のらりくらりと行きたい

なんだかんだとイベントが続くチビの学校。
今月はオリーブガーデンという全米チェーンのイタリア料理店と『全米白血病とリンパ腫協会』が各学校と提携して行っている『白血病とリンパ腫の子供を助ける基金』に参加しているようで、毎週違った関連イベントがある。

今週１週目は『コインウィーク』。
月曜日にまずこのオリーブガーデンと協会からスタッフが学校にやって来て趣旨をチビに説明。各クラスに一人ずつ同い年で白血病やリンパ腫と闘う子供のパンフレットが配られ、そこにはその子の写真やプロフィール、病気の説明や病歴、闘病の様子などが綴られている。
クラスで１人受け持つ事によって、病気と闘う子供をより身近に考えられるそうだ。
そして火曜日はNickel(５セント)、水曜日はDime(１０セント)、木曜日はQuarter(２５セント)というように日替わりで家にあるコインを持って行き、各クラスに設置されたコイン箱にチビが数えて入れるというもの。
我が家は最近、どっちゃり貯まりに貯まっていたこの小銭をぜ～～～んぶ紙幣に交換したばかりだったので、現在家に残ったコインは少ない。
もも造は家中探しまくってコイン集めに余念がない。作造ルームへ忍び込んでは作造が財布や鍵を置いているケースの中をチェック。そして発見すると回収。
キッチンカウンターの上に置いたコイン箱を覗いては、権造が小銭で重い財布から取り出したコインを回収。ベットの下、ポケットの中、ありそうな場所を権造に聞きに来ては探しに行く。それでも与えた袋に半分にも満たない量に不満げであった。

無いからしょーがないだろうが、と言っていたのだが、そういえば以前もも造に買い与えた『コインを入れると総額が表示される貯金箱』があったっけーと思い、
『もも造、あの貯金箱はどーしたよ？コイン入れてはウキウキしてただろーが。』
もも造、ハッとしたあと何やら考えている模様。。。
確かあの辺りに隠してたっけ、、、（ここ造に盗られるのがイヤな為）と探し出して見てみると２５ドル２９セントと表示されている。
『ほら～、一杯あるよ、コレ全部持ってけ。』
『。。。。。。。。マミー、イッツマイマネー。。。。。。。』
くぉらっ！！！！その考え方はいかん！

もも造、人のカネならホイホイあげていいと思ったらそれはイカン。このコインだって作造や権造が一生懸命働いて稼いできたコインである。
今学校で集めているお金というのは遠くにいる会った事の無い友達を助けるためだ。近くに居て会う事が出来る友達だったら、病気になったらお見舞いに行って頑張ってといってあげられるが、遠くの友達は誰かに会いに来てもらって励まして欲しいと思っていてもなかなか誰も会いにいけない。だから、こうやって会いに行く代わりにお金を集めてドクターや病気の勉強をしている人の所に送って勉強の為に使ってもらい、早くその友達が病気を治し、その子の近くに住む友達と再び遊んだり勉強したり出来るように遠くから助けてあげるのだ。募金というものはそういう志の元にやるもので、自分のカネは出したくないが、ダディーやマミーのカネならいい、というのなら、それはもも造が助けようと思うのではなく、ダディーやマミーが助ける事になるのだから、マミーが直接学校に持っていく。マイマネーを出したくないのなら無理にすることはない。
募金しなくても誰も怒らないしがっかりもしない。やりたい人だけがやればいい。
マミーはどっちでもいいと思っている。良く考えてもも造が決めるように。

その後、放っておきメシ準備してたんだが、じっと貯金箱を前に思案するもも造。
ほとんどが家の中で見つけたコインなのだが、中には貴重なご褒美コインも入っている。権造が知らないうちに庭を掃いて綺麗にしてくれたり、床に落ちてるここ造の服をたたんだりと、おおお？？サンキューって時に権造が与えた２５セントコインの数々である。
一杯貯まったら好きなものでも買えばいいと言っていたので、楽しみに貯めていたコイン。
さて、どうするんだか。

知らん振りしつつ横目でチラリしてたんだが、しばらくテレビを見ているもも造。
あーーーー？？思案終了かよ、と思っていたらコマーシャルに入った時に貯金箱の横に置いてあるとりあえずかき集めたコインの袋を手にとって見る。じぃ～～っと見つめ、こちらをチラ見するので知らん振り。
そしてコマーシャル終了で再びテレビ鑑賞始めるもも造。あの袋のコインは持って行かせるのは辞めにしようと思っていると、今度は貯金箱の蓋を開けてみる。中身をじぃ～～っと確認するもも造。そして横の袋半分にも満たないコインを凝視。
しばらくすると貯金箱からマイマネーを出している。んん？募金するのか？と思ったらPenny（１セント）のみを取り出している。
コイツ、、、、、、、、。ケチなのか、しっかりしてるのか。。。。。
Pennyが全て貯金箱から袋へ移動した後、再び思案。
Pennyコインのみが銅？で出来ていて茶色く、他のコインは全てシルバー。袋の中はさぞかし安っぽい茶色カラーになっているに違いない。
思案は続くがここでタイムリミット。メシ時である。
ご飯出きたぜぃ～～。食べるぜぃ～～。
ここでもも造の思案は終了した。

メシを食べながらも、クラスでもらったパンフレットの７歳のアビゲイルという女の子の話をするもも造。白血病でずっと病院に居るそうだ。
『マミ～。キャン　アビゲイル　ゴートゥー　トイザラス？』
『ずっと病院に居ないといけないのなら自分では行けないだろうねぇ。。』
『キャンウィー　ギブハー　コイン　トゥーバイトイズ？』
『今日学校に来て話した人がいるでしょ。あの人がオモチャ買う分のお金だけ分けてくれるんじゃない？』
『イズザットイナフコイン？』
茶色一杯のビニール袋を指差すもも造。
『ザッツイナフ、もも造。あのお金で買えるものを買ってもらえばいい。』
『ハウアバウトDS?』
『DSはムリだろう～～。１３０ドルするんだよ。』
『ハウマッチ　イズ　DSゲーム（ソフト）？』
『ん～～～～、もも造の持ってるので２５ドルくらいじゃないかな。』
『アイウォント　アビゲイル　トゥーハブDSゲーム。』
せめてソフトだけでもあげたいらしい。

メシ後に貯金箱の金額を確認するもも造。２５ドル２９セント。
そして茶色カラーの袋を見つめる。
で、蓋を開けた。
そして、中身を袋にぶっちゃける。
ハッと気付き、１ドルコインだけを取り出すもも造。これは珍しいから特別ね、とあげた１ドルコイン、これだけはどうしてもキープしたいらしい。
『全部入れなくってもいいんだよ。欲しいのなら欲しいだけキープすればいい。』
『。。。。。。イッツオッケー　マミー。。。。』
未練はあったようだが、とりあえず全額寄付する気になったらしい。そういう事なら、作造コインも権造コインも全部持っていってヨロシイ、とやっと一杯になった感の袋をバックパックにしまった。

今日送っていく途中、袋を取り出しては一杯あるからアビゲイルも喜ぶと思う、と嬉しそうなもも造。一杯といっても小さい袋に一杯。あまりぬか喜びはするなよ、と思いながら教室に向かうと、、。

やっぱり上には上が居る。コレが世間の厳しさなのだ。
一番デカイサイズの袋に　実家は銀行かなんかですか、と問いたくなるくらいびっしりコインを詰め込み鼻高々のチビも居れば、いかにも親が急いで両替してきましたって感じの筒状に紙で包んであるコインを何本も見せびらかすチビも居る。
そして、手ぶらでバツ悪そうなチビ達。ポケットから一握りだけ小銭を出すチビ達。
何事も強制ではなく自由主義の方針。良くも悪くもあると思う。チビ達の心中をそれぞれ色んな思いが交錯する。

そんな生徒を一同に集め、先生が一言。
『これは昨日も言ったけど、持って来なくてもいいんです。アナタ達のお父さんお母さんが一生懸命働いて得たアナタ達にとっても凄く大事なお金なんです。持ってこなかった人達は大事な大事なお金をどう大切に使うのかよく考えましょう。家にあるお金の中からあげたい人だけが持ってくるという約束です。持ってこなかった人達は、持って来た人のお金を数えるのを一生懸命手伝ってあげましょう。今日はNickelの日だから後でみんなでNickelだけ出しましょう。』
この言葉に救われたチビも居るだろうし、やっぱりウチのパパママはケチだと思うチビも居るだろう。後は家での対応次第だ。頑として寄付もしないしドレスアップデーにもきっちり制服で通わせるという親も居る。家のポリシーだったら家できちんと子供に納得させて下さいという事なんだろう。
親の対応次第でこの手の事は子供同士、というより大人同士の競争のようになってしまう。それをこの先生はうまく軌道修正してくれるので、本当にありがたい。
とてもいい先生なんだが、今年一杯で引退するそうだ。ここ造が１年生になるまで絶対に居てほしいと思ってたんだが、非常に残念である。

２週目は１ドル寄付して紙テープを貰い、最終日の礼拝の時に　もも造の先生のダンナである教会責任者の先生に各自くっつけて午前中はダンナ先生はその格好で過ごすらしい。

３週目は水曜日がパジャマデー。これもパジャマを着たかったら１ドル払うのだが全額寄付。

最終４週目は各クラスで自分たちのクラスが担当する闘病中の子供に手紙を書く。そして水曜日が最終日。当日集まった金額を数え、目標額１５００ドルに達したら、次の日にまたしてもダンナ先生がホンモノのブタに熱烈キッスをみんなの前ですると公約したらしい。

各週のテーマとは別に教室には募金箱が常設されていて、送り迎えに来ている親がいつでも寄付できるようになっている。

月末に、クラスごとの集計後最も多くの金額を集めたクラスにはオリーブガーデンからパスタランチパーティがプレゼントされるんだが、この恐らく寄付金から差っぴかれる余分な経費と言うのは権造はいつも賛成しかねるんだが、チビらにとっては嬉しいご褒美なんだろう。

ってことで。
今月は小銭が多く必要な月になりそうだ。
買い物したお釣りはちょこちょこ見えるところに置いておくことにする。