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2004年11月05日
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カテゴリ:読書
オレのオヤジ殿は、右なんだか左なんだかよくわからない。
自分でも判っていないだろう。

車に乗っている時、よく右と左を間違えている。これは俺も同じだ。一説によると、子供のころ左利きを右利きに矯正されると、とっさの時に右と左を間違えるという。概念と言語が乖離してしまうのだ。オヤジ殿は左利きだった覚えはないそうだが、子供や孫がかなりの確率で左利きなので、たぶんそうだと思う。俺の場合は色々直されたがハサミだけは直らなかった。右利き用のハサミを左手で使うように覚えてしまったためだ。ハサミのかみ合わせの方向の関係で、右利き用のハサミを右手で使うには親指を押し付けるように使う必要があるが、左手で使う場合は親指をひきつけるようにする必要がある。そうしないと、上下の刃が開いてしまい、紙を切れないのだ。俺はそのことに中学生になってはじめて気づき、以後、右手でもハサミを使えるようになった。子供のころは分からなかったから、右手でハサミを使うと紙が切れなかったのだ。
… ん? この話は前にも書いた気もするな。

とんだ脱線をしてしまった。最初に右・左と言ったのは、実はその話ではない。閑話休題。

オヤジ殿がときどき「これを読め」、と手渡してくる新聞の切り抜きは、(年金生活に入って日経が高いと感じるようになって産経新聞に切り替えたせいだが)石原慎太郎の書くような、戦時中の日本の国策を擁護するような、あるいは靖国神社の首相参拝を擁護するような、そんな記事ばかり、いわゆる「右」なのだが、先日父の長兄で開業医をしている伯父から送られてきた永六輔の「伝言」という岩波新書を、そんな切抜きと一緒に渡してきた。永六輔のほうはどちらかと言うと「戦争は間違いだった」「二度と繰り返してはならぬ」「憲法を守れ」的色彩が強い。いわゆる「左」だ。オヤジ殿は終戦時、15歳くらいで、実は"飛び級"して陸軍幼年学校と言うところに入っていた。祖父母は樺太にいて、"内地"に戻るのに実は苦労したようだ。亡くなった祖父が、オレが中学3年の頃、一度だけ、こういうことを言っていた。「ソ連は日本がポツダム宣言を受け入れた1週間後に日ソ不可侵条約を破って日本に宣戦布告をして、8月22(23だったかな?)日に樺太に攻めて来て占領した。それを覚えておけ」と。北方領土のニュースを見て、何か感想を言った時だったと思う。南樺太は日本の領土だ、と言ったのだと思う。学校では教えてくれなかった終戦時の真実を教えられたこと以上に、普段温厚だった祖父が、ソ連への怒りと言うか憎しみというか、そういう感情を見せたことに俺は驚いた。オフクロは「学童疎開」世代だが、オフクロのオヤジ殿も実は終戦時樺太で民間の工場長をしていたのだが、終戦後もしばらく引き上げが叶わぬ日本人の代表のような形になって、ロシアの将校等と交渉事をしているうちに、戦犯のぬれ衣を着せられて危うくシベリア送りになるところを命からがら逃げ出したらしい。木っ端舟のようなものに乗ってソ連艦船の監視・追跡をかいくぐり、難破寸前、3日間くらい船から水を掻き出しながら、今にも焦げ付きそうな中古の車のエンジンをモーターとしてなだめつつ、どうにかこうにか北海道にたどり着いた、岸についてすぐ船は沈んだ、という。そういった、戦時中大人だった祖父母の世代と、子供だった父母の世代では、戦争に対する捉え方が少々違うようだ。祖父母の世代の方が、やはり本物の戦争体験を積んでいる、という気がする。父はまだ戦時中の教育を受けているわけだが、15歳という微妙な時期なので、受け止め方が少々子供(無邪気)な気がする。母はほとんど戦後世代である。

終戦時大人だった世代は、これも世代によって色々ではあるが、きちんと物事が分かる年になっていた世代は、戦時中の大義名分とその裏にある矛盾を理解している。親父のように中途半端な年だった世代が問題である。戦時中の大義名分を「正しい」と信じ、親父の場合はその上で180度転換した戦後の教育も受けていて、それもまたかなり素直に受け取っているようなのだ。終戦時にもう3~5才年上だったら、矛盾に苦悩するだろうに、素直にそんなもんなのだ、と転換を受け入れているように思える。

政治家で時折、信じられないような「失言」をして、中国や韓国を刺激する連中がいるが、そういう連中は大抵、終戦時にそういう中途半端な年齢だった人ではなかろうか。戦時中世代、と一言に言うが、あの戦争の意味を実は本人たちはよくわかっていないのだ。オレにはそう思える。おそらく、真実はもう少し上の世代の胸のうちにあると思う。中国や韓国の喧伝している「旧帝国日本は侵略者だ」というプロパガンダも正しくはないが、「旧日本軍に落ち度は無いのだ」という言説も正しくはない、というのが真実と思う。どう考えても、日本を泥沼の無茶な戦争に引き釣り込んだ旧軍部は正しくない。だが、「(東)アジアを欧米列国の植民地主義から開放するのだ」という日本の大義名分も、まったく否定すべきものでもなかったのだ、というのが真実に近いだろう。

俺たちの少し上の世代は、つまり、今の戦後日本を作ってきた世代は、ある意味、極端な反動で戦前の日本の全てを否定してしまった世代であるか、あるいはそういった時代の教育を受けている。それが歪みを作っているのは確かだ。だからと言って、戦前の日本の全てを肯定するのも間違いである。是々非々なのだ。是を是とし、否を否とせよ。正しいものを正しいと認め、間違ったものを間違っていると認めよ。真実を知り、正しい判断をするためには、世の中にあふれている情報をそのまま真に受けるのではなく、きちんと本当のことを知っている世代から本音を引き出し、話をきちんと聞かなくてはならない。自分で調べなくてはならない。そう思う。TVや新聞を中心とする今のマスコミは、煽動するばかりで真実を伝えていないものが多いと思う。きちんと調べていないのだ。

オヤジが右と左を一緒に渡してきたのは、それなりに分かっているのかもしれないけれど、本当に分かっているのかなあ、という気もしてしまうのは何故だろう。日頃のとんちんかんなオヤジを見ているから、少々見くびってしまっているのだろうか。案外きちんと分かっているのかもしれない。今度ちゃんと話をしてみようか。一緒に酒でも飲んで…。





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最終更新日  2004年11月07日 00時15分24秒
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