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カテゴリ:政治
先週、台湾出身の男の子がサロンに来た。
台湾での学生運動の一連の報道を見た私が彼に質問メッセージを送ったらすぐに次の日に来てくれた。 私がこの運動について知ったのは運動が始まった翌日あたりから台湾出身のお客さんや友達がFBに投稿を始めたからだった。最初は英語でこういう運動が広がりつつあるという説明から始まったけど、学生の子達はすぐに中国語で激しく怒りを表したり賛同する投稿になった。 プロフィールの写真も数日のうちに向日葵運動のシンボルイメージの写真に変わって行った。 そして日本語でのメッセージもYoutubeにアップされている。 http://youtu.be/nCaQJCkt8wk 彼から聞いた今回の『向日葵運動』と呼ばれる学生運動の発端は報道で見る通りの『中国・台湾間のサービス貿易協定可決』に反対する学生達が起こしたものだった。反対している点は2つだそうだ。 1つは『可決のプロセス』。事前に一切の審査もなく与党の強行決議によって採決された。そしてもう1つは『サービス貿易協定の不透明性』。これは協定自体の内容に反対するという意味も含まれるそうだけど、そもそも協定の内容は殆んど公表されず、調印自体も中台間で秘密裏にされたそうだ。なんだかTPPの過程と同じだよな〜〜と感じた。 もちろん根底には中国に『統一』されたくない反対派の危機感もあるそうだ。Pro Chineseと呼ばれる保守派とPro Taiwaneseと呼ばれる革新派は台湾内では半々らしく、かつては随分自らのアイデンティティについて意見が異なっていたものの今では統一を望もうとも望まなくても自らを『台湾人』と呼ぶ人が多いそうだ。 立法院の占領の様子が海外ではなかなか中立的に報道されないと彼は言っていた。日本の報道の様子を聞かれたので、ニュースでちょろっと触れる位でクローズアップされているのは占領してるという事実だけだよ、と言うと、彼が先週の時点で見た限りでは占領している学生達を強制排除しようと機動隊が無抵抗の学生に暴力を振るっているという事実に触れて報道したのはBBCだけだったそうだ。先週に起きたこの衝突は政府側がメディアを閉め出した直後に行われて内部の撮影をした学生がYoutubeにその様子をアップし、それにBBCが触れたらしい。 ところで台湾のメディアは随分日本とは違うようだ。National(国営)と言わずにState(州営)という英単語を使っていたのが印象に残ったけど、台湾にはこの日本で言う国営に当たる州営のメディアが4局あるそうだ。言論の自由という事に関してはアメリカ以上に自由かもしれないと言っていた。他にもインディペンデント系の局が沢山あり、それぞれのカラーで報道をしているそうだ。 学生達が今政府に対して要求しているのは可決のプロセスの公表と協定内容の公表だそうだ。特に協定内容はこれからの台中関係に深く影響するもので条文の公開を求めていくそうだ。 話をしてくれた男の子はこの辺りの台湾系商工会の青年部の幹部で全米の幹部会にも欠かさず出席しているのでこの件について在米台湾人からのサポートはあるのか聞いてみた。商工会はビジネスベースなので会としては関与しない方向だけど個人的に支援する動きはあるそうだ。彼も来月帰国するそうなのできっと何か行動を起こすのだろう。台湾で選挙や国民投票があれば飛行機で投票に行くようなアツい人達だから。 現在、この向日葵運動のバックアップには台湾緑党がついたらしい。これは結構重要なポイントだと思う。 緑党は左派リベラルで色んな国にあるGreen Partyと同じような感じだそうだ。学生運動に政党が絡むと必ずといっていい程政局に利用されちゃうんじゃないかと私が懸念を伝える前に、運動に参加している学生達の中でもこの緑党のバックアップには賛否両論があると言っていた。これまた日本での秘密保護法案や脱原発関連の市民運動に色んな政党が入り込んできていつのまにか論点がズレたり政党同士の勢力拡大に利用されたりするのと同じだ。台湾も日本もそういう点では市民運動はまだまだ若い。 結局、1時間タップリ話をしていた訳だけど、彼の声ってよく通るので他のお客さんの反応も様々で面白かった。 私のような業種は政治の話は避けるのが基本なのでちょっとルール違反だったのだけど、最初は遠くに座っていたのにいつの間にか私達の後ろに座っていた娘のカットが終るのを待っていたお父さんが居て、私のお客さんが帰った後に私の所に来て『なかなか興味深い話だった』と言うのでよく聞いてみたらベネズエラ出身の人だった。ベネズエラも今若い世代が中心になったデモが広がり各地で政府軍との間で暴力が絶えない。自分たちの国と照らし合わせつつ聞いていたんだろう。かと思うとウチのフロントのガッチガチなアメリカ人の女性は一言『Who cares?』と吐き捨てたのでランチ後私と大口論になった。ネイルをやってたエクアドル出身のお婆ちゃんにも色々質問を受けた。チャイナとハポンの区別もつかない人なのでタイワンというのは未知の世界だったようだ。こうやって興味のある人には知っている限りを伝えてアジアに対しての知識や興味を持って欲しいと思う。 彼がやってきた後に、NYタイムズの国際版には学生達が集めた寄付による一面広告が載り、 http://japan.cna.com.tw/news/apol/201403290005.aspx 向日葵運動に対抗したカーネーション運動も起きてきている。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140329-00000007-ftaiwan-cn これから運動を維持出来て行くのかどうかは分からないけど、若い人達が国の政治に対し言葉を発し続けるのは支持したいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年04月03日 11時45分44秒
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