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2010.08.25
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クリームソーダの絵を描こうとしていて
レイコーの事を思い出しました。
レイコーとは関西弁でアイスコーヒーの事です。
アイスコーヒー → 冷たいコーヒー → 冷コーヒー → レイコー
たぶんですが、こういう事だと思います。
こちらに来てからは、全く聞かなくなりました。
この辺では喫茶店にはほとんど入りませんし
東京にいっても喫茶店にはまず入りません。
スターバックスはじめ、あの手の店に入ってしまいます。
聞かないのはそのせいもあるかもしれません。
意地っ張りなカンサイ人はこっちでもきっと「レイコー」って
わざと注文しているに決まってますから、ミルマスカラス。

抹茶ラテおいしいなぁー。



「レイコーひとつとレイコはアイスミティーな。
聞こえた?マスター。こっちミテイな」

なじみのサテン(注・喫茶店の略)で
毎回同じ、しょうもない注文をするダイスケに
マスターは勿論、レイコも食傷気味だった。

「なぁ。ダイスケ。うちな・・・」

「なんや? 真剣な話って。
世の中、真面目に考えなあかん事ってそんなにないやろ? 
また大層に考えとるんちゃうか?」

あまり口数の少ないレイコに対して、
ダイスケはいつも返事に3倍ほどの量の言葉を発していた。

「うん。そうなんやけど・・・。あのな」

「はよいいや。レイコはドンくさいから、
就職も出来へんのや。いつまで家事手伝いしてる気や」

レイコは心の中では長いセリフをつぶやいていた。

(そんなんゆうんやったら、ダイスケのお嫁さんにしてえな。
ダイスケかて絵本作家になる言うてて、全然行動に移さんくせに。
いっつもバイトでクタクタや言うて寝てるくせに・・・)

でも、面と向っては決して言えない、言ってはいけない事なのだろう。

「うちな・・・イコール(仮名)受かってしもた」

「はあああ? イコールってあの下着メーカーのイコール? ウソやろ? 
いつの間に受けたんや? 受けたのもゆうてへんやんけ!」

「6月に。大学の学生課から臨時採用の連絡があって。マオちゃんと一緒に受けた」

「マオ? マオも受かったんか? イコールなんてなんかコネないとあかんとちゃうんか? 
お前らほんまラッキーなやっちゃなぁー!」

レイコはそんな事しか言ってくれないダイスケが悲しくなった。

「うん。。。ラッキーやった。マオも」

「そうか。そんでなんや、真剣な話ってそれか? 
自慢したかったんやなぁー。はいはい。おめでとおめでと。おみやげおみやげ!」

マスターがレイコーとアイスミティ、それに注文を受けていない
チーズケーキを出しながら一言つぶやいた。

「おいわい・・・」

「ありがとう」

「おおきに。マスター。ワシの分まで悪いなぁー」

ケーキには手をつけずに、レイコはアイスミティを一口ゴクンと飲んでから話し始めた。

「そやし、ダイスケとあんまり会えへんようになる」

「なんやそれ。別れ話け? そらそうやわな。
イコール行ったら、エリート社員も一杯おるやろし、
ワシみたいのんとつき合うてられへんわな」

「そんなん言うてへん。ただ・・・」

「ワシはかまへんで。お前の好きなようにしたらええ。
なんやかんや言うても結局はお前は自分の好きなようにする、
やりたい事をやるって女や。ゆうだけ無駄やわ」

レイコは財布から千円札一枚取り出して
カウンターに静かに置いて、何も言わずに店を出て行った。

「ええの?」マスターが言った。

「ええよ。ケーキふたつ食えるやん。レイコの就職祝いはレイコーや」

「いつまで意地張ってんねん。いつになったら大人になれるんや?」

「マスター・・・大人って何や? 大人になるって何や?」

マスターはまた黙り込んでしまった。

そして、煙草に火をつけて、煙を天井に向けて細く吐いた。

その煙がどこかへ消えてしまうのを、二人で見届けるとマスターが言った。

「なんやろな。誰かの為に生きれるってこと?
あとひとつ・・・ウンコ外で漏らさん事ちゃう?」

そう言ってマスターはレコードに針を落した。

「サザンオールスターズの初めてのバラードや』


今朝の検量:前日よりプラス800g
(原因としましては、夜遅くまでの仕事で夜食におせんべい等食べた+寝不足だと思われますが、減る時は200gで増えるのは800gってどういう事?)

グッドラック。





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最終更新日  2010.08.25 17:12:51
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