|
カテゴリ:原発
一体どうなるんだろう、今後の福島原発は。そして日本は。
そんな事を考えながら、先日NHK教育テレビで放送されて凄い反響だった『ネットワークでつくる放射能汚染地図』が載ってるサイトを探して観た。 今まで毎日毎日ニュースを見ながらアレはこうだ、コレが悪い、と遠くから叫んでるだけでごめんなさい、と土下座したくなるくらいにネットワークに参加してる専門家の方々には頭が下がる。 原発事故後のあんな早い時期に危機感を持って動いていた専門家の人達が居たとはとても嬉しい驚きだった。 ビキニ環礁での調査も行ったという重鎮からからチェルノブイリやJCOへ出向いて調査・検証した方々まで。 日本の『原子力』のプロというより『原子力事故のプロ』とも言える人達は、テレビや新聞で『大丈夫です』を繰り返してきた安全委員会・保安院といった政府の機関や御用学者と言われる人達とは、全く次元の違うところで実際に動いていてくれた。 このネットワークを始めた木村さんはチェルノブイリやJCOの事故の調査に出かけていた放射線の専門家の方。今回の福島の事故では職場から調査の停止を求められてなんと辞表を出してこの調査に乗り出したそうだ。ご自身にも子供が居て子供の将来を考えると調査の必要性を感じられたという。早い時期から現地入りして実際あちこちに足を運んで線量を測りサンプルを採り協力してくれる全国の研究室に送り確実なデータを取り続けている。岡野博士という方はビキニ環礁まで調査に出かけ世界的にも認められている独自に開発した測定器を持つその世界の重鎮らしい。ご年配にも関わらず木村さんと共に車に乗り福島の原発近くからすみずみまで測量を続け『汚染マップ』を作り上げた。各地の大学の研究室の人達がそれぞれの専門分野で協力して力を結集して正しい記録を取り残そうとする気迫のようなものが感じられた。京都大学の先生が測定しながら『現実とは思えない数字だが、記録して残すのが私の使命だ』とおっしゃっていた。とても重い言葉だ。 途中で会う避難所の人たち。そもそもその避難所自体がホットスポットという極端に線量が多い場所で滞在するには適していない。木村さんは避難所に居た人達に正しい数字を伝えたのだが、テレビしか情報手段が無いそこの避難所の人達は国や自治体からのそういった情報も無い中、避難所を後にする事を決めた。 そして涙無しでは見れなかったのはシベリア抑留から戻られた方がわずか50羽から始め3万羽まで増やした鶏を全部餓死させてしまう箇所だ。その方の所には餌が届かない。誰も放射能を恐れて届けないからだ。えさ場に餌が無いのに必死に首を延ばしてからっぽの底を一生懸命つつく鶏と『この鶏はとさかが黒くなってきてるから明日かあさってに死ぬ』と淡々と話すその養鶏家。数日後にカメラが訪れると鶏の声はもうなく箱積みにされた死骸が積まれていた。シベリアで命を無くしそうになり今その後築き上げてきた人生や生活を全て奪われてこの方はどんなに悔しいだろう。補償を受け取ったとしても無くなってしまったものの大きさや喪失感というものは消える事は無いと思う。 未だに放置された問題で世界中から非難されている子供の20ミリシーベルトの問題も、福島での説明会では基準を作ったとされる安全委員会の人が『子供の許容被曝量20ミリシーベルトを原子力安全委員会は容認していない』と言い出す始末。一体政府はどうなっているんだろう。 話は番組から逸れるけど、そもそもこの20ミリシーベルトに関しては決定された過程というのがものすごく曖昧だ。議事録も採らずに安全委員会が数人のメンバーで専門家も同席させずにちゃちゃっと決めてしまった、というのが今のところ言われているけど、知らぬ存ぜぬと逃げ回るばかりでついには『そんな事言ってない』と言い出したのだ。もう終わってる、この組織。保安院もひどいけど安全委員会は保安院以下だと思う。班目という人も前から頼むから辞めて欲しいと嘆願書が寄せられていた人である。日本人として本当にこういう機関で働いている人達の事を恥だと思う。保安院にしても安全委員会にしても何の為にそもそも存在してる機関なのか。存在するべき機能を果たしていないだけでなくいかに責任を回避するかを最優先事項にしてるような言動しか出来ないような人間を平気でメディアの前に出す。要は全体がそういう体質であり、そういう人間しか居ないんだろう。こういう無駄な機関はこの非常時でももはや要らないんじゃないかと思う。文科相だって『放射線に関わる労働者は過酷な条件のため、保護する必要があるから基準は厳しく設定されているが、小学生は労働をしないので20ミリで問題ない』と言う始末だ。これは労働基準法がどうのこうのと言う以前に常識のある人なら誰だってオカシイと思うレベルの話である。そして真剣にこれは法律違反じゃないかと思う。 番組の中で避難区域や警戒区域の人達に取材してる箇所を見て一つもの凄く気になった部分は動物も人間以上に犠牲になっていると言う事だ。家畜にしろペットにしろあまりにもおろそかな対応だと思う。 自分にもペットは居てハリケーンが来るとなると毎回念の為にペットをつれて避難出来る避難所を確認したりする。アメリカがそういうペットフレンドリーな部分がありすぎるのか、日本が酷すぎるのかと考えると間違いなく日本が酷すぎる。残念ながら先進国の中では最低レベルだと思う。以前にも紹介した、自分ちから30キロ圏内にあるマイアミの原発の避難マニュアルにはきちんと家畜やペットについて触れられている。 今の状況を語るにはもう酷すぎてとても書けないけど、事実をちゃんと見て伝えようとする心の強い人達があちこちブログで書いている。 キーワード検索でたくさん出てくると思うけど、自分が読んだブログはコレ。 『うちのとらまる』 http://ameblo.jp/uchino-toramaru/entry-10864389048.html なんだか悪寒と吐き気と涙が一緒に押し寄せてくるような感じ。哀しさよりも怒りが大きい。こういう時のマニュアルが全くないから何をしていいのかもどんな指示だしていいのかも自治体は分からない。そして原発は安全だとウソを言い続けてきた政府にももちろん計画的な避難方法などあるはずもない。家畜の場合もペットの場合も最初は避難するのが数日だけだろう、と思ってそのまま置いてきた人達だって多かったはずだ。そして今回、この番組で随分早い時期にすでに政府はある程度の汚染状況を把握していた事が分かった。本当に罪深い人達がトップに居て残念だと思うけど、もっと早期に『いつ戻れるかも果たして戻れるかも分からない』という正しい情報を伝えていれば、たとえば全部は無理にしてもなるべく多くの家畜をできるだけ遠くの牧場に移したり、ある程度離れて汚染が届きにくいと思われる場所に移動させたり、ペットだったら連れて避難出来る場所を整えたりだとか、色々対策は出来ただろう。例え政府がやらなくても動いた人が必ず居たはずだと思う。そして正しい情報が伝わっていればあんな酷い状況になる前に『安楽死』や言葉は悪いが『殺処分』という選択もあったかもしれない。 今回の悪は『情報の隠蔽』に凝縮されている。段々事故当時の様子が語られたり新しく公開される情報もあり、事故後からの東電や政府の対応がいかに酷かったかが段々と明るみに出てきた。 パニックになるといけないから正しい情報は伝えない。 補償問題があるから後で責任を問われる情報は出さない。 大勢の人間を避難させないといけないから正しい汚染状況は教えない。 一時帰宅する人達に『自己責任』だと署名させる。 屋外で部活する高校生の父兄に『自己責任』と署名させる。 風評被害を払拭したいから汚染された野菜を学校給食に出す。 こんな国って何なんだ? 自分が故郷だと思ってる国はこんな非道な国だったのか? 対処方法や計画や会見を見る限り、政府の方針と東電トップの方針には信用も常識も良識も良心も何もかも感じられない。 そしてそういう悪しきものを持つ日本という国は世界から見ると不気味な国に映っている事だろう。 世界中からの尊敬を集め今も果敢に闘っている『Fukushima50』と呼ばれた人達や、震災後世界中を感服させた秩序と思いやりにあふれた被災地や全国の人達の言動は、その後の政府と東電の理解に苦しむ言動によって陰に隠れてしまった。国際的な観点からすると復興はゼロからではなくマイナスからなのは間違いない。 政府に今50もある、まったく意味のない議会や組織の殆どは無くしてしまえば良いと思う。 この番組に出ていた日本全国のネットワークに属する先生達で無駄に存在してる有識者会議や補佐官の類いは全部無しにして大丈夫すぎるだろう。保安院も安全委員会も一度全部つぶすべきだ。今なお昔の体質のまま2つに分かれているのも、政府の各省の機関であるという事も理解出来ない。中立性が皆無である。緊急マニュアルの一つも作れないし、放射能災害用ロボットの開発を平気でボツにするような、危機管理のカケラもないような機関の人間が毎日偉そうにマイクで会見してるのを見るだけで腹が立つ。最初は記者の質問にいちいちパニクってアワアワしてたのがマイク慣れだけしてきたのをみると一層気分がわるい。 原発の後始末はもの凄く長い期間がかかるだろう。 それよりも今まだ状況が少しも好転していない。 番組で見たような放射能災害の良識あるプロの人達のように、原子力工学の分野でも良識あるプロの人達は大勢居るはずだ。そういう人達の集まりに政府や東電は分からない部分をお願いして委託すればいいと思う。政府の息のかかった自分たちが聞きたい事しか言わないような人間を集めて何が出来るって言うんだろう。今更。 阪神大震災の時のように、すみません、どうしていいか分からないから協力してください、というリーダーであったなら。と思う人って自分だけじゃないと思う。 いつか原発が収まって本格的に3つ重なった災害からの復興が始まるときに。 日本には放射能災害のプロとして世界に誇れるノウハウや技術をもった国になって欲しいと心から思う。 エネルギーだって『再生エネルギーは安定供給出来ない』と頭から決めつけないで、その分野で世界のどこよりも進んだ技術を開発すればいい。 例えば(可能なのかどうなのか分からないけど)高層ビルの窓を全部ソーラーにする為にガラスのような素材で太陽光を取り入れる事の出来るもの。(そして取調室のように片側からは透けて見えるもの・笑) 未だに難しい電力の備蓄方法。 各家庭で可能な再生エネルギーのコンパクト化 電力消費量を抑えた家電の開発 などなど。 孫さんは今回の事故でもの凄い人だとつくづく思ったけど、こういう分野の研究や技術の進歩を引っ張ってくれそうだ。 希望はすでにあるんだと思う。番組に出ていた専門家の人達や孫さんや武田先生などなど。そして忘れてはいけないのは福島原発内の人達。 とりあえずは、、。 対策本部はやはり政府が安全だと言う最前線に置いて欲しい。 最初は『福島原発内に対策本部置け』なんてコメントをあちこち見るとエゲツナイ、、と思ったが、今はそうでもしないと本当に国民の怖さが理解できない人達なんじゃないかと思う。 え~と書きたい事の半分も書いてないうちにこの時間。 怒りながら書いていたのでイヤな表現あったらスミマセン。 日本では総合ですでに再放送が決まったらしいこの番組。もし見逃していた人がいたら絶対に見た方がいいと思う。 NHKはよく放送してくれた!と思う。公共放送局としてのお役目を立派に果たしてると思う。 NHK見れない人の為に。。。 自分はこの人のブログで見た: http://shachoublog.net/nyu-su/nhk-etv.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|