」するのなんかほうっておいて、いったん停止して、日本のBig Pictureを真剣に議論してほしいなあ。
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