テーマ:今日見た舞台(965)
カテゴリ:思ったこと
菊之助くんの涼やかなその姿と声が、夏の舞台にふさわしかった。どうかなあって、思って見に行った十二夜だったけど、予想よりずっと楽しく面白く、そして歌舞伎であり、シェークスピアだった。
菊ちゃん、なんて言ってはもう、失礼か。でも、そんなに歌舞伎にでかける機会もなくて、たまにお姫様姿で出る菊之助は、若くてきれいで踊りも上手で…というイメージ。せりふを話すって感じじゃなかった。今回、公演のチラシをみて、へええ、ご出世なさったのねえと思ったのが正直なところ。だから、きょうのすばらしい舞台はうれしい驚きでもあった。 双子の兄と妹、そして妹が男と偽る姿の3つの役どころ。衣装の着こなしや、姿勢、立ち振る舞いを、細やかに丁寧に演じ分けていてとてもよかった。お姫様の姿のたおやかで気品ある姿はいつもどおり。そのお姫様の小姓姿がすばらしい。時折、女性の仕草が混じるところ、けなげで懸命な様子。お兄さんの若者もなんだか応援したくなっちゃう。こーんなに上手だったんだ。 一番感心したのは「声」。透明感のある声が、よく響いていて、ずっと聞いていたくなるほど。歌舞伎の女形の人の声って、ほとんどがこもる感じがするけれど、菊之助くんは違う。高くて張りのある美しい声に、伸びがある。これって、若いから?だれか、教えてください。 で、菊之助くんにうっとりとしていたんだけれど、ほかのみなさんも、実に楽しそうに演じていた。お父さんの菊五郎も二役の早代わり。それでも、どちらの役もゆったりと演じていてとても素敵。亀治郎も時蔵も松緑くんも、わあ芸達者って。 鏡を大胆に使ったり、音楽にチェンバロが使われたり、いつもと違う歌舞伎座。1幕だけを立ち見で見るなら、絶対に1幕目。菊ちゃんの3役が全部見られます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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