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カテゴリ:仕事
我がサロンの講習会には2通りある。
1つはAVEDAから各方面の専門の先生に来てもらい(カラーとかカットとかスキンケアとか)、時には他のサロンの人達と合同で講習を受ける。 もう1つは、サロンのメンバー同士で教えあう。主にシニアスタイリストがジュニアスタイリストに各自が得意とする分野を教える。これは3週間おきのサロンの定休日にやっているのだが、本日がこの勉強会。 そして本日は権造先生の番であった。お題は『Texturing』。髪の量の調節やシャギーっぽく仕上げる技術について。 元々日本から発信されているこのスタイルアプローチ。 こっちでは全く習わないので、他のスタッフは興味津々であった。 10日ほど前からスタッフルームの黒板に告知してたんだが、真っ先に参加者欄に名前記入したのがジョージ。ウキウキと『いいよな!楽しみだよな~!!』と大声でふれ回る様子はやっぱりおっさんになった子供のようである。つられてジュニアスタイリスト全員が記名。シニアグループは来ないだろうなと思っていたらなんと妃殿下が記名してたのでビックリしつつプレッシャーを感じていたんだが、そんな先週末の土曜日。 朝、人数の確認をしていると合計7名。お~、丁度いいな、と思い仕事を始めた。昼飯を食べにスタッフルームに行ってみて、ふと気付くと『女王』と記入が。 う。。。。。。女王。。。。なんで来るんだ。。。。 プロの先生のクラスを過去にことごとくぶっ潰してるこの女王。AVEDAから派遣されてくるカラーの先生はリチャードというんだが、このリチャードが過去の被害件数が最も多い。 『こういう発色にしたい場合、○○(色素名)を何グラム、△△を何グラム、という方法もある。』←リチャード秘蔵のフォーミュラ(配合法) 『へぇ~~~~。』←講習参加者、感心 『アラ、ワタクシは賛成できないわ。ワタクシの経験からするとそれじゃダメね。』←女王、ぶった切り リチャード、オトナの自覚に基づき笑顔で無視。そして講習は続く。 『実は、こういう混ぜ方もあってね、□□を何グラムに◎◎何グラム。』←コレはどうだ、と戦いを挑む 『おおぉぉ~、なるほど!』←平民参加者、ひたすら感服 『おほほほほ。セオリー通りで合ってはいるけど、折角休みの日に来てるんだからもっと珍しいフォーミュラが欲しいわね。ワタクシは随分前から使っていてよ。』←非常に空気の読めない(というより読まない主義の)女王 リチャードは講習終了時にはこめかみに怒りマークくっきり、が女王参加の講習会の習慣となっている。 プロがあんな風につぶされるのに、権造なんかは女王のブーツでアリのように踏みつけられるのではなかろうか。。。ご飯にフリカケ掛けながらすっかりブルーな権造。 そこへ、女王がセレブランチにやってきた。 『ちょっと、女王が来るとは思わなかったんだけど。』 『アラ、ワタクシはあまり学ぶ事はないかもしれないけどジョージがあれだけ騒いでるし、ワタクシが権造を助けてあげられるかもしれなくてよ。』 横でやっぱりメシ中のジョージ、くるりと権造に背中を向ける。こらーー、ジョージ。騒ぎすぎるから、ワタクシの知らないところで大勢が集まるのは許せなくてよと女王が来ちまったじゃないか~~~~。 『え~~~と、一応最初に言っておくけど、権造のやり方を教えるクラスだから あまりにも方法が違ったりしたら、自分で別日にクラスやってね。』 とりあえず、クギはさしておく事にした。んまっ!ワタクシに喋るなとでも?と目が三角になる女王に、いぇいぇ喋っても結構なんです、ちょっとだけね、ちょっとね。後はハイハイ、ヘーヘーと適当に相槌を打ち、さっさと仕事に戻る。 あ~~。こうなりゃ、ジャマな時はジャマだときちんと伝えようと心に決めた。 結局、週末のチビ台風の中で準備は不可能。チビが就寝し台風一過後にやっとパソコン開いてさて何から喋ろうかと思っているうちに爆睡。昨日もやらなきゃな~~と思いながら雑用してるうちに時間が経ちタイムアップ。 今朝はさすがに後がなく、チビを落っことしてからサロンに直行し、10時に間に合うようにマックの朝食食べながらびっちりとアレコレ書き出す。10時10分前にはマネキン3台セット完了。あれこれ描いて説明できるようにボードも準備オッケー。 そしてふと気が付くと、、、、。アレ?権造しか居ないんですけど~~~~。 ジョージはギリギリ間に合うようにしか来れないと電話があった。妃殿下も何時だっけ?と9時過ぎに電話があったので急いで向かっている途中のはずだ。オイ。残りの面々はどこにいる? さみしくポツンとたたずむ権造の前に最初に現れたのが女王。 『ごきげんよう。あら他のみなさんは? もし誰も来なかったらワタクシは講習受ける必要ないから早目の昼食かお茶にでも出かけないこと?』 はぁ。。。マジで来なかったらお断りして家に帰ろうと思っていた頃にゾロゾロ次々と到着。 結局開始は10時半から。ラテンタイムにしてはまぁまぁか??? 珍しく月曜にみんながうろついているので、同じビルで働く女王のお客さんが入ってきて女王とコーヒー飲みながら話だした。まー思いっきり無視して始めちゃおうと、さっさと講習開始。 しばらくこのお客さんも講習会の様子を眺めてから仕事に戻り、相手が居なくなった女王の矛先は権造に。 丁度アタマの形と梳く場所の関係なんかをくっちゃべっていた所だったんだが、 『ゴンゾウ、ちょっと待ちなさい。ワタクシのお客さんの場合を説明させて頂くわ。』 あああ~~~、来たよ来たよ。 ツカツカと前に出てきてボードに勝手に書き込み話だす女王。関係ある話だったら聞いてみようと思ったんだが、止めないと止まらないご様子。 『え~。時間の都合もあるので女王ストップ。席に戻って。』 んまっ!と退席してもらい、続行。 もちろんその後も続く女王の横槍。 が、土曜日よりアタマの中のシュミレーションは講習会の流れよりも女王との質疑応答に無意識に重点をおいていたようで、意外と投げられた槍をキーンと跳ね返す事が出来る。 『そのカット方法だと仕上がりがワタクシには納得いかないわ。』 『え~、でも女王のお客さんが誉めてくれたよ。』 『んまっ!誰なの、それは??』 『え~と、名前知らないな~。(間違っても実名は出せない)髪の毛ダークブラウンで結構美人の人~。(女王のお客さんに最も多いタイプ)』 女王、きぃぃ~~~っ! 『そのハサミの動き、無駄があるんじゃなくって?』 『あ~~、その質問、想定内です。』 『なんですって??想定内??じゃあ、質問を変えるわっ!』 女王、きぃぃ~~~っ! 『ゴンゾウ、そこはどう見ても短く切りすぎたわね。』 『マネキンだからね。リアルカスタマーの場合だともうちょっと長めだね。でもいい指摘だとは思うね。』 女王、きぃぃぃぃ~~~~っ!!!!! こんな調子で女王の相手をしながら、講習会は続いた。 終了後、『女王、ワンダフルなツッコミの数々、ありがとう。すごくいい講習会になった。』と女王にねぎらいの言葉をかける。 ここ、非常に重要なポイントです。 女王はニッコリとクイーンズスマイルで『あら、よろしくてよ。その為にワタクシは今日わざわざ貴重な休みの中を来たのだから。ごきげんよう。』 そしてみんなにクイーンズウィンクをかましてコツコツとブーツの足音軽やかにお帰りになった。 女王はクリスマス前にパーティシーズン用のセットの講習会の先生を務めたのだが、言ってる事はワタクシ三昧だったが、その手際たるや見事なものであった。質問するヒマもないくらいクィーンズトークが続くので誰も質問せずに終わるという異例の事態だったのだが、次々と繰り出すアップのスタイルや、ピン止めの速さ正確さなどはため息連続で 恐らくウチのメンバーが何年練習してもあの動きの真似は出来ないだろうと思う。技術はとにかくものすごい。本当に素晴らしい。 後は脳内ワタクシ度をせめて10%くらいでも下げてくれると本当にいいんだが。 ま、女王という地位自体、俗世間からかけ離れた特級階級に位置するものだから、普通に優しい人だと女王にはなれないのかもしれない。 しかし、スゴイ。クィーンズトーク。 全米の講習会の道場破りなんてさせてみたら天職かもしれない。 予定講習時間、10時から11時半。 ラテンタイムにより開始10時半。そして女王との質疑応答に費やした時間が加算され終了は1時前。最後に予定していた同僚モデルのカットは中止。 ハラ減ったハラ減ったと大騒ぎするジョージにメシに行こうかと言いかけたものの、モデル予定だった同僚が切って欲しいというので居残りでカット。 ジョージも同僚も、『講習会も良かったけど、女王とのやりとりがおもしろかった。』というなんとも中途半端な感想であり、ちと苦笑いしたものの、無事に先生の重責は終了した。 しばらく先生は回ってこないと思うのでのんびりエネルギー充電しとこう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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