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カテゴリ:チビ
今回の心労の最大の素となったのは、もも造の担任のセンセである。
新年度が始まったのが、8月の真ん中頃。 で、それから1ヶ月ちょい位過ぎたある日、もも造が嬉々として権造に報告してきた。 それによると、センセがおめでたらしい。 おお~~、凄いよねぇ~、おなかが段々大きくなってベイビーが動いたりするのが触ると分かるようになるよ。センセ、息子1人だけだし良かったね~、なんて一緒に大喜びして次の日早速センセにお祝いの言葉を掛けた。 『いや~、ありがとう。前の妊娠の時は体調を崩してばっかりで散々だったから、今回は楽だといいんだけど。』 『大丈夫だよ~。毎回全然違うってみんな言うし。で、妊娠どのくらい?』 『分かったばっかりで5週間くらいだと思う。』 うぉ。発覚後即発表という先生にはちょっと驚いたものの、体大事にしないとね~とそれで話は終わった。 そして、その日を境にセンセの体調は一気に悪くなった。 朝、教室にチビを連れて行って、おはよ~と声を掛けてもボーーーーっとしてて気がつかない。遅刻早退が頻繁になる。休む日が増えていく。 う~~~~~む、、、、妊娠初期はつわりだ何だととかく体調を崩しがちであるが、『アレ?今日も居ないの?』という驚きから『アレ?今日は居る!』という驚きへと毎朝の権造のリアクションが変わりつつある頃から、ついにもも造が前日必死こいてやった宿題をそのまま持って帰ってくるようになった。 宿題は全部毎日持って帰ってくるフォルダーの中に入れて翌日提出する。 センセは宿題を全部フォルダーから取り出して採点して、宿題によって週末にまとめて返してもらったりそのままセンセが持ってたりする。 それをノーチェックでそのままフォルダーに入れっぱなしの状態で帰宅するようになってきたのだ。 この時点でかなり権造はイラつくようになってきた。が、別にセンセに対してではなく休むなら休むで結構なんだが、代わりの先生とうまく引継ぎが出来てない状態に対してイラついていた。 自分の場合、もも造の時はつわり皆無で代わりに妊娠後期に妊娠性痒疹に悩まされた。ここ造の時はつわりがかなりあったものの、サロンでたまに『エクスキューズミー。』ってスタスタとトイレに行って、うげぇぇぇ~~っ!!と吐いてしまえば後はケロっとしてそのまま平気でカットしてたりしたので、従業員用トイレ前でドア越しに うげぇぇぇ~~!!というのをたまたま聞いた同僚以外、誰もゲロってるのも知らなかった。 なので、寝込んだりするくらい体調を崩すというのがどれほど辛いものなのか想像もつかない。センセには激しく同情するものの、父兄としての立場では、このままではチビの学校生活に影響するんじゃないかとかなり心配であった。 もも造フレンズのケイリーのママも全く同じ気持ちであり、帰宅後フォルダーをチェックして、あ~また持って帰ってきてら、と思っている頃にケイリーママから電話が掛かってくる。 人と言うのは勝手なものというか、とても調子よく出来てるというか。 それまで、ピリピリイライラしてたくせに、自分以上のテンションでキーキー言ってる人と接していると不思議と落ち着いてなだめたりする。 毎回毎回、権造の方がキレるとケイリーママが、まぁまぁ落ち着いて、となり、ケイリーママがもう我慢できない!となると、今度は権造がもうちょっと様子見てるうちにセンセ元気になるかもよ~なんて言ってみたりする。 そんな状態が続いたものの、結局センセが居ない日は各専門の先生達が自分の授業の無い時間帯に入れ替わり立ち代りもも造クラスにやってきて、チビの面倒を見ているという状態が続くようになった。元々、たった5人のクラスだから副担任が居るわけでもなく、午前中はスペイン語の先生、午後の初めはコンピューターの先生、終わり頃は音楽の先生、なんて風になってきて、チビ達も落ち着かなくなってきた。 この年頃のチビたちは非常に分かりやすい構造をしてるようで、毎週あるテストの点数がまずガッタガタになってきた。ウチのチビだけじゃなく他のチビも同じである。 次に宿題をやりたがらないようになってきた。毎月10冊ノルマの読書なんて、全然読む気なし。 すでに11月に入っていて、2週目くらいについにセンセが救急に行く事態となる。 かなりつわりが酷すぎるようで、点滴打って薬を出してもらって、しばらくしたら学校に来たので、『しばらく休んだほうがいいんじゃない?』と権造が言うと『でも生徒達の事もあるし、自分も働きたいし、体調が悪い時はダメだけど出来る限り出てきたい。』と言う。 もーーーーのどのてっぺんの方まで『それじゃこっちは困るんだ!』と出てきてたものの、フラフラになってるセンセにとどめを刺すのもどうかと思い、ぐっと我慢した。 で、11月は結局半分以上センセは休み。せめて引き継ぎだけはちゃんとしてくれとお願いしたものの、やっぱり何人も先生が行ったり来たりしてる状態ではうまく行くハズが無い。 ついにある日、朝教室に行ったらなんと体育専門のコーチが教室に座ってたので権造はプチ切れた。 ケイリーママと一緒にオフィスに乗り込んで、オフィスのボスのリサという女の人を捕まえて、『話があるんだけど。』とオフィスの外に引っ張り出した。 普段、談笑する事はあるものの、今まで全くクレームを出した事が無かったケイリーママと権造が改めて呼び出すものだから、リサはかなりビビっている。 * センセが体調悪いのには本当に同情するけど、子供を学校に預けてる親の立場としては毎日不安定な扱いを子供が受けている状態に我慢が出来ない。 * 見事にチビ達の成績が下がっているという事実を重く受け止めてもらいたい。 * センセは教師として学校に居る意思はあるようだが、体調が着いていかない状態に入っていると思われるので、医師とちゃんと相談して身の振りを考えるように提言して欲しい。 * その際、学校に残る際はプロの教師として仕事が出来るようにとりあえず体調を回復して欲しい。 * とりあえず毎日違う顔をチビが見なくて済むように至急代理の先生を雇って欲しい。 このような事を切々と説いた。リサも1年生の娘をこの学校に通わせていて、学校側だけでなく親としての立場の気持ちも分かるはずだ。 リサは充分、権造達の心配を理解してくれたようだったが、難関は校長先生でもある牧師である。いわばこの人の手腕に掛かっているようで、結局その数日後校長先生のところにも直談判に行く事になった。 その間、センセが学校に来たときには調子の良さそうな時に学校側に話をしたことを伝えた。結果的にセンセの知らないところでクレームをつけるような事になるのはイヤだったし、リサや校長先生から間接的に話を聞くよりは直接権造の言葉で伝えたかったからだ。 センセはまだ『もしかしたらそのうちすっかり体調が良くなるかもしれない』という希望を持っているようだったが、権造はきっと無理だろうと思っていた。後はセンセのプロ意識に賭けるしかない。 基本的にこっちは妊娠って全く病気と別個扱いで、妊婦は特別扱いされない。だからもちろん妊娠を理由に解雇するのは法律で禁じられている。 美容の世界に入る前に美容学校に行きながらバイトしてたレストランで一緒にウェイトレスをしてた女の子は子供が生まれるギリギリまで働いていた。 忙しいランチタイムは食べ物を持って走り回る事になるし、ビール箱を運んだり机を動かしたりとかなり重労働に近い部分もありヒヤヒヤであった。何よりもお客さんの方が皿を持って走り回ってる彼女にぶつかったりするのを恐れたり、机を動かそうとしてる彼女に『そんな事をしちゃだめだ、いいよ、自分達でやるから。』とお客さんが机を動かしたり。お腹が邪魔でテーブルの間を通れなかったりするようになってきたから、オーナーとしては辞めて欲しいようだったが、逆に訴えられたりするととんでもないと言い出す事も出来ない。 一度彼女がテーブルの足に躓いて転んだときに『もう危なっかしくって見てられないから辞めたらどう?』とお客さんに言われてた事があった。権造も他の同僚もみんなそろそろ休んでは、、と勧めたのだが結局彼女はギリギリまで働いた。 権造もギリギリまで働いている。 立ち仕事だから大丈夫?という心配は数回されたものの、基本的に動き回らない仕事だし、スケジュール調整が出来るので妊娠後期は普段よりもゆったりめに予約を入れて、もも造の時は出産の10日前まで、ここ造の時は3日前まで働いていた。 唯一出来なくなったことはシャンプーで、シャンプー台にお腹がつっかえて手が届かなくなったので、コレはアシスタントにお願いした。 スピード感ある仕事でもないし、1対1のサービス業だし、とことん体調を崩すことなく居られたから、ここまで働けたんだと思う。 色んな業種があるが、やっぱそれぞれの仕事のプロとして、妊娠によって同じクオリティを保てなくなった場合、それが他人に影響を及ぼすものである限り、思い切って退くのもプロ意識の一つだと思う。 自分が頑張りたいからだとか、子供達が可愛いからとか、生活が掛かってるからとか、理由は人それぞれあるだろう。 センセの場合、続ける事がプロの教師としての義務だ、と権造に言ったが、逆にそんなセンセに権造は、プロの仕事をするのがプロとしての義務だと思う、と言った。 その後もセンセは休みと登校を繰り返していたのだが、サンクスギビング休暇が開けても出て来れない。 12月に入り、ついに校長先生は2週間代理の先生を1人立ててくれたが、結局3週目になってもセンセがくる事は無かった。 そして、学校が冬休みに入る数日前。 家に帰ってフォルダーを見ると、校長先生のサイン入りで、センセは学校に戻らないと決めたようだ、という通知が入っていた。 代理の先生がそのまま学年最後まで引き継ぐ事になったのだが、この先生はもも造が幼稚園の時に担任だった先生だ。かなりイージーな先生だから一抹の不安は残るものの、しっかりこの先生にも権造は話をして、とにかくビシビシと幼稚園の時とは違って厳しくして欲しいと伝えた。 学校最後の日。 センセがチビ達にお別れに来たそうだ。 クリスマスプレゼントを5人のチビに持ってきてくれて、もも造は大事にテディベアのぬいぐるみを抱いて帰ってきた。 アドバイスありがとう、マミーにヨロシク、と言っていた、ともも造から聞いた。 結局、センセは働きたかったけど権造やケイリーママのクレームで諦めたんだろうか。 それとも、あんな体調では教師として続けてはいけないと自分で思って辞めたんだろうか。 ずっとイライラしてた数ヶ月の結末は、権造が望んだとおりになったんだと思う。 でも元々、去年に始まった学校の経営不振の中、他の学校に移さずにそのまま留まったのは、夏休み中にこのセンセと直接会って話して、このセンセだったら安心して預けられそうだと思ったからだった。 優しいけど厳しいセンセだった。 結局、教師と父兄という立場ではこれ以上担任を続けてもらいたくないと思うようになってしまったが、同じ母親としてはゆっくり療養して元気な赤ちゃんを産んで欲しいと思う。 ちょっと今でもセンセにあんな事言って良かったんだろうかと思いつつ。。。 来月休み明けになったらもも造の落っこちた成績とダレた態度をどうにかせねば、と思っている。 明日はいよいよクリスマス。 今夜チビ達が寝てからツリーの下にプレゼントを置くので、現在家のあちこちに包んだプレゼントは隠してあるのだが、チビの必死の捜索が続いている。 見つからないように!と願ってくれる人、クリックよろしくお願いします! ↓↓↓ にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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