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元・経営コンサルタントの投資日記

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2011/04/23
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カテゴリ:投資一般

なぜ配当株はよいのかについて

 

端的に言えば、うまく経営されている(可能性が高い)から、です。

 

配当というのは、一般投資家から見た場合、投資の果実です。これが増えるというのは経営が順調である証左であると考えられます。

 

企業の取締役会で増配の決議(日本の場合は最後は株主総会で承認され)があった場合というのは、経営陣が事業の将来見通しに対し、ポジティブであるというメッセージにほかなりません。

投資家から見れば、果実が増えると同時に、経営の状態に信頼が増すことに繋がります。

 

増配するためには利益が増えている必要性がありますが(配当性向は一定のレンジ内である必要性がある)、同時にキャッシュフローが増えていなければなりません。利益とCFの一体性が必要です。

万が一、粉飾決算されている疑惑があれば、CFが増えていない可能性もあります。多くの粉飾はBSを分析することで(後付けで)判明することがありますが、配当は現金が必要であり、こういった疑念を最小限にしてくれます。「Show me the Money」といわれています。

 

利益やCFを増やすために経営陣が行うことは

 

PL面では

売上高を増やす

利益率を増やす

 

BS面では

資産効率を高める

 

とざっくり言えると思います(言ってしまえば非常に簡単ですが、実行するのは難しい)。

 

売上高を増やすためには、アンゾフの成長戦略を基本に考えれば、

既存製品を既存市場でより広く売り込むか新興国等で拡販する(市場浸透戦略、新市場拡大戦略)

新しいニーズをつかんで新商品を開発する(新商品戦略:新製品を既存市場で拡販する)

上記でもうまくいかない場合、あるいはもっと近道があるばあい、M&Aなどで達成する(新製品を既存市場や新市場で販売する)

などが考えられます。今ホットなのは新興国向け新市場拡大戦略。スマホは新商品戦略。キリンが豪州の会社を買収するようなものは、多角化戦略(新商品・新市場を獲得)って感じでしょうか。

 

従いまして、毎期増収増益を実行するためには、既存ビジネスのみでは限界にぶち当たりますので、勢いM&Aという選択肢が出てきます。

M&Aは親和性・シナジーや財務バランスも視野に入れて戦略的に行わなければなりません。たまたま売りに出ていた会社があるから買収する、では限界が出てきます。戦略的なM&Aを繰り返すことで、連続増収増益が達成できます。

 

利益率を増やす

これには2つの側面があると思います。無駄を省いて筋肉質にすると言う点と、規模を大きくし、原材料等の購買力を高めたり、固定費率を下げ、規模の経済を得ることで利益率を改善すると言う方向性です。 

景気が下火になると前者、上向きのときは後者を経営者は考えやすいですね。最近は景気がよくとも悪くとも、徹底した省力化で先進国企業のコスト体質は万全になっています。 

投資家から見た場合、どちらの努力でも基本的にはWelcomeなのですが、後者の方が(なんとなく)相対的に安心感が持てます。 

 

例えば、ユニチャームの連結売上高は約3500億円です。同社は紙おむつでは、東南アジア等でも高いシェアを誇る優良企業で、評価も高い企業であることは承知しております。

しかしながら、P&Gのナンバーワンブランドで紙おむつのパンパースは、そのブランドだけで世界売上高90億ドル(約7500億円)とユニチャームの連結売上高の倍近い規模を誇っています(P&Gの連結売上高は約7兆円)。

当然材料などのバイイングパワーや広告宣伝費の威力(売上高対広告宣伝費率が同じならば、広告宣伝費の絶対額はP&Gはバカでかい)が違います(最近アフリカのナイジェリアの赤ちゃんにパンパースを試供してもらうというVTRを見た)。

ちなみに、ユニチャームの営業利益率は12.6%(日本企業ならVery Good)でP&Gの同比率は20.3%(Operating Income ÷ Revenue)です。

上記の2社は日本や東アジアで激しくシェア争いを演じていますが、仮にまともにぶつかるとユニチャームは不利であることがご理解頂けるでしょう(戦前の日本はまともにアメリカに戦争を仕掛けましたね)

 

 

資産効率をよくする

これはCF改善の観点であり、例えばサプライチェーンを改善して運転資金を少なくすると言うことが考えられます。

持ち合い株をやめる、ノンコア事業をやめる(亀のようなスピードですが、日本企業でも進行していますね。アメリカ等だと投資家から袋たたきにあって、やらざるを得ないといった感じになる。シスコシステムズでも現在ノンコア事業の清算中です)

また、自社株買いを行い、純資産の水膨れを抑える(BSを小さくする)ということも考えられます。自社株買いを行えば、配当金の対象となる株式数も減少するので、毎年増配しても、配当金総額はセーブできます。

 

利益率を改善し、資産効率をよくしていけば、必然的にROEは上昇するのではないでしょうか?

 

また、こういったことを長期間達成し続けるためには、不得意なことは他人に任せ、自らは得意分野に特化する(コアコンピタンス経営とか言われますね)ことが重要でしょう。 バフェッとの言う「濠」 のある企業の特徴かもしれません。

 

したがって、頻繁に増配する株は、経営がうまくされている可能性が高いと思われます。うまく経営できているから結果として増配できるのです。そしてそのような企業の株の売却を考える必要性は小さくなります。

  

 

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Last updated  2011/04/23 11:28:03 AM
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