潮騒を切り裂くイト鳴り。
もし、先手をとって白泡の中に魚を引き込むことができれば、
必要以上の酸素を吸い込んだ魚はすんなりと浮いたはずだった。
だが、メジナはサラシの下のハエ根に向かって疾走したのである。
ハエ根の一歩手前で魚を止めた。
もう1cmたりともイトを送ることはできない。
腕、サオ、イト、ハリ。それぞれのポテンシャル。
最大限に引き出してのやり取り。
メジナ釣りはまさに限界遊戯なり。