のらりくらりと行きたい

日曜日の本日は夕方までのんびり過ごしていたんだが、作造が仕事に出かけてからドルフィンモールというショッピングセンターに久々に行ってみることにした。

最近もも造がやたらと『アイミスバーバ』な状態で、ば～ばに会いたい、日本に明日行きたいを連発している。
数年前に権造がメッタメタにもも造を叱った際、まだ幼きもも造は自分の部屋に駆け込み自分の鞄に大事にしてる青いフトンやぬいぐるみ一式を詰め込み、泣きながら権造の所へ戻ってきて最後のお願いで1ドルくれと言ったことがあった。1ドル握り締めて空港へ行き1ドルで日本行きのチケットを買い、ば～ばの所へ行って一緒に暮らすと言うのだ。この事件は権造の心の中で意外とトラウマチックな思い出として残っており、最近のもも造のアイミスバーバ状態は何かの裏返しなんだろうか、と勘ぐったりしてたのだが、どうやら単純に日本に行きたいらしい。
で、最近もも造が欲しがっているものがスーツケース。毎日のようにば～ばの所にもって行くスーツケースが欲しい欲しいと言っているので、まだチケットも購入してないんだが、スーツケースでも見に行くか、と出かけてみた。

日曜日はドルフィンモールは7時までで到着したのが5時半過ぎ。まあ、ゆっくり１周する時間はあるだろうと鞄屋を見つけてはチェックしてみる。意外と『こんな感じの』と限定して探してみると中々気に入ったものに出会わない。もも造の購入ポイントは以前別のモールでみかけた、スチュワーデスバッグみたいなのに、ダッフルバッグが付いているもの。おっさん仕様の黒とか紺とかのごくごくありふれたデザインのは見かけるんだが可愛いものが中々無い。

なので気分転換にマーシャルズに入った。ここは何でもいろんなモノが安くゴチャゴチャ売っていて一人でゆっくり買い物に出かけたときは1時間ほど軽く潰せる場所なんだが、チビ連れだとオモチャコーナーなど危険ポイントが多いので迂回しながらスーツケースチェク。ここもイマイチだよねぇ～と出たところで普段入った事の無い、これまた安物グッズ満載っぽいバーリントンなんちゃらって店に試しに入ってみることにした。

ココはなんだかスゴイ。。安物グッズがこれでもか！と並べてあり、マーシャルズの3ランクは下をいく感じ。歩く通路に赤ちゃんのオモチャ（売り物）なんかが散乱してたりで、どうもイタダケナイ雰囲気が充満している。
良く分からない配置のなか、スーツケースが並んでいるところまでなんとか辿り着いてみると、もも造が『マミー！！！アイライクディスワン！！』
え、、ドレ？？と見てみると意外とカワイイ小ぶりのデスバッグ。更にタグを見てみると中にダッフルバッグとメッセンジャーバッグが入っている3点セットらしい。値段はこの手のお店につきものの誇大広告目一杯な＄８０．００→＄２９．００。
もも造はコレコレこんなのが欲しかった！と既に抱きかかえて離さない。色はもも造のフェバリットカラーのブルー。そして横には色違いのピンク。ここ造のフェバリットカラーである。

いい加減ハラが減ってきてるし、今日以降も毎日スーツケース買ってくれ攻撃も勘弁だし、何より安い。ここ造もピンクを抱きかかえて2人で大盛り上がりしてるのでさっさと購入してメシとしたい。
もも造の方は値札が取れていたので、ここ造の方に値札がくっ付いているのを確認し、2人にゴロゴロ引かせてレジの方へ向かった。

さすがに激安店。レジの前には速攻諦めて帰りたくなる長さの行列である。時間は6時半。7時にモール内の各店舗が閉まるので15分前くらいから各店舗の入り口にシャッターが降りモール内の通路には出れなくなる。外をぐるっと歩いて駐車場にいかねばならなくなるので間に合うようになるべく短い列の後ろに並んだ。
普通の店でもレジ係の仕事っぷりはちんたらとイライラの極地に達するものなのだが、激安店にふさわしく更に輪をかけて仕事が遅い。4列あったんだが、4人のレジ係の他にもう1人名札つけた兄ちゃんがレジ内をうろついてるんだが、この兄ちゃんがやたらと他のレジ係に話しかけさらに作業を遅らせているようだ。
もう、この手のトロトロは権造の一番キライな状態で見ているだけで即沸点に達してしまいそうなので、レジの方は見ずに時間潰しに周りのお客さんを見ることにした。

前に並んでいるのは典型的な中南米からの旅行者家族。スーツから靴下までおとーちゃんが腕に抱えている。息子とおかーちゃんはレジ付近のサングラス売り場なんかをうろついてたが、おとーちゃんに何かホニャララ言われて2人とも買い物に戻っていった。
数分後、、。おかーちゃんと息子はカートに入れた山積みの服を持って列に戻ってきた。
あああ？？？どうやら近くにカートを停めていたようだ。反則技に近い量の買い物。。他の列を見渡すもすでに自分が並んでる列を含めて後ろはびっちり行列人口が増加している。今更動けない。。。ちきしょう。。。
カートをおとーちゃんに託し、おかーちゃんは更に買い物に戻っていく。オイオイこれ以上何を買うんだよ、と思っていたら超大型スーツケースを手に戻ってきた。
あ～あ、時間益々かかりそうだな、、と思いふと後ろを見ると後ろに並んでいたベビーカーを押したママと目が合い、同じ事を考えているようでクビをフリフリしてため息を付いている。

やっと前の家族がレジにたどり着いたのは7時1５分前。入り口のシャッターがガラガラと降りていく。
はぁ。。とため息付きながら目の前の大量の買い物を見ていると、これまたレジ係のおねーさんがトロい。目の前に割りとキレイにどちゃっと積み上げられた服を全部ご丁寧に世間話をしながらもう一度キッチリとハンガーつけっ放しで角を揃えて積み上げなおす。
この時点で権造のクレーマーの血が沸々と煮えたぎってきていたのだが、すっかり忍耐の限界を超えたチビ達があっちへこっちへウロウロし始めたのでソレに気を取られて何とか我慢。
その後のおねーさんは、角のキッチリ揃った服から今度はハンガー撤去作業→中から靴下パンツなど小さめ商品を選び出しピッピッとバーコードの読み込みやっと開始→ちょっとぐちゃぐちゃになってしまった山をもう一度キッチリ並べなおす。
すでにキィィィ～～～～！！！っとなってた権造は心の中で噴出してきそうなマグマとわずかに残っている理性の塊りの葛藤と戦っていた。
おねーさんの信じられない仕事っぷりは続き、やっとシャツのバーコードピッピッ開始→シャツだけ終わった後にシャツだけたたむ→他の読み取りを開始→なぜかシャツに戻りシャツだけレジ袋に入れる→靴下パンツに更に逆戻りしレジ袋へ→途中で放り出していた残りの服の読み取り開始→時々逆戻りでいちいちレジ袋へ→やっと洋服類が終わりスーツケースの読み取り終了→レジ袋をケースの取っ手に縛りつける。袋に入らない商品の購入しましたの証のおまじないだ。

この時点で7時はとっくに過ぎている。シャツの読み取りを始めた時点で、そのままレジ袋に放り込まんかいっ！！！と叫びたい衝動にかられてるんだが、５％程残っている『他人やチビから恐ろしい生き物だと思われたくない』という八方美人的理性が邪魔をして必死に言葉を飲み込む。後ろのママもベビーカーの中で子供がグズグズしていて時計をチラ見しては厳しい視線を投げかけている。そんな中、前の家族がホニャララと爆弾宣言。
どうやら全部スーツケースに入れて帰りたいと言っているようだ。

その後ひっくり返ったのがおねーさんの行動。あれだけきっちり畳んでから袋に入れたんだからそのままスーツケースに入れたら良さそうなものを、全部もう一度袋から取り出して入れなおそうとしている。
頭の中ではすでにおねーさんは権造にボッコボコにフクロにされてるんだが、一言暴言吐いてしまうとストップが効かなさそうだったので、
『あの～、後ろにまだまだかなり人間が並んでるんですが、そういう作業はあっちでこの人達にしてもらってとりあえずお会計をした方がいいと思うんですけど。』
なるべく、ゆっくりと落ち着け権造、と自分に言い聞かせながら進言してみた。英語は分かんなさそうだったが旅行者家族の方がおねーさんより早く理解してくれたようで、オーホニャララホニャララと謝りながら使っていないレジに移動。

おとーさんがやっと支払いを済まし、やっとやっと権造の番。スーツケースをカウンターに乗っけていると相変らずみんなの仕事を邪魔する世間話兄ちゃんがレジのおねーさんに話しかけだした。
『あの、みんなものすごい時間待たされているし、仕事以外の話だったらこの人に話しかけないほうがいいと思う。』
これまた落ち着け権造、と暗示をかけながら提言すると兄ちゃん一旦ムスッとしてレジ係から離れる。
おねーさんに『コレ、一個値札が無いからもう一個の方で値段読み込んでくれる？』と言い、おねーさんがここ造の方のスーツケースについている値札を探すも、こともあろうか値札が消えている。

え？？そんなハズ無いって！わざわざ確認してから持ってきたんだから！とあわてて探すも値札が無い。もーーーーなんだか何もかもイヤになっちゃってそのまま帰りたくなったんだが、もも造がスーツケースの端っこを握り締めてるのでなんとか留まる。おねーさんが館内放送で誰か従業員捕まえて値札の付いた同じものを探させるというので、即お断りし自分たちで持ってくるからとりあえず次の人やってて、とダッシュ。こんな店の人に探させたらあと10分は待たされそうだ。
速攻で持ってきて、後ろのベビーカーママが支払いしてる時にレジに戻った。そしてふと見るとベビーカーの中の男の子の手にここ造スーツケースの値札が。。。。。
オマエかーーっ！！！値札ちぎったのはオマエかっ！！！
ベビーカーの後ろに荷物を入れようとしていたママも気付いたようでハッとしてこっちを見る。そして、、、、、そのまま逃げるようにそそくさ帰ってしまった。
オマエもかーーーっ！！！一時は一緒にムカつき、仲間のような連帯感があったのにいきなり裏切られたような脱力感。せめて一言謝れよ。。。

無事に値札を提示して、その間またしても割り込もうとした兄ちゃんは鋭い眼光で一瞬のうちに撃退し、支払い終了のおまじないのビニール袋もさっさと自分で勝手につけて、とっとと精算して外に出た。
結局、駐車場の車に乗り込みエンジンをかけて確認した時間は7時20分。列に並んでから50分が過ぎていた。

その後、近くの作造のお店にメシを食べに向かう間、つくづくと思った。
やっぱりこの国は安かろう悪かろうの王道を行っている。商品だけに関わらず、サービス自体も同じである。何もかも全て支払った金額にキッチリ値するものしか得られない。
この不況の中、購買意欲を高めるのにこんなサービスじゃ全くダメだ。もっと『タダ』の付加価値を大事にしないと。
そして、多分安かろう悪かろう店の場合はこちらがキレても理解されない。
今日は我慢したのが正解だったように思う。いつもならクレーム吐きまくって例え通じて無くても最低自分がスッキリするんだが、今日のあの店は多分逆に『あぁ？なんだ？このアマ。』って感じに扱われて益々キィィィ～～～～っとなってた事だろう。。。
この店は今後生涯出入り禁止、と自分に誓いつつ作造の店に到着した。

家に帰ってチビらは早速スーツケースを開け、中のオマケの鞄を2つ取り出して大騒ぎしていた。意外と中にも仕切りがちゃんと付いてたり、貴重品入れのポーチが上部にくっ付いてたりで、安かろう悪かろう、でもちょっとマシかろう、って感じであった。
まぁ、チビの歓喜の姿も加わり、ごくごく僅かながらも救われた感じがした。

って事で、夏の帰国に向け1歩だけ進んでみた。
ものすごく疲れた1歩だが。。。
今週中にマイルの確認せねば。