のらりくらりと行きたい

ハァ。。。
もも造にまたあのウェーブがやってきた。
『大きくなったんだから一人で寝るっ！』の波である。

遡る事、もも造の５歳の誕生日。
ビッグガールになったんだから一人で寝てみれば？という作造と権造の勧めで、もも造は一気にテンション上げて一人で寝てみる事にした。
自分のお城モードにする為、部屋をこってりとプリンセス仕様にして天井からはピンクのヒラヒラカーテンを下げ、いつもベットの端っこに置いていた大量のぬいぐるみも移動して、真っ暗は怖がるので夜用のナイトライトに加え新たに長いコードに花が一杯ついててそれぞれの花の真ん中に小さいライトがついた照明をベットの周りに張り巡らせて、準備万端で初日の夜となった。

１時間して覗きに行くと目はパッチリで手は布団を握り締めて天井を睨みつけて硬直状態。。
戻って来い、、と言うと『一人で寝るっ！』と聞かないもも造。
３０分後。
寝返りってよりはベットの上をくるくる回って自分なりに『眠れるポジション探し』に必死になってるもも造。
『こっち来る？』『、、、、ノゥーー。』
そしてさらに３０分。
『、、、、来る？』『、、、、、アイドントノゥーー。』『来い。』『ノゥ。』
さらにさらに３０分。
『、、、、先に寝るよ。』『ノウゥゥーーーー！！！』
で、その後、大量のぬいぐるみのピストン輸送の後、やっと眠りに付く事が出来たもも造と権造。

無理に一人で寝なくてもいいと言うのに、一旦一人で寝たいと思ったからにはやってみないと気が済まないらしいもも造。
２日目も果敢にトライして、さすがに前日の睡眠不足が祟ったのかあっさりと就寝。
お？いけるか？と思ったものの、その後は連日夜中のぬいぐるみのピストン輸送が続く。
結局ブチ切れた権造が強制延期を命じて一人寝デビューは中止となった。

それから一年。
６歳になってしばらくした頃、再びこのウェーブ到来。
過去からの反省によりベットルームを飾り立てすぎるのはプレッシャーになるのでは、と学習した権造は、とっとと一年前に撤去して閑散としたベットルームをあえてそのままにして夜用照明だけ整えてぬいぐるみの数も最小限に抑えておいた。
この時は本人から一人で寝たいと申し出があったので、んじゃーやってみましょうかと金曜日に再デビューへと挑戦した。これも前回、ウィークデーど真ん中から始めてしまったので夜更かしを助長しただけで学校で居眠り連発となった失敗から学んだからである。
１時間後。。無理なら辞めたらいい、と最初から言っていたにも関わらず、覗いてみると壁に向かってすでに寝ている様子で、おお？さっすが１年間の成長というのは頼もしい！と喜んで、ドアをちょこっと開けておいて自分の部屋に戻ると、その後数分で出てくるもも造。。寝たフリしてたようだ。
この時も頑張ってはみるものの、結局数日で根をあげてしまい、結局権造とここ造の眠る部屋へとデモドリとなった。

そして今日。
今日はティーチャーズワークデーと言って先生のみの登校日でチビ達は休みである。
いつも月曜日で権造のオフデーとうまく重なるので適当にブラブラしてる事が多い。
今日はIKEAにランチがてらブラブラしに行くことになり、３人で１１時頃から出かけた。
ランチの後、子供部屋セクションからブラリブラリしていたのだが。

毎回、ここに行くとチビ達はかならずバンクベット（２段ベット）に釘付けになる。
飾ってあるのがこんな可愛いベットなんでしょうがない。

本日ももれなくもも造が『このベットが欲しい。』と言い出したので『まだ一人で寝れないのにバンクベットは必要ないだろう。』ってサラっと流したのだが、思えばこの時になんだか予感がしたといえばした。
その後も欲しい欲しいを連発してて、要は上で寝たいだけなんだが、こんなのがあるとここ造と上に寝る権利を争って毎日とんでもない事になる。それ以前にあれだけ寝相の悪い２人が怪我無くバンクベットライフを過ごせるはずがない。
『あのねぇ。寝相悪いし寝起き悪いしダメだって。毎日毎日階段上がったり下がったりとか眠いときに面倒だと思わない？』
と、思いっきり自分の場合を想定した意見を述べてバッサリ却下した。
そもそもこのベットの上に取り付ける星空模様のカバー。実は欲しくて持っている。
２段ベットはダメだけど、他のベットにつけたら可愛いかも～とかなり前に２つ買って、ウキウキしながら３人で取り付けて（ムリヤリ。元々このセットになってるベット専門のカバー）、早速夜にはチビ達は嬉々としてベットに潜り込んだんだが、、。
いつまで経ってもそれぞれのベットでモゾモゾとイモムシ状態の２人。
コラさっさと寝んかい、と言うと、『暑い』らしい。。。。
まぁ、取り付けたベットは縁が低く、よってカバーも本来より低い位置にある。暑苦しいイメージはあることにはあるんだが、、。
どれどれ、と権造がもぐりこんでみると確かになんだか暑苦しい、、。更に圧迫感があって閉所恐怖症の権造なんかは間違っても安眠できそうに無い。よって即撤去となりその後はベットの下にしまってある状態である。

そんなこんなでしばらくブラついて帰宅したのだが、夕方になってからもも造が急に『今日から一人で寝る！』と言い出した。
あああ？？
ウェーブ久々に今日到来？？
一時はもも造のためにもも造ルームになった事もある権造の部屋のベットって、現在はゆくゆく権造がeBayで売っぱらってしまおうと計画している服やらバッグやらが積み上げてある。あのさ～、無理に今日から始めなくっても週末にしようよ～と宥めてみるものの、前回の再デビューからおよそ一年半が過ぎ脳の回路も遥かにレベルアップしているもも造は
『マミーはそんな事言って自分がビッグガールに成長するのの邪魔をしている。』
なんてズバリ正論で返してくる。
要は夕飯時のクソ忙しい中、片付けるのは大変なので是非パスりたい、というだけの権造は、ヤレヤレ、、と、ベットの上に積み上げられたブツを移動することになった。

最近、誉める事が続いていたので（初めて先生から注意された事もあり叱る事もあったのだが）やたらと何でも自分でしたがるようにはなってきていた。丁度いいのかも、、とだったら最初から気分よく片付けてやれよ、自分、、と反省しつつ、キッチンとベットルームを行ったり来たりしながら何とか片付いた。
夕飯後に早速マイ枕やマイぬいぐるみ（数限定）を移動しだしたもも造。
その後風呂に入ってるときも、今日は枕のこっち側にコレ置いてあっち側にはアレ置いて～と調子よく語るので、いよいよいけるか？と密かに期待していた。

いよいよ一日の最後のミッション、歯磨きをしていたときの事。
先にさっさと磨き終わったここ造が廊下に出てくと悲鳴をあげた。
『まみぃ～～！！！！ばぐ、ばぐぅ！！！』
Bug・虫の出現である。どんなバグに遭遇したのかと見に行くと、疲れることに『蚊サイズ』の虫がフラフラと飛んで今日もも造が寝る予定の部屋に入っていった。
あんなのほっとけ。大したことない。と、一体今年の夏に過ごしたアウトドアライフの経験はどこに消えちまったんだろう、、とため息を付いてると、ここ造はスタスタと歯磨きしてるもも造の所へ戻っていった。
『ももちゃ～～～ん。ばぐいずいんゆあべっとる～む。』
コッ、コラーーーー！！！チクるんじゃないっ！
と思った時はすでに遅く。。。

結局、探すのが難しいくらいナノサイズのバグを探し出し、あっさり雑誌でバシっと仕留めて、更にそれをもも造に見せてバグは去ったと証明したのだが、歯磨きが終わってもも造が入っていったのは３人分川の字にベットが並んでいるいつもの部屋である。
あのーーー。と権造が言い出す前に、『マミー。アイライクユー　モアザンマイオウンルーム、オッケー？』と、自分の部屋よりマミーが一番♪と、甘い声を出して権造の隣のベットに潜り込んだ。
虫が居なきゃ聞くことの出来ないセリフである。
じゃー、明日もココで寝るわけ？と聞いてみると、明日またビッグガールの自分を意識したらまた一人寝に挑戦するそうだ。
もう好きにしてくれ。

同僚なんかには未だに一緒に寝てるというとハァァァ？？って顔をされるが、別にどっちだっていいじゃないかと思っている。
寝るときにベッタリ母親に依存してても、外の世界では充分独り立ちしているからだ。学校なんかで友達付き合いに問題があったりマミーマミーと７歳にもなって泣いてたりしたら考え込んでしまうかもしれないけど、充分外ヅラは成長してる。
ここ造は権造の体のどっかにくっついてないと眠らないので、寝るときは結局ここ造ベットから転がり落ちて権造の所にやってくる。そんなここ造を見て『たまには自分もマミーのベットで寝たい。』と駄々をこねるもも造であるが、コレはきっぱりお断りしてる。
もも造だってここ造の年齢の時はいつも権造の腰の辺りにくっついて寝てた。それから少なくとも自分のベットの範囲内で寝る様になったんだから逆戻りすることはない。
それより何よりシングルベットで３人って勘弁願いたいじゃないか。

明日はもも造、どこで寝るんだろう。。。
毎日こんな事してるより、冬休み中に思い切って模様替えして権造のベットだけどけちゃうほうが手っ取り早いかもしれない。




って言いつつも。
チビらとくっついて寝るのは悪いもんじゃない。
口をポカーーーっと空けてるマヌケな顔も可愛いし、日曜日に目が覚めてみると権造の顔を至近距離で２人で覗いてたりするのもなんだか嬉しいし。
だけど一人でゆっくり寝たいとも思うので贅沢っちゃ贅沢だ。
やがてもも造もここ造も一人で寝るようになって権造の横にどっちも居なくなったときに嬉しいんだろうか寂しいんだろうか。
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作造は時間帯も違うし作造ルームで寝ている。
今になって廊下を超えドアを超え耳に届いてくるあのイビキを聞くと、よくもまぁ隣でスヤスヤ寝てたもんだと我ながら感心する。
お互い別々に寝るのに慣れちゃってるからまた一緒に寝るってラブリーな情景がイマイチ浮かばないのだが。
作造なんて本家以上のデカさの物体が隣に寝ることってなくなってるから権造なんかが横に居たらキンチョーして寝れないんじゃないだろうかと思う。
権造だって似たようなものだな。
もしまた一緒に寝るような事になれば『きょ、今日からよろしくお願いしますっ。』ってキョドウフシンになるだろう。再び初々しい感じがして悪くないのでは、、と思った端から、どー考えたって歳食ってるし絵的にかなりイヤ～な感じだ、と思うのは権造だけではないだろう。