冬の散歩道
柚子を2っつ皮擦って、ぎゅっと絞ってポン酢を作る。台所ストーブであったか柚子の霧の大気。深い水中で足がつかないような生活も、いい匂いになったスベシベする両手が、これが幸福を保証する。ポン酢にアツい白菜と葱と春菊と大根と白身のお魚。厚揚げと糸こんにゃくもよろしく。冴えた夜、一昨日久しぶりに星をみた。日頃こんなものチロチロと頭上にいただいてるのかい?アタシ等。よく、女のヒトがキラキラ宝石が好きな気持ちが解る気がする。ので、私も飲み込んで蒐集したつもりになってみた。既に何も持っていないけれど、欲しいものを尋ねられても何も無い。ものが溜ると余計不安になるしね。頭上に星、お花は切って持って帰らなくても、春にはフタリシズカもシュンランも其処で咲いていてくれる、お友達にだって会いに行きさえすれば其処に居てくれる。何でも持っているのだ。茶トラの白ブチまだらの線の細い耳の大きな猫を、左手に抱いて幸せだな~~って思ったら、なーんだ、がっかり、夢だった。猫、ほしい。