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グレーテルの日記

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Jun 1, 2005
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カテゴリ:お気に入りの本
国家の罠
鈴木宗男氏と親しかった元外務省員、佐藤優氏の著書。私は文庫本しか買わない主義なのだけど、本当に数年ぶりに買った単行本です。

読みごたえ十分。彼がいかに優秀な外交官だったかということ、
彼や前島陽氏、鈴木宗男氏の逮捕容疑と実態が暴かれている。

何より「国策捜査」という帯にかかれた言葉の意味が重い。

「時代のけじめ」としての「国策捜査」。
つまり、彼の見方によれば、日本の外交政策の転換点にこの事件が
あり、それまでの「地政学的国際協調主義」から「排外主義的ナシ
ョナリズム」への転換が、小泉政権成立後の日本に起こっている、
ということだ。

言葉が聞きなれなくてわかりにくいが、経済問題を絡めると少しわ
かりやすい。

バブル崩壊後、日本はより厳しい資本主義を選択してリストラの実
施や能力給の採用、規制緩和によって今まで自然に行われていた再
分配がなくなり、傾斜配分されるようになった。

昔は常識だった再配分、つまり鈴木宗男氏の政治活動のように経済
的に弱い地方に公共事業という利益を誘導することで、都市部との
格差を埋めることが悪いことと見られるようになった。

まさに小泉政権の目指す構造改革とは、その再配分をできるだけなく
し、経済力を持った者がよりその力を強化し、トップを押し上げる
ことで全体の平均値をあげる(豊かになる)ということではないか。

そういう転換点において、鈴木氏は格好の標的になった。

もちろん、外務省の組織維持の為の浄化、という一面もある。


日本は最近まで、本当の資本主義国ではなかった。でもここ数年で
一気にそれに向かって走り出している。
それは、私達一人一人の感覚を少しずつ変えているのだと思う。

自分の家族を養い、自分の生活を少しでも豊かにすることだけを目標
にしてきた時代が、多くの人にとって終わったのだと思う。

自分で稼いだお金はもっと自分の為に使いたい。もちろん税金は払うが、
せめて自分の納得のいくように使って欲しい。
そんな欲求がどんどん強くなり、政治家や公務員、政府の予算にも
興味関心を持ち、口を出す。


そんな流れが、著者の逮捕に結びつく事件の背景にあったというのは
事実だろう。

10年に一人と言われた逸材であった、超のつく優秀な外務官僚を一人
失ったことはどれほど日本の外交に損失だったのかわからないが、今も
彼を追い出した外務省が世界各国との交渉の窓口となっています。


著者が全力を尽くしても果たせなかった北方領土の返還はいつ、実現
されるのでしょうか。
そういえば、ロシア側との会談があったようですね。
中露外相会談:
国境画定決着、批准文書交換へ




私は30年以上北海道に住みながら、根室だけは行ったことがありません。

いつか、北方領土が返還された時には根室から4島に渡ってみたいと
楽しみにしているのです。
生きてるうちに返還されるかなー。





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Last updated  Jun 1, 2005 01:18:14 PM
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