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そろそろ「白酒」が出回る季節になりました。
関西では出荷も始まり酒屋さんの店頭に並んでます。 「しろざけ」は、「あまざけ」ではなくアルコールが入った飲料ですので、お子様にはNGです。残念ながら。 子どもの頃は、それでもオトナのまねして「しろざけ」が飲みたくてしかたありませんでしたね。 そもそもお酒は「清酒」とわざわざ呼ぶことからも、「にごり酒」がスタンダードです。いわゆる「どぶろく」ですね。今はどぶろくを無断で製造することは出来ませんが、昔は田舎では密造酒的に造っていたと聞かされたことがあります。査察が来ると、床下に隠したりとか。うーん、いつの時代でしょうか……。 ともかく、わざわざお酒を濾過するのは非常に贅沢で手間のかかることなのです。 「清酒」が全国的に流通し始めたのは、江戸時代からです。「下り酒」という言葉は、摂津池田や伏見などの上方のお酒が江戸に運ばれたことから来ています。「下らないもの」という言葉の語源でもあります。 それまでは、各々の地方で酒造りが行われていたわけですが、わけても室町~戦国時代にかけての「練り酒」「しろざけ」。 これは全国各地の僧坊や神社などで盛んに造られたようです。ヨーロッパ(修道院)におけるワインもそうなのですが、酒類は神事、祭事に深くかかわっているという性質上、宗教関係者の手に委ねられていたのです。 「練り酒」の中でも、とりわけ上等とされたのが「博多練酒」です。 キメの細かい喉越しなのは、「絹」でお酒をろ過しているため。 荒いもろみは残っていないので、どぶろくのようにドロドロではなくなめらか。 甘酒とはまた違う風味で、白酒よりもアルコール度数は低い(3パーセント)ので酒臭さはなく、ヨーグルトドリンクみたい。 これは、室町時代の酒造技術を記した「御酒之日記」の製法から再現したものだそうですが、当時の技術の高さを十分に感じられる逸品です。 「上さに人のうち被(かず)く 練貫酒のしわざかや 彼方(あち)よろり 此方(こち)よろよろよろ 腰の立たぬは あの人のゆえよなう」 と、室町時代の俗謡を集めた「閑吟集」に博多練酒の記述があります。 歌の意味は、「着物の上からうち被る練貫小袖ならぬ練酒をたくさん飲んだからでしょうなあ。あっちへよろよろ、こっちへよろよろ。足腰も立たないほどにメロメロにされたのは、全部あの人のせいですよ」。 男性が、想いを寄せる女性に杯を勧められて何杯も飲みまくってしまった、という情景と解釈されてます。 が、別の見方をすれば、言い寄られた女性にとっては好みのタイプじゃないし相手にしたくないから、酔い潰してしまえ、って感じもアリですか? アルコール度数3パーセントのお酒で酔う、って相当な量を飲んでますね。「うち被く」とは、「着物を被る」と「頭からかぶるように飲む」という意味をかけてますので。 ところで。皆様お気づきになられたでしょうか。 面白いのが、俗謡の語尾につく「なう」。 「~なう」は、500年前からあったんですよ! たとえば、 「憎げに召さるれども 愛ほしいよなう」 (あの方はいかにも冷たいそぶりをなさるけれども、そこがまたカワイイんだわ) というツンデレの歌。 「つぼいなう つぼいなう」 坪井NOWではありません。「可愛い(=つぼい)なあ 可愛いなあ」という意味。 こういう「なう」が「閑吟集」にはいっぱいです。 ただし、この時代の「なう:nau」は音読すると「のう:nou」ですが。。。 練酒の飲み方ですが、度数が低いので食前酒にも向いてます。 食紅や赤紫蘇などでピンクに染めるもよし、キンキンに冷やして飲むもよし、です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年02月09日 19時29分32秒
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