花ねこ*保護ねこ日記

春先ごろから読みたいな～と思っていたのだけど…
ネットでの評価があまりに怖そうだったので、
夜中の山道をひとりで車を走らせる必要のあった出張の後で読もうと思い
（だって運転中にホラーな気分になったら嫌だし）、
読むのをずっと楽しみにしていた漫画。

山岸凉子著「わたしの人形は良い人形」（文春文庫ビジュアル版）\649

この本に収められている「汐の声」というのを、すごく読みたかったのです。

ただ、読むのを後でのお楽しみにして期待値があまりに大きくなりすぎたためか、
読後感としては、「ホラー」という意味では少々物足りなさを感じる結果に。。

しかし、もともとスプラッタ場面の怖さを売りとするような「ホラー」には全然興味ないし、
サイコサスペンス・サイコホラー的な精神面に詰め寄る怖さに関心があるので、
その点では期待通りで面白かったです。


親の欲望から「インチキ霊感少女」を演じるハメになった主人公が、
同じように親の欲望の犠牲になった少女の霊と波長が合ってしまい、
インチキ霊感少女のはずがもはやインチキでなくなり、
本当に霊と接している恐怖を主張するにも関わらず、
周囲の大人には信じてもらえず…

という話なのですが、

大人（親・番組制作スタッフ）のさまざまな欲望の犠牲となる子どもの姿が
救いようなく描かれていて、
読んだあと、腑に落ちようのないイヤーな感じを提供してくれます。

このイヤーな感じは表題作の「わたしの人形は良い人形」にも通じるところがあって、
きっと作者の山岸凉子という人は、
こういう人間のどうしようもない業を描写することに長けているんでしょうね。