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2009年10月13日
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テーマ:ニュース(100230)
カテゴリ:カテゴリ未分類
今日はオフデーのバイトデーだったので、朝から10年来のお付き合いのお客さんの家に行っていた。
この人、ユダヤ人の権造と同い年の女の人でアーティストである。
縮毛矯正やっている間は、というよりは家に一人で居る間はテレビを見ない主義だそうで、いつもラジオが流れている。
大抵、『National Public Radio』という同じ局で、いつも同じ時間帯に権造はお邪魔するわけで、毎回聴くことになるのがダイアン・レインと言う人の番組だ。

ダイアン・レインと言っても女優ではなく、声を聞く限りヨボヨボのおばあちゃんっぽく言葉もなんだか入れ歯を外してるみたいにモゴモゴしている。こんなおばあちゃんに番組やらせなくっても~と思っていたら、実はこの人はものすごい美人で年齢もまだ60代前半だそうだ。何か言語障害の病気をしたそうで、番組に復帰した後も月に一度は病院に通って治療を受けているらしい。
そんないきさつを以前お客さんから聞いて権造はすっかりおばあちゃん扱いしたのを後悔&反省したのだが、今日の番組も中々興味深かった。

本日のトピックは『オバマのノーベル平和賞受賞について』。
日本のニュースじゃ受賞後から殆ど賞賛ムードな報道が多かったが、こちらは全く反対だ。
権造は素直にニュースを見たときに素晴らしいと思ったのだが、ポリティカルな面からすれば、国内では『実績無いのに冗談か?!』と叩かれ、対外的には『ノーベル平和賞受賞者がアフガニスタンに増派か?!』と叩かれる。
受賞後の会見でも戸惑いまくりの謙遜しまくりなオバマだったが、多分心の中では最初喜んだのだろうがその後の周りの反応を見てかなり憂鬱になったことだろう。

ダイアン・レインの他にコメンテーターが2人居て、1人は天下の『Washington Post』のジャーナリストだった。この人がまぁ聞くに堪えないコメントを連発する。
聞くに堪えないといっても、あくまでも権造目線なので反対側の意見の人から見れば、お~~~いい事言ってるじゃないか、となるのであろうが、とにかくオバマの事をコケ落とすのに余念が無い。
日本では受賞の理由にどこの新聞も挙げていた『プラハの演説』における核廃絶の話なんて一言も出てこない。核兵器のかの字も全く無い。アメリカの各メディアも核廃絶の考えも評価された事の一つに上げているので全く触れないというのは確実に意図的だ。
アフガニスタンに増派するって言ってる人が平和賞だって?国内の政策もマトモに進められない人が世界の平和賞だって?ジョークにも程がある、と話の内容がどんどんずれていくにも関わらず止まらない。挙句の果てに、『アメリカはもうヨーロッパには大して興味が無い。』なんて、ノーベル賞自体を馬鹿にするコメントを平気で公共の電波に乗せて吐くものだから、お客さんと2人、唖然としてしまった。
『Washington Postってリパブリカン系の新聞だっけ?』
『間違いなくそうみたいね。。』
という会話の後、再び唖然と沈黙。。
どこの国も同じようなメディアの体質があり、どこの国も同じように相手批判に終始する。
もう1人のコメンテーターは、デモクラティック系らしく、国民として素直に喜んでもいいんじゃないかと反論していたが、Washington Postのジャーナリストの一方的な攻撃に歯が立たない。
その後、リスナーからの電話やメールの意見が紹介されていったのだが、半分は批判的で半分は肯定的だった。一方的な意見ばかり取り上げるのではなく平等に意見を出している分良心的な番組だと思ったけど、国民の意見の割合としては同じようなものだろう。
ちょっとその後の番組(ここでも一部オバマの受賞に触れていた)に寄せられた意見とゴチャゴチャになってるかもしれないが、中にはオバマが黒人だからどうだこうだという全く外れた意見も出てきて、辞退するべきだ、しないべきだ、と言いたい放題であった。

Washington Postのジャーナリストの言葉で一番頭に残ったのは『アメリカはもうヨーロッパには大して興味が無い。』という言葉と『平和維持というのは自己防衛力があって初めて成立する。』という言葉だ。

最初の方はヨーロッパ的メンタリティを全く理解出来ていない(というかしようともしない)ゆえのアホなコメントだと思った。
ノーベル賞のコミティーの人達はこれだけ大きな賞の受賞者の決定権を持つくらいだからオバマ政権の政策には精通しているはずだ。アフガニスタンへの増派だってもちろん熟知した上での決定なのだろう。それでも『核保持国として、唯一核を使用した国として核廃絶を目指す責任がある。』と実際に公に向かって口にしたのは歴代大統領で初めてであり、異文化異宗教の人達に歩み寄ろうといったのも、温暖化に歯止めをかけるように努力するといったのも、アメリカの大統領としては世界レベルで進んでいかなければならない道に近づいたわけで評価されたっていいと思う。
この時期に、実際結果の出ていない時点で賞を授与するという事は、今まで自国内にしか目を向けなかったアメリカの変化に対する賞賛であり、これから残していくだろう実績に期待するというプレッシャーと世論を巻き込んだ監視の意味もあるんだろう。
そんな事も考えずにアメリカにそっぽ向かれているヨーロッパがもう一度お友達になってくれと進呈してきた賞、とノタマうこのジャーナリストって考え方が偏っているだけではなく時代遅れだと思った。

そして、恐怖心をあおって自分達の考えを正当化しようとするのは物凄く政治色が濃い。
自己防衛力の維持があって初めて成立する、とサラっと言ってのけて、暗に『武力を放棄すると他の国々に攻め込まれてトンデモないことになる』と国民を煽動するわけだ。
自己防衛力=核保持の持続、と本来は全く同等な意味でないものをうまくすり替えて使う事で聞いてるほうは『何だかヤバイ』と具体的に何がどうというのは置いておいて心の中にすり込まれる事になる。ラジオってテレビと違って表情や身振り手振りが見えないから声のトーンの高くなるところは一層注意をはらうことになる。
ジャーナリズムというものは事実やその背景を伝える事で受け取る側が情報を判断する機会を持つ、という事だと思うんだが、なまじっかこういったコメンテイターの場合だと思いっきり『自分の意見』になってしまうので受け取る側もそれを考慮しないといつのまにかそれが真実になってしまう。
どこの国でも自分達の政策の長所を説明するよりも相手側の政策にケチをつけて国民の恐怖心を煽っていつの間にか自分達の側に取り込む方が手っ取り早いし、当たり前に行われてる事なんだなぁとつくづく思った。

このWashington Postの人、リスナーからの反対意見には全く無防備で、反撃された途端に喋るペースが乱れて言葉が急につっかえたりする。
『なんだ。反対意見には全く言い返せないタダの思い込みの激しい自称ジャーナリストじゃないの。』とお客さんは呆れていた。全く同じ思いである。
ダイアン・レインはあくまで中立の立場を崩さずに殆ど自分の意見は言わず、上手に両側の意見を引っ張り出したりつなげたりしていたので感心した。
こういうのが『正しい報道』って感じがする。

ちなみにリパブリカンのお抱え放送局、FOXニュースが比較的おとなしいのには驚いた。
CNNもこんな感じ

オバマの受賞に関しては日本でおおむね好意的に受け止められている印象があったけど、『日本に核を落とした国の大統領が平和賞受賞ってとうてい受け入れがたい』といった意見もあった。広島・長崎に住む人のうちこう思う人達がどの位居るのかは分からない。実際被爆した人達がこう思うのは自然な事だと思う。原子爆弾を落としたのは当時の大統領であり世界は戦争中であり、今とは状況が違うとはいえ、実際に被爆した方々の心境と言うのは体験したことのない者達が勝手に推測する事も理解する事も出来ないと思う。
それでも前に向かって進んでいかねばならないのも事実であり、広島・長崎の被爆団体の人が『核廃絶に向かって頑張って欲しい』と平和賞受賞を喜ぶ談話を読んだ時は同じように願ったし、ヒロシマ・ナガサキがオリンピック候補地に名乗りをあげるらしいし、こういった一連の流れの中で、オバマ訪日時には広島・長崎訪問が予定に入っていないなんてふざけた状態は辞めていただいて、ちゃんと原爆記念館を訪れてもらうべきだ。
『アナタの国はこんな酷い事をやったんですよ。』というメッセージよりは『こんな恐ろしい武器はこの世から無くすべきだ。』というメッセージとして。

権造の祖父の一人は戦時中に太平洋上で戦死している。
女手一つで立派に子供を育てた祖母は権造がまだ日本に居た頃に亡くなっていてその後権造がアメリカに渡って住み着いていることは知らない。
もっと長生きしてくれて権造がアメリカに渡った事を知ったとしたらイヤなんだろうか。
イヤだとしても権造の事はそういった感情によって嫌いになる事はきっとないと思う。

権造のアジア各国出身のお客さんの中で、数は少ないけど中にはそのお客さんの親が権造が息子や娘の髪を切ってる事を快く思わない場合もある。日本人に髪を切らせるなんて、と思いながらも息子や娘の事はそういった感情によって嫌いになる事はきっとないと思う。

こういった恐らく一方が反感を持っている二つの存在が、真ん中にもう一つの存在があることでリンクされていく。感情は変わるかもしれないし変わらないかもしれない。
単なる恐怖心に煽られたものではなく実際に体験した感情と言うのは他人が否定できるものではないと思う。ただ、こうやって繋がっていればもう片方の存在は排除するものではなく何となく意識するものになると思う。
こういう個々のリンク作りってノーベル平和賞からみたら極小すぎるものだと思うが立派に平和活動の一環を担ってると思いたい。


と、そんな事にまで話が及んだ約5時間半かかった縮毛矯正であった。



ところで今日(夜更かししてるんで正確には昨日。。)は作造の誕生日であった。
作造は仕事だし権造はバイト。
そう言ったらこのユダヤ人のお客さんには『アタシの頭なんてやってないでサクゾウに仕事休ませて2人でデートすればよかったのに!!』と散々叱られた。。
プレゼントは日曜日の夜寝る前に作造のベットに置いておいた。
やっぱeBayで買っちゃったんだが、パッと見て絶対作造が気に入ると確信したジャケットである。すでに凄い数ビットされていたのだが、セラーがトルコに居る為だと思うがビット終了がトンデモナイ時間帯だったがわざわざ夜中に一旦起きてラスト20分の壮絶なビット争いを見事に勝ち抜いた。
案の定、夜中に帰ってきた作造がガサゴソとプレゼントをあける音がして、その後トイレに入ったまま出てこない様子。きっと、、と思って起き出して覗いてみたら、やっぱいきなり試着して鏡の前でポーズ中だった。1つ歳を食っても相変わらずのナルである。
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最終更新日  2009年10月13日 16時00分37秒
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