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ミシガン・ロールとはよく映画などに出てくる、表だけ本物で中は白紙の紙の札束の事をミシガン・ロールと言い、それに症候群をくっ付けただけの俺が作った造語です。
要はどんなに見かけが良くても中を開けて見れは「まあ、そんなもんさ」と笑ってしまうような話の寄せ集めです。 特に何のメッセージもありませんが、読んでもらって、たまに笑っていただければ幸いです。
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翌日部室に入ると、外の晴れ渡る秋空とは裏腹などんよりした空気が部屋の中を充満していた。
そのどんよりした空気の源を辿るまでもない。 原因は彼女で、どうやら芝居に出る事は諦めはしたものの開き直れていないご様子 ならばここは彼氏である俺が元気付けるのは当然の義務であろうと優しく笑いながら彼女に近づこうとしたら 「・・・八つ当たりってご存知ですか?」 どんよりとした空気がしだいに密度を増し鋭利になる 「人として八つ当たりって最低ですよね・・・でもその引き金を引こうとするもっと最低な人がいるのなら、それも致し方無いとは思いませんか?」 今ひとつ自覚は無いが、ひょっとしてもっと最低な人って俺の事なのかな・・・ 「ですから、その薄笑いの下に見え隠れしている下らない冗談は言わないでくださいね!」 いや、優しげな笑みを薄笑いと切り捨て、心のこもった励ましを下らない冗談と断言する時点でもはや八つ当たりなのでは・・・ と切り替えしたい所だが、それを言うと彼女の斜め前でレポートに筆を走らせているとりちゃんや、彼女の横にいるのに微塵もどんよりさを受け付けずニコニコしているオキデン達が一斉に「それは日頃の行いのせいでしょう!」の輪唱を始める事は目に見えているので黙っていると ギィーっと部室のドアが開く音が聞こえた 援軍か?と入り口をみるとボーちゃんが立っていた 「ボーちゃん」 彼女がドアの前に立ったままのボーちゃんに寄る 「どうしたの?とにかく中に入って」 「・・・あ・・・はい」 おずおずと部屋の中に入るボーちゃん 「オキデン、ボーちゃんよ」 そう言えば、あの時オキデンいなかったっけ 「あなたが紀美の暴走に翻弄されたぼーちゃんね。紀美からきいたわ」 しれっと有りのままの事実を端的に表すオキデン 「オキデン!」 「で、改めて入部する気になった?」 「ちょっと、オキデン!坂口さんじゃあるまいし、なにすっ呆けた事言ってるのよ!」 確かに経緯を考えればすっ呆けてるけど、坂口さんじゃあるまいしは余計じゃない? 「え?だって部室に来たって事はそうかなって」 「なんでそんな坂口さんのような、前のめり過ぎてデングリ返りしそうな前進思考が出来るのよ?」 なんで君こそいちいち俺を引き合いに出さなきゃ話が出来ないのかな? そんなに俺の事が頭から離れないの? 「ごめんねボーちゃん。それでどうしたの?」 せっかくのでんぐり返ししそうな前進思考をまったく無視して会話は続く 「・・・・あの・・・」 「何?」 「・・・入部しようかと・・・」 「・・・・・え?誰が?」 誰がってボーちゃんに決まってるが、彼女のそのキョトンとした顔がまた可愛くてついツッコむのを忘れて見とれていると 「・・・ダメでしょうか」 「とんでもない。大歓迎よ!」 今だ固まったままの彼女を素通りしてオキデンがボーちゃんの手を握り 「じゃあ早速みんなを紹介するね」 「ちょ、ちょっと待って」 ようやくフリーズから回復した彼女 「あら?何か問題?」 「もちろんわたしだって歓迎するわよ・・・でも、無理だって・・・」 彼女がチラリと俺を見る。 分かってる。彼女がその言葉だけを信じている訳じゃあない。 でも、もしかしたらボーちゃんが自分に気を使って無理して入部すると言ってるんじゃあ・・・ なんて心配してるんだろう 俺は彼女のご希望通りのすっ呆けた顔で答える 「ああ、確かにそう言ってたな・・・でもそれは昨日の話だろ?な、ボーちゃん」 ボーちゃんを見てニカっと笑うとボーちゃんは 「・・・はい・・・今は・・・出来るようなような気がします」 「ボーちゃん!」 彼女がボーちゃんの手を握り改めて歓迎していると 「今度はどんな手品を使ったんです?」 俺の横にオキデンが来てニコニコして聞いてきた 「手品って、人をペテン師扱いしないでもらえるかな?」 俺は何もしていない。ボーちゃんが頑張っただけだ 「俺がした事と言えば、犬をフモフモしたした事ぐらいさ」 そう言えばまだ犬の名前を聞いていなかった 「ねえ、ボーちゃん。あの犬の名前なんて言うの?」 彼女にキツく握られた手をブンブンふられ歓迎されていたボーちゃんは、ゆっくり俺に顔を向け 「・・・・・・・ボーちゃん・・・・・・・」 「いや、犬の名前」 「・・・・・・・ですから・・・・ボーちゃんです・・・・」 「・・・・・はい?」 それを聞いて振られていた手がピタリと止まる 「・・・え?でも、あなたボーちゃんって・・・」 そう言えば彼女が名前を聞く前に犬の話をしていたような・・・ 「・・・もしかしてボーちゃんって犬の名前?」 シーン・・・・とした空気が立ち込める部室。それが我慢できずに笑ってしまう 「坂口さん!」 彼女が慌てて俺を咎める 「まあ、いいんじゃないか?あれだけ連呼しといて、もう今更って感じだろ」 「そんな事言っても・・・」 「それとも、えっと・・・大林さんだっけ・・・って呼んだ方がいい?」 当の本人に尋ねると 「・・・あの・・・今まで愛称で呼ばれた事がないので・・・ちょっと嬉しかったです・・・」 「なら構わないだろ?」 彼女にそう言った後、視線を変え言った 「改めてよろしくな・・・ボーちゃん」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 13, 2014 08:40:14 PM
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