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元・経営コンサルタントの投資日記

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2011/05/20
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カテゴリ:政治

原発損害賠償問題に向けた基本スキームが政府から発表されました。

色々議論された後なので、新鮮味がない記事かもしれません。

 

要するに銀行が債権放棄しなければ、政府は税金投入に応じないという銀行道連れ議論と、株主責任に直接言及しない点(社債権者もしかり)という資本市場無責任議論です。

 

最初はヒドイ。と思いました(今でも思っていますが...。)。

 

社債権者は電気事業法とかいうマイナーな法律で優先弁済が受けられるらしい(だったら担保取るなよって思いましたが)。

 

要するに私的整理しろ、と内閣からの命令だ、というのがシンプルなメッセージだと思います。

 

法的整理は損害賠償請求権が無担保一般債権化されて、法的にカットの余地が大きくなると言う点は、法的にはその通りです。

従業員やOBの退職年金は優先債権なので、東京電力側が応じにくいのも法的にはその通りです。

 

したがって、現実問題として、「機構」が産業再生機構と同様の役割を担って、エダマメ官房長官の代わりとして、経済界の袋たたきになって、金融機関から債務免除を取り付けるというのが落としどころかなあ、と勝手に思っています。

その中で、100%減資という可能性が出てくるというならすんなりいきます。現状の上場維持スタイルを持っても監査法人がそもそも将来の東京電力を「ゴーイングコンサーン」と看做せるのかも疑問(将来の東電は当面、「賠償金支払いマシーン」であると言っているようなもの。これを投資家保護の観点でどのように扱うのだろう?)。

 

そもそも原子力発電の損害賠償請求が全部でいくらになるのかを確定する作業って何年かかるのだろう? これって裁判になるんでしょうから、東京電力側だって、「それは違う」という「権利」はあるでしょうね(多分。東電が言わなくても、こうなっては銀行がいいそうですね)。

 

何でもかんでも賠償請求されないように見張る仕事って、相当辛そうですが、つけ込む輩がいないとも限らない(政府にも避難勧告の範囲等で周辺住民を迷走させた責任もあるでしょう。それも東電の責任?)。

 

これが確定しないと、銀行もなぜ債権カットするのか、いくら債権カットすれば合理的かという説得が株主・金融庁にできない。

 

なぜカットする必要性があるのか

なぜなら、銀行がカットしなければ、政府は資金を東京電力に投入しないと言っていますので、銀行は「知らんぷり」を決め込めば、東京電力は経営破たんを免れません。

東電が経営破たんすれば、自らの貸付金は回収余地が激減してしまいます(無担保部分は数%程度しか回収できないはず)。

したがって、政府の言う通り、一部の貸付金を債権放棄に応じざるを得ないというエダマメ官房長官の読みでしょう。

 

しかし、いくら債権カットに応じればいいのか、という点については、上述の通り決まりません(政府もいくらでも対応する、と言っているが、範囲を決めてほしいよな)。

 

一方、東電と金融機関が債務免除を拒否し続けると、税金が投入できないというロジックになってしまい、その場合、東電は破綻の道を歩み、政府は非難のそしりを免れない。

 

にらみ合いが続くと、一時避難されている地域住民の方がもっとも悲しむ結果となるがそのきっかけを、エダマメ氏は与えかねず、人気取り政策で墓穴を掘るというあほな民主党が決定的となりかねない。 

 

この発言はひどいなあ。

枝野氏は閣議後の会見で、震災前の東電への融資に関して「原発事故のリスクというものも広い意味では、当然のことながら考慮に入れて融資がなされるというのがマーケットの基本だ」と指摘。http://bit.ly/juyTJk

 

政府はこれまで原発については安全発言を繰り返していたはず。

これじゃあ、銀行は他の電力会社への融資にも非常に神経質にならざるをえません。

東京電力への融資の問題というレベルではなく、広く銀行の融資方針にかかわる問題です。

 

個人的には、電力会社への融資でここまで神経質になるのだったら、いわゆる中小企業融資なんて1件も出来なくなる、という風にも思えます。

 

政府は「マーケットの基本」を都合のいい時だけ振りかざし、貸し渋り・貸しはがし議論になると「マーケットの基本」を度外視した対応を銀行に迫る

 

被災地の企業への支援融資枠組みで、金融機関に協力を求めなければならないのは必定だ。 

 

マーケットの「マ」の字も理解していないと思われる民主党から「マーケットの基本」発言が出て、びっくり。(マーケット出身者も党内にはいますが)

 

震災以降に融資した分については別枠だ、とか言っていますが、これも議論が無茶苦茶で、目先のモグラたたきだけをやっていて、処理への原理原則というものが見えませんね(別枠か否かも私的整理の枠組みで決まるはずですよねえー)。

 

また、「官民一体」のエネルギー政策だったにもかかわらず、対外的な悪役を全て東京電力に押し付けた、官僚のトカゲのしっぽ切りもひどいなあ。

 

東京電力も、なかなか当事者意識が見いだせませんので、言いにくいのですが、これじゃあ、一般従業員の方も将来の勤務がほぼ全て原発保障の「罪滅ぼし」となってしまう。彼らが今後とも、しっかり働ける前提も確保してあげないと、結局国民の利益にならない。

ヤル気なくされると困るのはこっちだ。

(経営破たんすると、破綻後は再生の道を歩むが、今回は??? やっぱり罪滅ぼししか残らない)

 

電気料金値上げでこっちが負担する話が出てこないけど、人気取り政策で墓穴を掘るいつものパターンだろう。値上げには個人的には応じなければならないと思っていますが、出てきませんねえ、特に政治家からは。

 

今回の震災関連で、全般的に、国民は事実を正確に知る権利があって、そのうえで現実的な対処をすべき必要性があれば、いつでもその負担に応じる覚悟はあると思いますが、人気取りを優先したいのか、官僚の過去の政策批判を免れることだけを優先したいのか、この国の指導者たちにはあきれてしまいます。

 

国家公務員給与の1割カットも自衛官だけ特別といい、大きく墓穴を掘りました。どの省庁でも、震災関連対策で色々手続き上の対応をせわしなくやった人は例外なく存在すると思います。確かに今回の自衛官の活躍は特筆ものですが、そんなもの1割カットの議論の前からわかっていることで、「菅覚」 でモノ言ってますな。

 

物事に対処する時の原理原則、「ポリシー」がありません。政治って英語でPoliticsとか言いますね(元々はギリシアとかラテン語語源だろう)。あいつら本当に政治家か?その瞬間のウケ狙いだけ。

 

絶対のぜーったいに、もう投票しない。






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Last updated  2011/05/20 02:18:43 AM
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