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テーマ:猫のいる生活(139108)
カテゴリ:野良猫
ねこがらみで、私の父親の話
2年ほどの前のある時、ガリガリでやせた子猫がやってきて 哀れに思った父は鰹節をやった 当然居つく 私の生まれ育った家は決して裕福ではなかった 子供の頃、弟が誤って割った窓ガラスに丸く切り取ったガムテープで 点々と補修してあるのがビンボーコンプレックスで 友達をよびたくなかった その当時から、貧乏な割に父は温室をもち、蘭の花を育てるのが 趣味だった 温室は真冬でも暖かいので、そこへ毎年 猫がどこかで子供を産んでは一匹ずつ連れて来ていた そしてしばらく経つと、またどこかへ連れて行く 父は私たちに子猫を見るのを禁じた あんまり見ると母猫がすぐに連れて行ってしまうからだ 父だけ子猫をこっそり見て喜んでいた 餌も何もやらないのだが、冬になると家だけ提供して 子猫をみるのが、父の毎年の楽しみだったようだ そして最初に書いたようなことがついに起こった 今までどんなに猫がやってきても、宿を提供するだけに とどまっていたので居つくことはなかったが よほど哀れに思ったのか、餌をやったので居ついた 今現在父の家の庭には2匹の兄弟猫がいる 冒頭に現れたガリガリの猫の子供たちだ 結局5匹産んであっちこっち親が連れてまわり 最終的に戻ってきたのは2匹の子猫だった 戻ってきた子猫のうちの1匹が悲惨で 頭蓋骨がみえ、足が折れてもどってきた もう1匹は健康で、その悲惨なほうを 病院へつれていってやろうかと父に言ったが 人間の姿をみるだけで、折れた足で逃げてしまうような猫に 怖い思いをさせてやるのがかわいそうなので もうじきに死ぬだろうからここで死なせてやるという 私も病院へつれていったはいいが、飼ってやるわけにも いかないし、父に押し付けるわけにもいかない また足も片耳もない猫の里親にだれかなってくれとは いえない 1週間が過ぎ、死んだのかと聞けば死んでいない ぐったりはしているが、親や残った兄弟がさかんに傷口をなめて いるらしく、父は抗生物質を餌に混ぜてやるとかしていたようだ その後のその子猫だが半年以上たった今、あのまま生きている 片足はボッキリ折れたままぐらぐらさせながら3本で走りまわり 頭蓋骨もみえたままそれなりに成長している 親はどこかへいってしまい、兄弟で庭にすんでいる 父に治療しないのか尋ねるとこいつは野良猫だから、 そんな事はしないという このままだと早く死んでしまうといったら、 早く死んでくれたほうが良いという 何を言っても、どんなに説いても七十代後半のおじいさんには あくまでも野良猫は野良猫の分があるのだと思っている それなら私が治療して、自分が里親になっては無理なのだ 今は庭に猫小屋をたて、使い古したランドリーボックスの上段のかごの 部分でよく寝ている はやく死んでくれたほうがいいんだという父も、実はものすごく 愛情をかけている 消毒液をスポイドにいれ、いつも傷口をめがけて必死に それをかけている よその野良猫が庭に入ってきたら、その兄弟のために 夜中でも声が聞こえたら起きて追い払いに行く 猫だってそれをわかっているから、すりよるようにまでなったのだと思う 私にすればそこまでするならなぜ家の中へいれてやらないのかと思うのだが 私もその猫に関しては責任がもてないので、様子をみるだけになっている たまに心苦しくなる お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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