カテゴリ:カテゴリ未分類
白い光に包まれた一室に、たくさんの本と書類が乗った大きなテーブルがあった。そこでは青い髪の青年が静かに、しかし素早くその書類を片付けている。
すると部屋のドアがノックされ、部屋の主が返事をする前にひとりの青年が入って来た。彼は部屋の主と似た顔つきだが、部屋の主は穏やかな笑みを浮かべているが、彼は気の強そうな印象で、また幾分年上に見える。 彼は両手に書類と資料を持ったまま器用にドアを閉めると、テーブルに置いた。 「兄貴。悪いがこれもだ」 幼く見える部屋の主は、礼を言って彼ににこやかに笑った。 弟は置いた書類の代わりにサインがされている書類と、すでに必要のない本をまとめた。 「あとどのくらいかかる?」 「うーん……増えちゃったし、まだまだかかりそう」 その様子をなぜか嬉しそうに見ている部屋の主に、弟はちょっと恥ずかしそうに眼をそらして聞くと、悲しそうに笑った。 弟はその笑顔を横目に見て小さく溜息をついて、苦笑した。 「俺の方はなんとかなりそうだから、これを置いて来たら手伝うよ」 その言葉に、部屋の主は花が咲いたかのような笑顔を浮かべ、何度も頷いた。 弟も、まんざらでもなさそうに小さく笑うと、来た時よりも速足で書類を持って行った。 その後ろ姿に部屋の主は、 「良い子に育ったなぁ」 と、幸せそうに言うと、彼もまた今まで以上の速さで書類を片付けていった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.05.05 01:22:42
コメント(0) | コメントを書く |
|