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野の花も日々あれこれ考える

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2006年06月04日
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カテゴリ:趣味のいろいろ
殿と映画『ダ・ヴィンチ コード』を見てきた。

原作はもうずいぶん前に読んでいた。
登場する絵画や建築物の写真入りのものがあると聞いていたので、本当はそちらを読みたかったのだが、その頃はずっと売り切れだったので、一番ポピュラーな、活字のみの上下巻を買った。

だが、やはり話の展開の折々に登場する絵画や建築物や街の様子をビジュアルで理解しながらでないと、この小説の真髄を味わうことはできないと思い、本棚からダ・ヴィンチの絵の載っている画集や、ルーブルの図面の載っている「世界の建築」の本や、ヨーロッパの街の地図や写真などの本を引っ張り出してきて、読んでは写真を見、見てはまた読むということを繰り返しながら読み進んだ。
だから、映画化されると聞いたときから、絶対に見たいと思っていた。

映像で見るルーブルや絵画の数々や街並みは、やはり本で見るよりもずっと臨場感があり、そういう点では本当に興味深く見ることができた。
登場人物と絵画との距離感や、建物のスケール感が、映像で見ることによって初めて実感できた気がする。

トム・ハンクスも、思っていたよりもずっと、主人公のニオイをうまく演じていたように思う。
しかし、今回一番うまかったと思ったのは、シラスという修道僧を演じたポール・ベタニーという俳優だった。
最後ほうのシーンで見せた彼の一瞬の表情で、原作に描かれていたシラスの悲しみ全てが演じきられていたように思う。

ただ、やはり膨大な量の情報が事細かに描写された原作だけに、2時間半ほどの映画にはエピソードが収まりきらず、全体としては原作の流れを追う形のダイジェストのように感じられてしまうのが残念といえば残念だった。
ストーリーを時間内に完結させるために、結果的には省かれているエピソードの方が多くなっており、原作では非常に鮮やかに描かれていた登場人物たちのキャラクターが、映画では非常に薄い描写になっている。

まだこれから読もうかな、見ようかな、と思っている方は、ぜひ先に原作を読むことをオススメする。
そして映画は「映像で見ることのできる関連本の一つ」という感覚で見ると良いと思う。
そうすれば、細かく書きつくされたエピソードの数々や、綿密に仕組まれたストーリーの流れが、映像と共に頭の中で再生され、すんなりと映画を楽しめるだろう。

99%の事実に、緻密に計算された1%のウソを紛れ込ませるという手法は「ばれないウソの王道」だが、ダン・ブラウンはまさにその方法を用いてこの小説を作り上げている。
しかし、その天才的で壮大なウソを楽しむには、映画という限られた時間は少し短すぎると思った。
「映画」という独立した作品として完成させるには、まったく別のアプローチ方法もあったのかもしれないな、という気持ちもわずかながら残った作品であった。





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Last updated  2006年06月05日 08時38分26秒
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