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テーマ:政治について(20221)
カテゴリ:外から見た日本について
橋下さんがまた爆弾発言をして注目を集めている。
維新が注目を浴びなくなってきたから寂しくなって突拍子もないことを言いメディアの注目を集めて喜んでいるんだと思うけど、政治に関わる者として個人の見解が国を代表してしまう場合もあるということをちょっとは自覚して欲しいと思う。そもそも国内でしか通じないようなメンタリティを平気で他国に押し付けようとするのは政治家という立場以前に一般常識に欠けていると思う。それもですよ、男女平等をうたっているアメリカ政府、女性兵士も最前線に出すことを数ヶ月前に正式に決定したアメリカ軍に対して、『沖縄在住の米兵達はもっと日本の風俗を利用するべきだ。』って平気で言っている。この人は常識が無いだけではなく、国際的感覚が無いだけでもなく、対話している相手の国についてあらかじめ勉強すると言うこともしていないであろう無知っぷりを『自慢げに』披露出来る特殊な精神状態の持ち主と言わざるを得ないと思う。 従軍慰安婦についても一夜明けて今日のTwitterでは、で、何が言いたいの??と頭をかしげたくなるツイートの連続だ。昨日の発言がここまでブーイングを食らうと思っていなかったのか、ブーイングが来るのを想定して昨日既にした書きしていたツイートなのか知らないけれど、オレって上手にまとめるぜって本人は思ってるのかもしれない『風俗業の女性に失礼だ』という見え見えのすり替えになっている。 私は政治家になってからの橋下さんが好きではないのでこういうツイートを見ると一層カッカしてしまうんだけど、この橋下さんの一連の発言は橋下さんだけがオカシイのではなく、これまた頭に来た『女性手帳』などというものを平気で作ろうとする動きと実は根っこの部分でしっかり繋がっているのだと思う。 戦後新しい憲法が出来、女性の代議士も登場するようになったはいいが、元々はアメリカの監修の元進められた動きであり、法が変わろうがどうしようが世の中の男性のメンタリティというのがどの程度そういう動きについて行けたのかと考えると若い世代は別としてかなり懐疑的だと思う。そしてそれは戦後60年以上たっても続いているものであり、特に政治の場では色濃く変わらぬメンタリティを受け継いでいると思う。 言葉悪く言えば『戦地ではお国の為に命をかける兵士の性欲の処理、生活の場では子供を産む道具』であった60年前の風土は、男女平等となった今はおおっぴらには出てこなくとも国の政策の一端や政治家の発言の端々に今でもチョロチョロ見え隠れしてるということだ。 ことわっておくけど、私は別にフェミニストでも昔のWomen's Liberationでもなんでもない。ただ、女性がこんな言われようをされるのも、女性手帳なんてくだらない物を持たされるようになるかもしれないのも、普通にバカバカしいと思うし頭にくるだけだ。 少子化によって将来もたらされる日本の破綻を防ぎたいのなら政府がやることってもっと違うことがあるでしょう。 危機感だけは持ってる様子は伺えるけど、なぜ根本的な理由や問題をもっと掘り起こして正面から向かうことをせずにとりあえず形だけ整えたように見せて終わりにしようとするんだろうか。 何故、少子化が止まらないのか。 子供を産んで育てたいと思う希望よりも、産んだことによって女性個人が失うものが大きいからだ。 そしてそれは子育てによって自分の時間が無くなるといった自己中心な理由ではなく、産んでしまったらその後仕事に戻れない、という恐怖感だ。更にそういう恐怖感の背景には『自分のやりがいを失う』という精神面の問題だけではなく、生活コストが上がって来ている上に三世代で住むことも無い若いシングルファミリーが多い現代においては『共働きじゃないと生活出来ない』という切迫した理由もあるはずだ。 目指すべきは『出産育児と仕事の両立』であり、そのための託児所や保育園の整備である。月に何万円かの手当なんて全く必要ない。そんなの自分たちで稼げばいい。逆に、月に数万円あげるからもう一人産んでくれって言われても、はいそうですかじゃあ産みますって人は少ないと思う。 幼稚園が文科省で保育園が厚生省だっけ、まずはこれを一元化しないとお話にならない。最近、民営化への動きのニュースを時々目にするようになったけど、それ以前に一元化する法改正とか進んでるんだろうか。いまと変わらないままただ単に民間に丸投げしても結局働きながら子育てしようとする家庭に経済的な負担をかけるだけで全く少子化克服への道へは程遠い。 ちなみに私達には10歳と8歳のチビが2人居るけど、チビ達を産むことによって仕事を辞めるというのは最初から考えたことも無かった。 アメリカに住んでいることと職業が美容師ということが大きな要因だったと思うけど、妊娠中も日本だと出産の数ヶ月前から産休に入る事も多いらしいけど、『え、妊娠って病気じゃないのになんで休むの?なにか妊娠のトラブルでも?』という土壌なので、早めに産休に入る理由が無い。だいたい、お客さんだって『もしまだ産まれてなかったらカットしてね。』ってなもので、予定日まで予約が入ったりしていた。結局、上のチビが産まれる1週間前まで、下のチビは産まれる3日前まで働いた。破水したりしたらここから病院に誰か連れて行くからとゲイのオヤジカップルのオーナーに言われて、入院バッグは毎日サロンに持って来ていた。 出産後も戻ってくるのが当たり前、ということで、出産後2週間頃から一体いつ復帰するんだと急かされる中、お願いして1ヶ月は産後休みを貰ったけど、その後は仕事に復帰。子供を持つ前はフルタイムで夜遅くまで働いていたけど、出産後は今に至るまで週に4日(結局、お客さんのスケジュールの都合で休日出勤も多いけど。)朝早くから夕方まで働いている。 普通、どこの義務教育の教育機関でも朝は7時から始業時間まで、午後は授業が終ってから6時まで、学校内でスタッフが子供を預かってくれる。公立、私立に関わらず、これには料金がかかる。 毎日チビ達を学校に送って行き、仕事に直行し、終ったら速攻で迎えに行き、帰宅後キッチンに机を持って来て宿題見ながらご飯を作り、あっという間に一日が終る。こちらの友人達はベビーシッターさんを雇ってる人が多いけど、ウチは最初に雇おうと思わなかったのでずっとそのまま続いている。仕事が休みの日もなんだかんだとチビ学校のボランティアに行ったり仕事の講習会があったりで忙しい。それでもこれが普通なのでこんなものだと思っている。仕事は続けたいというのもあるけど、ダンナも自営業なので高額の健康保険や家のローンもありやはりダブルインカムじゃないと大変だと思う。ごくごく一般的な必要性にかられた生活してると思う。 唯一、日本のニュースをみたりして私は恵まれていると感じるのは絶対に子供を預ける場所は周りにたくさんあると言うことだ。上のチビが産まれて初めて預ける事になったとき、初めての経験なのでとにかく片っ端から家の近所にある託児所のリストアップをしてしらみつぶしに訪ねて最終的に絞り込んだ。リストアップしたのは12件ほどあったと思う。言葉の壁(マイアミの場合はスペイン語)にぶつかり絞り込む過程で悩んだけど、結局オールスペイン語の託児所に幼稚園に通う歳まで2人とも預けた。 日本の場合、預けるところが無い場合は: *近くに親が居たら親に預ける *仕事を諦める この2つしかパッと浮かばない。人に迷惑かけるか生活レベルを落とすか自分のキャリアも諦めるかしか選択肢が無いなんて、こんなネガティブなイメージの出産子育てってやはり躊躇してしまう部分がある。子供を産んでみて人生がすごく(大変だけど)豊かになった私はとても悲しい現状だと思う。 頭ゴッチゴチの政治家のみなさんには『女性の社会進出の奨励』と『少子化対策』というのは今のままだと100%同時に実現出来ないということを分かって欲しいと思う。 女性手帳ってなによ、それ。若い頃から『適齢期に産む啓蒙』を行うらしいけど、産んでも仕事も続けられないような社会で誰が産みたいと思うのか。何故、みんな高齢出産になるまで出産を考えられないのか、その意味を考えたことがあるんだろうか。手帳を渡したから後は女性の責任で、って丸投げしているだけにしか私には見えない。この手帳に関する少子化タスクフォースとやらの会議でこんな無責任な手帳が『特に反対意見も無く』作られる方向に向かっているのは信じがたい。 ここ数日、これまたニュースで見るけど、卵子のドナーに関する法改正も同じ流れの中にある。サラっとさりげなくニュースで流れてるけど、高齢出産で卵子の老化で妊娠出来ない人にも妊娠出来るようにするから産めということも含まれているんだろう。もともと卵巣に問題があり妊娠出来ない人にとってはこれとない朗報であるが、そういう風に報道される裏側に隠れていることにも目を向けた時に見えてくるものって『なにか違うんじゃない?』という違和感がある。 慰安婦問題、風俗に関する問題発言、女性手帳、卵子ドナーの法改正。 全部横に並べてみるとなるほどね、と思う。 次世代の政治家になるとちょっとは変化があるんだろうか。その頃には少子化対策はすっかり手遅れなんだろうな。 2050年まで持つんでしょうか。日本は。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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