|
カテゴリ:仕事
先日のアースデーのデモの当日。
我がサロンのオーナーであるジョージはあれだけ大騒ぎして皆に参加を呼びかけていたにも関わらず、持病のかかとの痛みが出てしまって当日は歩けなかった。 先週から朝起きると立ち上がるのもしんどいらしく、サロンの開店時間の頃はまだまだ痛みがきついようで横目で見てると顔をゆがめたりして辛そうだった。権造のお客さんの鍼灸師の人のところにも行って痛み止めの針を打ってもらったりしてたんだが、当日はドクターストップの為に同僚からも激しく止められ、皆が歩いてる時は集合場所付近でひたすら待ちスタッフの為に水を買ったりして待ってたらしい。 権造たちが戻ってきてみると余程退屈だったようで、『お疲れさん!!メシ行こう!メシ!どっかで座って皆で話そう!』とさっさと一人で歩き始める始末。 なので近くのリンカーンロードという繁華街に行ってブランチになったわけだが、この集合場所からレストランに行くまでにちょこっと歩いている間、ジョージが話しかけた人の人数と言うのがすごかった。 リンカーンロードに向かって歩き出してすぐ、近くの路上駐車の車の中の1台を見つけて、中で座っている人に話しかけている。随分打ち解けているようなので、知り合い?と聞いてみると、権造達を待ってる間に喋り込んで仲良くなった初対面の人だったようだ。 その後もリンカーンロードで、すごくデカイ犬を歩かせていた人を捕まえては『ビューティフルな犬だ!何歳?オスメス?名前は?なんて種類?』と質問攻めにしたかと思えば、前から歩いてきたとびきり美人を捕まえて、『ちょっと髪の毛見せてくれる?サロンはドコに通ってる?そこでカラーは何を使ってるか知ってる?』とベラベラ喋る。 こんな感じでフラフラとあちこち迂回しながら歩くジョージの後ろをみんなでゾロゾロ付いていき、やっと目的のレストランまで辿り着いた感じである。 この人の社交性というのはハンパじゃないレベルなようで、朝の集合時にもAVEDAには新参者であるにもかかわらず、他のサロンのオーナーは一通り知り合いになっているようであったし、オーナー対象のビジネスカレッジにはこまめに通っているのでAVEDAの人達とも殆ど顔見知りになっている。 来月末にAVEDAの美容学校で1日講師をすることになった権造はあちこち引っ張りまわされて他の人達に紹介されて、それでなくてもウチのサロンの連中と芝生の上に座り込んでデモ開始を待っていたら、見知らぬ人がやってきて権造に『アナタ、ゴンゾウでしょ?来月の講習会、面白そうだから私も見に行く事にしたのでヨロシク。』と話しかけてくる。 どこかのサロンの人なんだろうと思って話をしてみると、AVEDAのエドゥケーター(先生)の一人らしい。。 やっぱりジョージがあちこちで言いふらしているようで、このエドゥケーターもジョージがこの前行ったビジネスカレッジの講習の時にたまたま居合わせたらしく、この人は更にカットの先生なのであるが、『ウチのゴンゾウはエドゥケーターに教えられる位、凄いぞ!わっはっは~~!!』とやっちまったらしい。。。 最初は2,30人の美容学校生相手にウンチクたれればオッケーだろう、みたいな軽~~い気持ちで居たんだが、なんだか大事になってきた。ってかジョージに大事にされてしまった。ギャラリーがなんだかかなり増えてる様子である。 今日、その話をジョージとしていて、『ちょっと!ジョージ、言いふらしすぎじゃないの?』と権造が言うと、実にあっさりと『でも、オレがゴンゾウの講習会(サロン内の勉強会)を見たときは結構アレコレ新鮮ですごく面白かったぞ。』と一言。 ジョージ曰く、権造はきっとちょこっと大目のプレッシャーくらいを感じたほうが実力が充分に出るそうだ。 まあ、実力があるかないかは別にして、実力以上のものを引き出してくれようとしてるジョージの姿勢はよく伝わってくるし、権造の性格を結構判ってくれている気もする。 10年前だったとしたら、ビビって無理無理と断ってしまうと思われる今回の話。 時間と共に大きくなっていく自分の年齢の数字と比例して、マイ肝っ玉や根性といったものもどんどん大きくなっていき、悪く言えばオバサンオジサン化現象の一つなんであろうが良く言えば経験を積んでいくという事だ。良くも悪くも、ビビる、怖がる、躊躇するといった感覚が段々減って来ているこの昨今、比較的戸惑うこともなく即答でやってみたいと答えられたので、ちょっと頑張ってみようと思っているんだが、この辺の権造の様子を普段の会話の中からなんとなく感じてもらっていたようで、あくまでもジョージならではの励まし方のようだ。 『ソーシャルバタフライ』と言う言葉がある。 直訳すると『社交的なチョウチョ』である。 花から花へヒラヒラとあちこち飛び回る様から出来た言葉なのであろうが、リンカーンロードに向かう途中、ヒラヒラフラフラあちこちを飛び回るジョージを見て、皇后が『ジョージはとんでもないソーシャルバタフライだね。』と笑っていた。 社交的というのは時として八方美人になりかねないものだが、ジョージの場合は見る限りどの人にも誠意を持って接しているのが伝わってくる社交性であり、あれだけあちこち飛び回るエネルギーはドコから来るんだろうとみんなでアタマをかしげながら後に続いた。 権造にいたっては、八方美人のクセして付き合いが悪く、社交的かと聞かれたら間違いなくNoの分類に入ると思われる。 人付き合いって元々千差万別で、おバカみたいに明るい性格の人も居れば反対にシャイで人前に出るのも苦手な人も居る。それぞれ自分にあった人付き合いの仕方をすればよく、問題は人との関わりを大事にしているかどうか、大切な人を大切にしているかどうか、という事だと思うので、ソーシャルバタフライタイプが良いとは一概には言えないと権造は思う。 が、ジョージの場合、広い付き合いの中の一人ひとりとの関係をすごく大事にしているのが思いっきり見えてしまうような関わり方で、このエネルギー溢れる人間関係というのはやっぱり賞賛に値するよな、とつくづく思うのだ。 こんなソーシャルバタフライにも苦手な人と言うのが居る。 今日来たジョージのお客さんの中に、とてもとても変わった人が居る。この男性はとにかく一方通行のコミュニケーションで、驚く事に某大学の教授らしいのだが、権造も一度この人に捕まり話し相手をしたことがあるのだが、とにかく質問しても無視される、同じ話を繰り返す、一生懸命話を聞いているのに『オレの話をちゃんと聞いてるか?』と何度も確認しながら話す、という感じで開放された後にものすごく疲れた。 この人はジョージとは10年以上のお付き合いらしいのだが、ここ数年、ジョージは急にこの人が苦手になったらしい。本人的には『歳とってきたので忍耐力が無くなってきた』と分析しているらしいのだが、本当にこの人のカラーとカットをやっている間だけは、従業員から見ると『かろうじて笑っている』という表情をしている。カラーとカットの間というのは30分ほど放置時間があるのだが、普通ならその間に他の人のカットの予約などを入れるのだが、ジョージは気分転換が必要らしくその間は誰も予約を入れず、ひたすら休憩しているほどだ。 好き嫌いのないジョージにしては珍しいと思うが、ある意味決して完璧ではないボスは益々人間的でもあり、更にジョージの事を好きになってしまう効果があるようだ。 若い人の感覚や技術を学びたいと、ジョージは自分の両側にジュニアスタイリストを置いて、分からない事があればドンドン質問攻めにしている。質問する事によってジュニアスタイリストを育てていく意味もあるんだろうが、30年選手が1~2年選手に『ココ、どうしたらいいんだ??』と素直に聞いている姿というのもスゴイ絵である。 いつも空き時間にはサロンの入り口に置いてあるイスに座って、みんなの仕事っぷりをニコニコしながら見ているジョージ。 他のサロンのオーナー達に『ウチのスタッフが一番スゴイ。』と平気で自慢するジョージ。 みんなにあれだけ好かれるボスってのは、やっぱり人間として素晴らしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[仕事] カテゴリの最新記事
|