のらりくらりと行きたい

海外に住む日本人の人は大抵2タイプに分かれてるような気がする。
１つはその国に溶け込みその国の人として暮らしていくタイプ。
もう１つは違う国に住みながらも日本人としてのアイデンティティを持ち続けるタイプ。

権造なんかは後の方に属すると自分では思う。いいかげん長い永住生活でかなり大陸ボケしてきていて、英語を話す時などは思いっきりアメリカ思考することもあり、こんなのニホンゴじゃ間違っても言えないよなぁと自分がイヤになる時もあるのだが、日々の生活は日本人のソレであり、家族関係も仕事っぷりも日本風な気がする。

例えば育児とか夫婦関係とか。
どちらが良いどちらが悪いという事ではなく、考え方の違いによりかなり異なる様相を呈する。
アメリカ的チビの就寝場所とは、親の部屋とは別に産まれたてホヤホヤ時からマイベットルームにマイベットが置いてありマイテリトリーとして、まだまだホギャーホギャーと泣いてる赤ちゃんのうちからチビは独り寝の習慣を身につける。夜中も授乳しなきゃいけないママはモニターに映りスピーカーから聞こえてくるマイベイビーの泣き声を聞いては、わざわざ赤ちゃんルームへと向かいミルクをあげてまたダンナの寝てるベットルームに逆戻り。
これは赤ちゃんのうちから独りの人間として自立性を養っていくものらしいんだが、日本的な感覚で行くと赤ちゃんが自立出来るものだとは思えず従ってそのような扱いもしない。権造なんかはそれ以前に夜中に歩くわずかな距離を思い何もかも面倒になり結局ベビーベットを自分のベッドにぴたりとくっつけ手を伸ばせばこちらに引き寄せられる距離で爆睡。それでも起き上がるのが面倒で結局自分のベットに引きずり込んでベットは無用の産物に。ここ造誕生後はマスターベットルームをチビチビと権造ですっかり占領し、まさに川の字で寝てる毎日。
作造に関しても、まぁ最近ではめったな事ではサロンにも顔を出さないんだが、来たとしても情熱ラテン夫婦と違い、よっ！おうっ！とあっさりしたものである。同僚なんかはボーイフレンドやダンナが来るとムチューーーーっとキスしてハグ。ダンナの方も大事なマイワイフに悪い虫が着かないように、男のお客さんのカット中なんかは目一杯オレの女だぜ的なアピールを欠かさない。
同僚なんかと話をするに至っては、
『ゴンゾウ、じゃ、ハズバンドと一緒に寝てないの？』
『ああ？ハズバンドォ？モモゾウ誕生後１週間で文句垂れるから部屋から追い出した。』
『オーーーーーマーーイゴーーーーーーッド！！！』
『ねぇねぇゴンゾウ、今の新しいお客さん？』
『ああ？今のはゴンゾウのハズバンドだけど？』
『ええっ？？キスもハグもしないの？』
『人前でそんな事するかよ。』
『オーーーーーマーーイごーーーーーーッド！！！』
信じられない状況に愕然としてるようだ。

仕事に関しては日本の細やかな、いわば『おもてなしのココロ』風なサービス精神をなるべく心がけている。
自分のお客さんの接客に関しては言うまでもなく、仕事中に携帯に出るなんぞは言語道断で、例えば次のお客さんが新しい人で道に迷ったら電話するなんて時に携帯が鳴ったら着信履歴をことわってから見るくらいの事はあるんだが、他の場合は音も切ってあり殆ど出ない。
緊急時にはサロンを連絡先にしているし、作造も急用以外はサロンにさえもかけてこない。
そして自分のお客さんだけでなく、サロン内で誰かがきょろきょろしてたら『何探してるの？何か持ってきましょうか？』と声を掛けるし、手ぶらで椅子に座ってる人には『コーヒーかハーブティがあるけど持ってきましょうか？』と聞いてみたりする。
アシスタントが手一杯だったら自分でシャンプーするのも当たり前だし、フロントが手一杯でお客さんが並んで支払い待ってるときはジョージを引っ張り出してきて手伝わせるし自分が手が空いていたら手伝いにも行く。
同僚のご機嫌よりも、アシスタントの仕事に割り込むという縄張り意識よりも、ジョージの都合よりも何よりも、お客さんを優先するのが権造としては当たり前。

こうやって毎日日の丸を額にぺタッと貼るように生活してるんだが、仕事に関しての権造の態度や人と接する様子を見て『日本人って良く知らなかったけど、イメージ変わった。』とか『日本人ってよく働くね。』とか同僚やお客さんに誉めてもらうとやっぱり日本人として嬉しい。
日本に興味を持ってるお客さんもたくさん居るし、もも造の友達のマミー連中なんかもこうなの？ああなの？と日本のアレコレについて質問してくる。
その時その時に知ってる限りを一生懸命説明し、日本ってこんな国なんだよ、というのを一人でも多くの人に知ってもらい、その中の一人でも多くの人に日本に対していいイメージを持って欲しいと思う。
マイアミなんかは土地柄アジアとは対極にあるラテンカルチャー。何事もノープロブレムで事が足りている中、仕事に対してはなるべく自分に厳しく人に対してはなるべく優しく元々あまり持ち得てない誠意を目一杯フルに搾り出して取り組みたいと思っている。
それで日本の事を全く知らずに育ってきた人達が、権造を通して日本を見て、少しでも日本っていいところなんだろうなぁと思ってくれれば日の丸額に貼ってるものとしてはこの上なく嬉しい。
草の根交流というには小さすぎる感じだが、遠すぎる国の事を知るには充分な気がする。


そんな一平民の努力を木っ端微塵にしてくれた中川さん。

アレはやっぱりイカンだろ。どう考えても。
世が金融危機に瀕してる中、G７という世界の中からわずかに選ばれた国の代表としてまさに日の丸体中に貼り付けて、日本の顔として世界に流れた記者会見がアレ。
体調悪かった、腰が痛かった、酒飲んだかもしれない、言い訳は何であれ、あの醜態は同じ日本人として恥ずかしい。

体調が悪い中頑張って最後まで会議に出席し記者会見にも自分の体を犠牲にしてまで挑んだ。
だとしたら。だとしても。誰が頑張ったね、と誉めるだろうか。一平民が熱があるのを無理して仕事でヘアカットしてるのとはレベルが全く違いすぎる話しである。
体調管理も危機管理もなにもかもがなってない。
ニュースで言われてる通り、薬でぶっ飛んでたのならあんな重要な場に出るべきじゃない。体調が悪いのならちゃんと代理を立てるのが国の代表としての責任である。そしてろれつが回ってないのに喋らせていた同行した政府関係者も同じである。世界に流れたニュースで横に知らん顔して座った２人。恥ずかしいとは思わなかったんだろうか。
過去の酒での失態なんかもニュースでやってたが、その時点できちんと責任を問わなかったことを後になってここぞとばかりにつっつく報道の仕方も野党の政治家も無責任だと思うので、過去の話は過去の話として置いておく。そんな人をこの大事な時期に財務相に選んだのは世論の集まりのはずの政府なのだ。

どこかのニュースで『G７という世界が注目する会合であり、すでに会見の時間も設定されていた。欠席させればよかったというのは後知恵で、とうてい出来る状態ではなかった。』とまぁ呆れるコメントが載っていた。財務省幹部の人のコメントらしい。
コメントの感じからして体調の悪いのは知ってたが止めなかったのは明白なのだが、後知恵だとか出来る状態だとか言い訳を考える悪知恵があるのなら、知恵を正しく使って『最悪のコンディションで臨んだ時に起こり得るリスク』というのをきちんと考えて欲しい。
記者会見中に急にろれつが回らなくなったのではなく、そのかなり前から体調が悪く様子がおかしかった事はいろんなニュースで流れている。欠席、代理というものを考えるには充分時間があっただろうし、たとえ充分な時間では無かったとしてもその中で対応を考える能力のある人こそが世界からわずか選ばれた７国の代表に値すると思う。
ヤバイなヤバイなと思いつつ出て行き会見でベロベロになっちゃう中川さんも最低。決まったことしか出来る能力ありませんとコメントしちゃう幹部も最低。
危機管理って言葉の意味知ってますか？と問いたい。

とにかくABCテレビからCNNまで。
バッチリとこの醜態ニュースは流れていた。ABCのネットニュースではすでにG7会議中から中川さんの様子がおかしいと載っている。日本の大手自動車メーカーの危機は居眠りを覚ますのに充分じゃないのかとかイタリアだからエスプレッソ飲めとか。
テレビのニュースはもうあのヘベレケ会見を見るのがイヤなので見ていないが散々だったらしい。

今日は朝家の外で会った向かいのおっさんにいきなり笑われた。
店に行ったらやっぱりジョージや他のお客さんに呆れられた。
アル中か何かなのか？と聞かれて、今アル中なのかどうかは知らないが、過去に酒のトラブルはあったらしいが今回は体調が悪いので薬を飲みすぎたらしいと言うと、子供の言い訳みたいだな、とやっぱり笑われた。
大体、ゴンゾウがこの前薬間違えて飲んじゃったときの方がマトモだよな！手が震えるとか眠っちまうとかなら分かるけどアレはヘベレケじゃないか！
ジョージのツッコミが今日はズキッと響く。
なんでそんな責任感のない人が選ばれるんだ？と聞かれても答えられない。
麻生内閣の支持率と一緒に報道されたりもしてたようで、他にもこんな閣僚ばかりだから支持率こんなに低いのか？とも。
ああああ～～。完璧アホ内閣だと思われている。半分冷やかしの冗談だとしても、悔しい。ほんとに悔しい。

こんな風に一瞬のネガティブな出来事で人間が持つイメージと言うのはあっさり変わって地に墜ちてしまうものだ。
クリントンの訪日中に辞めます騒動もタイミングとして最悪な気がする。


一平民でも意識して日の丸額に貼ってるのに。
選ばれた人ならちゃんと貼れ。
あ～～。悔しい。
ひたすらそう思い続けた今日１日であった。