テーマ:サッカーあれこれ(20123)
カテゴリ:蹴球七日制
◆【W杯】目指せクロアチア、育てろモドリッチ 強烈な「個」破り新たな景色見るには/岡田武史論(2022.12.21 日刊スポーツ)
日本唯一2度のサッカーW杯指揮で、出場と自国外16強を初めて経験した元日本代表監督、岡田武史氏(66=日本協会副会長、J3今治会長)が日本の目指す方向性とクロアチアを重ね合わせた。22年カタール大会の日刊スポーツ特別評論家として「岡田武史論」最終回で大会を総括。メッシ(アルゼンチン)エムバペ(フランス)のような強烈な「個」に、戦術と情熱、モドリッチのようなコンダクター(指揮者)育成で対抗する未来を思い描いた。【取材・構成=木下淳】 ◇ ◇ ◇ ここ数大会の中で最も面白い決勝だった。ふと思い出したよ、かつて(「北の国から」等の脚本家)倉本聰さんが「俺がどれだけ考えてもスポーツのドラマ性にはかなわない」とおっしゃっていたことを。アルゼンチンの勝ちか、と思ってから「え!」の連続。想像できない劇的な展開が次々と起こり、めちゃくちゃワクワクした。スポーツの醍醐味(だいごみ)を見た。 メッシ、良かったよ。今回、初めて代表で輝いたんじゃないかな。同じ「メッシのチーム」でも8年前に現地(14年ブラジル大会)で見た決勝はメッシ頼み。今回はリーダーシップも含めてメッシが周りを生かし、仲間が大エースをもり立てるバランスが秀逸だった。しかも、徐々に良くなったことが優勝に値する。 まさかの黒星発進だったサウジアラビアとの初戦では、やはりメッシは代表では厳しいのかと思ったが、準々決勝のオランダ戦はスーパーだった。35歳で円熟味を増し、失わないし、広い視野で決定的なパスを出すし、シュートも決める。メッシ以外が走り倒した中で、新たな交代5人制も大きかった。一体感をつくろうとすると、それ自体が目的になって満足してしまうリスクもあるが、自然と形成された真の一丸だった。 エムバペも、決勝56年ぶりのハットトリックは見事だった。かつてのメッシのように全て自分で決めていた。何より、1試合でPKを3度も同じ場所に決めたメンタルが信じられない。 2人を見ていて感じさせられた。異例の11~12月開催となった今大会は、準備期間が短かったことで、連係で崩し切れるチームがなかった印象だ。「個」を持つ国が有利に勝ち上がった。欧州は今、何でもロジカル。ポジショナルプレー(数的、質的、位置的の3優位性を保って王手に持っていく戦術)が主流だが、監督の指示通りにしか動けない「ロボット」と言う人もいる。 例えば、約束事で「ボールに詰めないといけない」と感情を出して「ボール取ってやる」では全く違う。アルゼンチンはボール際や詰める迫力が素晴らしかった。もともと南米勢は「エモーショナルが強くロジカルが弱い」と言われてきたが、今は欧州が戦術に傾倒しすぎている面もある。敗退はしたが、ブラジルもその案配が良かった。5大会ぶりに欧州外の国が頂点に立てた傾向かもしれない。 実際、オランダは型通りに戦ってきたが、アルゼンチン戦で2点ビハインドになってから、なりふり構わずロングボールを放り込んで追いついた。監督の支配から解放されて。決勝のフランスも、リードを許してから感情をあらわにリスクを負うプレーをするようになった。やはり戦術と情熱は両方大事。どちらがいいか偏る論調は意味がない。 その中で日本が目指すべきはクロアチアのようなチームだろう。決勝トーナメント1回戦で敗れた後、本稿で「組織的な中でも際立つ個を」と求めた。これまで全選手に要求してきた10割の献身性を、突き抜けた選手は8割に許容して違いを生み出すトライに専念させることも一案だろうと。 しかし、メッシ、エムバペ、ネイマールのような個は世界でも希少だ。日本も大谷翔平のような才能が突然変異で現れる可能性はあるが、待ち望んでいても仕方ない。モドリッチのようにピッチ内でコーディネートできる選手を、監督が外からコントロールするチームではなく、試合の中で選手が自ら変化させられるコンダクターを育て、さまざまな状況に対応できるチームを目指していくべき。もちろんチームは粘り強く。前回準優勝、今回3位のクロアチアが示してくれた。 そのために全体の底上げは不可欠。やはりボールを止める、精度を持って蹴る技術でクロアチアとは差があった。インテリジェンスも養わないといけない。逆サイドへ展開できそうなところ、怖くて反対側まで見られず戻してしまったり。今後は欧州で選手が経験を積むほかないが、代表26人中19人がW杯未経験だった面もある。ここまで戦えた成長に自信を持っていい。 サッカーは、簡単に言えば11人の能力を足し算し、下だったチームが一定の時間は守備的に戦う状況になる。FIFAの公式集計でボール保持率はスペイン戦が15%、ドイツ戦が23%で勝利チームでは歴代1、3番の低さだったが、下でも勝てる戦術にこだわるべきだったので、今回は結果が全て。中身がどうあれ、ドイツとスペインに2-1の記録は残る。負けていいなら、かつて打ちのめされた「自分たちのサッカー」でいいが、相手との力関係を見極めて勝ち切る、実績を取る、それが大切だった。ここから対等になれるよう地道に上げていけば、いずれ戦い方も上向いてくる。 あとは協会として支えていけるか。一案だが、これだけ選手が欧州にいるのであれば、現地にトレーニングセンターを構えることもありかもしれない。引き続き強国とマッチメークは模索しつつ、FIFAも「ワールドシリーズ」(偶数年の大陸間試合)計画を示した。欧州でネーションズリーグが創設された18年以降は対戦機会が少なくなっていたので、期待もしたい。 26年の北中米大会、自分は69歳でどうなるか分からないが、楽しみだよ。今大会で4度目の16強、3度目の1大会2勝を挙げたが、過去と異なる。ドイツとスペインに勝った事実が基準を押し上げた。スタートラインが違う。「優勝経験国に勝ったことあるよ」は「また勝てる」につながる。新たな景色を見る資格が今大会で備わった。(元日本代表監督=98年フランス大会、10年南アフリカ大会) ◆西野朗氏がカタールW杯総括…「サイドアタッカーのストライカー化」「欧州で成長したGKのビッグセーブ」(2022.12.20 スポーツ報知) ◆カタールW杯▽決勝 アルゼンチン3―3(PK4―2)フランス(18日・ルサイル競技場) スポーツ報知にカタールW杯特別評論を寄稿する前日本代表監督の西野朗氏(67)が、アルゼンチン―フランスの決勝戦と大会を総括した。アルゼンチン代表メッシのプレーを「異次元」と評し、両監督の采配が史上最高ともいえる頂上決戦を演出したと語った。大会を通じて印象に残ったポイントにはサイドアタッカーの役割の変化、GKの存在感を挙げた。 * * * 何と言えばいいのか。死力を尽くしたアルゼンチン、フランスの選手たちの姿に言葉が見つからなかった。大会最後にして、最高の試合が繰り広げられるという素晴らしいフィナーレだった。その中でもメッシは異次元だった。得点力だけではなく、やらないと言われる守備でも奮闘、攻守の切り替えの速さも見せた。マラドーナの影、そして優勝トロフィーを追って一心不乱にプレーする姿は感動的で、最高のパフォーマンスだった。 互いの監督の手腕が存分に発揮された頂上決戦でもあった。アルゼンチンのスカロニ監督は、右サイドが主戦場のディマリアを左で先発させた。右のメッシに加え、ドリブル、高いシュート精度を持つディマリアが左におり、フランスは警戒すべきポイントが増えて面食らった形になった。 一方で、主導権を握られ2失点したフランスのデシャン監督は前半41分にジルー、デンベレ、後半26分にグリーズマンと準決勝まで攻撃を引っ張ってきた3人をスパッと代えた。なかなかできない決断だったが、圧倒されていた中盤での争いを省略し、スピードある選手を前線に4枚並べることで巻き返しに成功。エムバペも躍動して同点に追いついた。PK戦の末、軍配はアルゼンチンに上がったが、内容の非常に濃い最高峰の戦いだった。 大会を通じて目立ったのは、サイドアタッカーとGKの存在だ。サイドアタッカーといえばスピード豊かで突破力があり、抜けたらクロスなどゴールのひとつ前の仕事をするイメージが強かった。しかし、今は違う。エムバペ、メッシのように突破力だけでなく、得点も奪える選手が増えてきた。日本で言えば三笘であり、堂安だ。決勝戦でアルゼンチンが右にメッシ、左にディマリアを置いたのが良い例で、フランスは両サイドの得点力におびえることになった。チャンスメーカーだったサイドアタッカーのストライカー化は顕著で、その存在が勝負を決定付ける時代になった。 現代のGKにはシュートストップ以外に足元の技術、俊敏さなど高い総合力が求められる。その中で試合の流れを一変させる可能性があるのが、味方も「これは無理だな」と考えるシュートを止めるビッグセーブだ。守る上で、まず重要なのが最後の砦(とりで)としての迫力、圧力につながる体格で、日本も(197センチの)シュミットが出てきた。次に必要な経験は海外でこそ養える。「ここから? このタイミングで打つの?」など国内では体感できない場面に直面する。判断、技術、パワーなど国内では培えない部分で、厳しい欧州の環境に身を置いてこそ、成長ができる。 今大会から選手交代が3人から5人に増えたことも、より試合をスリリングにさせた。特徴ある選手をつぎ込むことで流れを変えることができ、大胆な布陣変更も可能で、戦術の幅が広がった。三笘らの投入で劇的に変化した日本代表を見ても分かるだろう。一方で、よりベンチワークが試されるため、監督も向上心を持たなければ淘汰(とうた)されてしまう。 強豪国は決勝Tに入ると力強くギアチェンジができる。日本も本当に素晴らしいサッカーを見せてくれたが、やはり世界は近いようで遠い。今大会を見ると「堅守速攻」がトレンドと言えるが、どういうスタイル、戦い方を目指すという前に、個の成長、采配、チーム編成など一つ一つの部分に向き合いながら、4年後に向け歩んでいってほしい。(前日本代表監督・西野朗) ◆「10番がいなくなるのは寂しい」中村俊輔、モロッコなどカウンターサッカーの躍進に本音をポツリ「どこかの監督が言ってたように…」【W杯】(2022.12.18 サッカーダイジェスト) 「10番がいなくなるのは寂しい」 元日本代表の10番がそう呟いた。 現地時間12月17日、カタール・ワールドカップの3位決定戦が行われ、クロアチアがモロッコを2-1で破り、前回大会の準優勝に続いて世界3位という好成績を収めた。 フジテレビ系列でこの試合を現地解説した元日本代表MFの中村俊輔氏は、前半20分頃にこう解説した。 「クロアチアがボールを回してますけど、ゲームを支配しているのは、実はボールを持ってないほう(モロッコ)だったりする。スペイン戦もそうだったんですけど。どこかの国の監督が言っていたような時代が来るかもしれない。ボールを持っているほうが常に優位じゃないっていう」 そして、「そうすると、余計に10番がいなくなるのは寂しいですけど」と本音を打ち明けた。 「縦に速いサッカーは数年前から来てましたけど、プラス、モロッコのようなサッカーも出てきた」 ボールを保持しないで鋭いプレスからカウンターを狙うモロッコが、ポゼッションサッカーの代名詞であるスペインをラウンド16で破ったのは、世界に衝撃を与えた。 モロッコのようなサッカーが主流になれば、自身のような10番タイプのテクニシャンはいま以上に居場所がなくなる。そんな潮流に一抹の寂しさを覚えたようだ。 ◆本田圭佑 「10番」消えたW杯を語る「監督が必要だと考えていない。残念ではありますけど」(2022.12.18 デイリー) 国際サッカー連盟(FIFA)は18日、サッカー元日本代表の本田圭佑(36)へのインタビューを掲載した。その中で本田は、司令塔、プレーメーカーとしての典型的な「10番」が消えたW杯を残念がった。「典型的な10番という選手は今回のW杯にはいなかったと思う。メッシももちろん違いますよね。現代のサッカーは変化を遂げていて、以前とは違って全員が自陣から敵陣まで走り回らないといけないし、10番的な選手も守備をしないといけない。監督も10番が必要だとは考えていないと思う。残念なことではありますけど」と、語った。 過去3大会連続でW杯に出場した本田は今回、インターネットテレビ「ABEMA」の解説者としてカタールの地を訪れた。「素晴らしい時間を過ごせている。やりたいようにやらせてもらったのでプレッシャーはなかったし、周囲のプロフェッショナルな人たちに助けてもらっています。最高の瞬間はもちろん日本がドイツ、スペインに勝った時ですね」と、振り返った。 フランス-アルゼンチンの決勝については「個人的にはメッシに優勝してほしいが、プロのコメンテーターの一人として、あるいは選手、監督として考えると、率直に言って、フランスの方が強いと思う」と、語った。 岡田さんが語る「日本はクロアチアを目指せ」 西野さんが語る「GKの重要さ」 全く持って同意。 俊輔と本田さんが同じように 「10番」の存在感に触れているのも面白い。 ◆スタイルの潮流は『カウンター』も…ヴェンゲル氏「スペインのスタイルが死んだとは考えない」(2022.12.18 サッカーキング) アーセナルや名古屋グランパスなどの監督を歴任したアーセン・ヴェンゲル氏が、FIFAワールドカップカタール2022を振り返り、自身の見解を示した。17日、スペイン紙『マルカ』が伝えている。 大会史上初となる中東開催のカタールW杯も、残すは『アルゼンチン代表vsフランス代表』の決勝戦のみに。今大会では、日本代表やサウジアラビア代表の“ジャイアントキリング”やスペイン代表の2大会連続のベスト16敗退、モロッコ代表のアフリカ勢初のベスト4進出など、数々のドラマが生まれた。また、オランダ代表FWコーディ・ガクポやクロアチア代表DFヨシュコ・グヴァルディオールといった次世代のスーパースターたちがブレイクを果たしている。 そんな今大会でヴェンゲル氏は、現代フットボールの潮流が『カウンター』となり、『ポゼッション』が廃れてきていることに言及。代々受け継がれてきた『ポゼッション』スタイルで世界王者にも輝いたことのあるスペイン代表を引き合いに出し、フットボールの真髄について語った同氏は「スペインのテクニカルなスタイルが死んだとは考えない。素晴らしい技術的な基盤を持っているから、また成功するだろう」と口にしつつ、「フットボールは技術的なスポーツだ。私たちは、これからも技術のクオリティを高めていかなければならない。スペインのサッカーは、集団的知性の例と言えるだろう。否定するつもりはない。今大会では、さまざまな場面で技術的なクオリティが要求されているからね」と見解を示した。 また、ヴェンゲル氏は「今大会は、爆発的なパワーを持つ選手、その特性を生かしてディフェンスラインを突破する選手の大会だった。それにフットボールの進化も示したね。若手選手がブレイクすると同時に、(リオネル・)メッシ、(オリヴィエ・)ジルー、(ルカ・)モドリッチを筆頭に、選手のキャリアの長さを示す大会でもあった」と振り返っている。 フランス有利の下馬評を覆し 「圧倒的10番」メッシ擁する アルゼンチンが優勝したことで サッカーの潮流も変わるかもしれないな。 ◆【youtube動画】【前園×城×三都主×松井】ベスト8の壁やPKの重要性を考える!カタールW杯を振り返って徹底討論!【おじ遊】 このメンツだと まっつんがただの下っ端感w そして…城さんがデカい! (やっぱりトルシエと揉めたんだw) 実際、リーガでプレイしたことがある方の スぺイン評は興味深い。 「日本の良さは連動性」 「日本の武器はカウンターじゃない」 「相手がどこであれ自分たちの良さを出していかないと上にはいけない」 「コンセプトがバラバラ」 というのも納得。 ドイツ戦の浅野の神トラップはヤットさんも褒めてたな。 PKは監督がある程度順番を決めておくべきかも。 ゲームの最終責任を負うのは監督であるべきだし 「事前に準備が出来ている」ことで心に余裕が生まれるから。 「PKのメンタルトレーナー」は… ヤットさんでいいのでは、とマジで思うw
南アW杯パラグアイ戦のPKでもわかるとおり あの人コロコロだけじゃないからね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.12.23 12:04:29
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