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カテゴリ:なぜに私は京都に来たの?
「海の日」って7月の第三月曜日だったんですね。
7/20と思ってました。今日まで。 平成15年からだっていうから、もうずいぶんたつなぁ~。 じゃあ「海の日」記念のせつないお話です。 京都・丹後に琴引浜というキレイな海岸がある。 真っ白な砂で、歩くと「キュッキュッ」と音がする。 「鳴り砂」とか「鳴き砂」と呼んでいる。 その砂の上を歩くと「鳴る」のだから 「鳴り砂」の方が正しいような気もするが ロマンチックオナニストのボクは「鳴き砂」の方が好きだ。 いつか、この海岸に一緒にいこうといっていた Aとの約束は、ついに果たせなかった。 「琴引浜って知ってる?」 「ううん。でもキレイな名前ね」 「うん。真っ白の砂の海岸だよ」 「へえ。そうなんだ」 「行くなら、泳ぐにはちょっと早い時期か、もう遅い秋口がいいかな?」 「あまり人がいないからネ。」 「そう。二人であの浜を独占できるし、鳴き砂もよく聞こえる」 「そうなんだ。いつか一緒にいってみたいね。でも無理だろうな」 「・・・無理じゃないよ」 Aはシャンパングラスを傾け、それを空にして言った。 「そう?ふふ。じゃあ楽しみにしてるネ」 その年の秋、Aは結婚する事になった。 ボクじゃない他の知らない男と。 最後の贈り物を考えた。 そうだ!二人でいこうと約束していた海岸の「砂」と「風」を送ろう。 ボクは海岸に一人で車を走らせた。 「砂」と「風」を入れる小瓶をまずは用意しようと思った。 道路沿いにあった、小さな文房具屋に入り、聞いてみた。 「あのー、ガラスの小瓶ありますか? コルクのふただと、なおいいんですけど・・・」 すると太い黒ぶちのメガネの小太りの店主はこういった。 「うちには、ないなぁ~。なんに使うの?」 これは意外な切り返しだった。「なんに使うの?」とは・・・。 「嫁いでいく元恋人に、一緒にいこうと約束していた 海岸の砂と風を小瓶につめて、最後の贈り物にしたいんです」 これが正解なのだが、太い黒ぶちのメガネの小太りの店主に 正直にいう必要は全くないだろうし、 勿論恥ずかしくって言えないし、言ったらきっと「プッ」と 太い黒ぶちのメガネの小太りの店主は笑うだろう。 もしボクがキムタクなら、その理由を正直にいってもいいのかもしれない。 太い黒ぶちのメガネの小太りの店主も「わかりました」と一言だけいって 奥の在庫棚を必死に調べて「あった~!」というパターンなのだろうが。 でも現実は違うのである。 ボクはとっさにこういった。 「琴引浜にいくんですが、少し砂をもらってこようと思いまして」 まんざら嘘ではない。というか全く嘘ではなく、ホントの話だ。 大分、省略はしているが・・・あと「風」は省略したが・・・。 すると、太い黒ぶちのメガネの小太りの店主は意外にも協力的に 「それやったら、これどうや」と、 味付け海苔の徳用のプラケース瓶を持って来てくれた。 「ちょっとごっついかもしれんけど、大は小を兼ねるしな」 といいながら、太い黒ぶちのメガネの小太りの店主は ボクにそれを手渡した。希望の品とは大分違う カッコ悪いものになってしまったが まあ、折角だから。。。太い黒ぶちのメガネの小太りの店主に聞いた。 「おいくらですか?」 「かまへん。かまへん。持っていき。ただちょっと他に使ってたから、洗って使いや」 「わかりました。ありがとうございいます!」 ボクは、太い黒ぶちのメガネの小太りの店主の太っ腹に感動しながら 目的地の海に車を走らせた。 海岸に着いたのは、もう夕暮れだった。 足洗い場の水道で、もらったプラケース瓶を洗い、砂を入れた。 (本当は、一緒に来たかったな)と思ったら ポロリと涙がこぼれた。そしてまた砂を瓶に詰めた。 (まるで甲子園で負けた高校球児のようだな) 笑いながら、もう一粒の涙は瓶に落ちた。 風上に向かって立ち、瓶の口からたくさんの風が入るように 瓶を両手で持ち上げた。 (シアワセになれよー!!) 映画やドラマなら絶対大きな声で叫ぶシーンだが ボクは心の中で何回も叫んだ。 用意していた短い手紙を瓶に入れた。 「約束していた海岸の砂と風です。約束守れなくてごめん。シアワセに」 ガムテープでしっかり巻いて、その日のうちにAに送った。 数日後、Aから手紙が届いた。 ひょっとしたら、ボクの最後の贈り物に感動して 結婚を辞めるなんて事になってたらどうしようなどど 一人ワクワクドキドキしながら、封を切った。 『ごんぞうさんらしい『最後の贈り物』でした。 行けなかった海岸の風を、胸一杯に味わおうと思い 深呼吸して、瓶に顔を近づけました。すると・・・ らっきょの匂いがしました。 ありがとう。。。』 そうか。なるほど。 太い黒ぶちのメガネの小太りの店主、他に使ってたって「らっきょ」だったんだ。 それで洗って使いやっていったのか?なるほど。 なるほどじゃないわ!ボケ! グダグダグッドラック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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