本番に向かっての心構え
私が聞いてよかったと思う、K先生の指導、聞けば何でも答えてくださったけれど、印象に残るものを・・・「1月から、毎日の学習は最低2教科、決して1教科だけを集中して やらないこと」先生いわく「子どもの頭の中は大人が思うよりはるかに単純です。どうしても弱点克服の為に、苦手な教科ばかり勉強する傾向にありますし、子どもも1月は必死ですから、弱音を吐きません。 ところが1科目だけずっと勉強していると、他が抜け落ちる場合が多いんです。だから、算数だけ何日も集中するとか、そういうのはやめてください。算数をやったら、同じ日に社会を少しやるとか。子ども達にも繰り返し言ってますが。過去問も1年ずつやらせるようにして下さい。」そういうものなの?私はド素人なのでそんな配慮も工夫も考えたことはなかったが、とにかく信頼しているので、言う事を聞いた。おそらく、よかったのではないかと思っています。「学校を勉強の為に長期欠席しない」「今までも学校を長期欠席する子がいましたが、あまりよくないと僕は感じてます。というのも、せめて学校で少しは受験を忘れる時間が必要です。ずっと自宅学習していると、学習時間が異常に長くなり、心身ともに疲労困憊状態になります。まだ子どもなんですから、学校で過ごす時間がよい意味で自然体で実力を出す力になると思いますよ。風邪やインフルエンザの流行、本人の疲労などで時々休む程度にとどめてください。ちなみに、うちの塾では学校を長期欠席した子の方が結果はよくないですよ」これには賛否両論あると思う。塾によっては先生から学校を休んで毎日通塾するように言われるケースも周囲に多々あったし、結果合格している子もいる。ただ、さくらにはあてはまる。さくらは学校が大好きで、かなりのリラックスタイムになっていたと思う。休ませて勉強、勉強でずっと過ごしていたら、疲労困憊、そもそもたいしたことのない学力すら本番で発揮できなかったのではなかろうか。言われるまでもなく、私は休ませるつもりはなかったが、さくらは「先生がね、普通にしてろって、学校を何日も休むんじゃないぞだって。友達と普通に過ごしなさいって」と言われてほっとしたみたい。なにせ、近所の別の塾に通う友人が1月後半2週間、塾に缶詰と聞いていたらしい…。1月も後半になると、K先生は色々な話を子ども達にしてくれたようだ。さくらから聞いた。「4月になれば全員必ずどこかの中学へ通うことになる。その学校は、どの学校もおまえ達ひとりひとりを呼んでいるんだよ。第一志望でも、第二志望でも、公立でも一番いいって呼ばれたんだ。あとで振返って必ずこの学校でよかった、そういうところへ行くようになってるんだ。」(受験終了後にご挨拶に伺ったときも私に同じお話をされました。「子ども達にも言いましたが、本当に不思議なもので、長年中学受験を見ていると、なんというのでしょうかね、学校が子どもを呼んでいると思う結果が出ています。ご縁があると言いますが、本当だなと思うんですね。」と穏やかにおっしゃっていました。)数回にわけてお守り代わりのカイロを渡される。当日まで使うんじゃないぞと念を押されるらしい。これはどこの塾でも同じかな。鉛筆とか他にもいろいろあるみたいですね。先生方も子ども達を励まし、リラックスさせ、何とか精一杯実力が出せるように最大限の工夫をこらすのです。ただ、SセミにはK先生しかいない。さくらにとって塾の先生といえばK先生。怖いから先生と話すのは緊張する、質問もしにくいと言っていたさくら。だからこそ、K先生の言うことは絶対だった。全て心から信じている様子。学校を休まない、毎日の勉強、学校の話…精神的にも幼い彼女は先生の話に必死にすがったのかもしれない。先生の言うことはこの時期の子ども達にとって「絶対」だったようだ。「このお守り、ママ、絶対なくさないで、試験の日に持っていくから」真剣なまなざしだったなあ。繰り返し繰り返し、先生は子ども達に試験に向けての心構えを説いてくださった。振返ってみると1月は勉強よりも、子ども達の精神状態向上のための授業だったようにさえ思える。