テーマ:和歌(10)
カテゴリ:歴史関係
浪にもけふや 春は立つらむ 新春を言祝ぎ、和歌を一首。 これは藤原定家の初学百首の巻頭歌です。 百首歌の初めは、だいたい春の歌で、立春の歌を詠む事が多いです。 しかもこれは定家がまとまった歌を作った一番初めの試み。 とても美しい風景です。 四方(よも)の海原に浪が立ち、それが光り輝いている。 毎年のようにニュースで流れる初日の出の美しさに呼応する、麗しさとでも言えましょう。 京都は穏やかな春を迎えました。 この間までの雪模様の寒さはゆるみ、日の照っているところにたてば、すこしぽかぽかするくらい。 初詣に出かける人で満杯のバスが、市内を走ります。 神社仏閣に事欠かない京都は、毎年恵方で悩むことなく様々な神様にお祈りができる便利な土地。 pgはまだ初詣には行っていません。 四日に下鴨神社で『蹴鞠始めの儀』があるので、それを見に行くのが恒例です。 そういえば定家も京都人。 三方を山に囲まれた盆地に住む定家とすれば、海はかなり遠い存在です。 この歌は、実際に遙かな海を望んで詠んだ歌じゃないのかもしれませんね。 実際に伊勢への勅使に付き従って下向したり、後鳥羽院のお付きで熊野詣でをしたのは、もっと後のことです。 この時まで定家は、都を離れ旅したことがあったのでしょうか? もしかしたら、これは想像の中だけのことでしょうか? 実際見た風景ではない、歌語の世界のイメージだけで作ったとしたら、それも素晴らしい芸の一つでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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