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カテゴリ:趣味のいろいろ
最近、ちっとも手書きで何か書くということをしていないなぁと思う。
字を書くのは買い物のメモと子供たちの学校の書類くらい。 読めても書けない漢字は増える一方だ。 パソコンで文書を作ることが当たり前になった昨今、手書きという価値は下がってしまったのだろうか。 少し前、突然どうしても食べたくなったお饅頭があり、ネットで注文することにした。 このことについては、確かこの日記にも書いたように思う。 そのお饅頭が送られてきたとき、一緒に入っていた伝票は手書きだった。 そんなに小さな会社ではない。 関西ではかなりの知名度のある菓子舗で、団体の観光バスなどもよくここで買い物をするようになっている。 だが、伝票にはボールペンの丁寧な文字で 「本日はご注文まことにありがとうございました。もしも何か不都合などございましたらお申し付けくださいませ。またのご注文を心よりお待ちいたしております。」 と書かれていた。 それは老舗らしさを印象付ける、とても気持ちの良いメッセージであった。 私が企画の仕事をしていた頃は、ちょうど「社員一人にパソコン一台」という時代の来る直前、まさにパソコン時代の夜明け前という時代だった。 企画書はもちろんパソコンで打ち出したものを提出していたのだが、それはあくまで「清書」であって、それ以前の段階では全て手書きで仕事を進めていた。 そういうわけで、私の仕事に筆記用具や文具は最重要要素となっていた。 書き味や紙との相性、線の太さ、色の濃さなどを、様々な用途に合わせて使い分けるので、常に5~60本の筆記用具を持ち歩いていた。 また、線を引く道具や消しゴム、様々な定規などを使いこなすことも、規格の出来上がりをイメージする上でとても大切だった。 仕事をスムーズに進めるために、2、3日に一度は製図用品店、デザイン用品店、文具店をハシゴするのが当たり前の生活だったのだ。 そんな風だったから、結婚して仕事をやめても私の文具好きは続いていた。 子供ができるまでは、毎日様々なことをスケッチブックやノートに書き、子供ができたら絵を描き、絵本を作り、子供たちと一緒に落書きをした。 一日の中に必ず「何か書いている」時間があったのだ。 しかし子供たちが学校に行き始めた頃からだろうか。 私がなにか手書きで書くという必要性はほとんどなくなってしまった。 書くために使っていた時間は、子供たちをどこかへ送り迎えするための「運転する」時間に取って代わられ、筆記用具も紙類もどんどん古ぼけていったのだった。 ところが最近、我が家では『文房具ブーム』がまき起こっている。 火付け役となったのは子供たちだ。 今年の春休みや夏休み、大阪へ行くたびに、彼らは「大きな文房具屋さんへ行きたい」と言い、梅田界隈の文具を扱う店を何軒も何軒もハシゴした。 ずらりと並ぶ筆記用具の前で目を輝かせる子供たちに、私は一瞬、昔の自分の分身を見るような気持ちになった。 彼らは間違いなく私のDNAを受け継いでいた。 筆記用具の世界は、この10年余りでは、ほとんど進化も後退も見られない気がする。 確かにコンパクト化とか、ペン先の精度とか、そういったごくマイナーな部分での改良はあるものの、基本的にその地位を揺るがすほどの変化はない。 ただ淡々と、静かに、いつもと同じ様子でそこにあった。 なんだかすごく嬉しかった。 画像は子供たちが買ったものの一部。 本当はまだまだ、この3~4倍くらいの量の買い物をしたのだが、全部並べると何の画像だか分からなくなってしまいそうなので、ヤツらの「特にお気に入り」だけを並べてみた。 私のDNAだ!と思ったのは、何の説明もしていないのに、二人ともドイツ製の文具に魅了されたからだ。 画像にあるステッドラーやペリカン、ここにはのせていないがファーバーカステル、ロットリング、リラなど、子供たちが自分なりの価値観で選んできた筆記用具たちは、ことごとくドイツ製であった。 ドイツ製とはいえ、所詮文具であるから、値段は日本製とさほど変わらないものがほとんどだ。 だが機能的には圧倒的にレベルが高い。 それは短時間の筆記では感じられなくても、長時間続けて書いていると、その差がはっきりと分かる。 デザインがシンプルなので飽きずに使えるのも良い。 子供たちに、少しこだわりのある文具をもたせること、それは書く楽しさや気持ちよさを経験させる良いチャンスになると思う。 特に太郎くらいの歳になると、「気に入った筆記具で書く」ことは、勉強時間の唯一の楽しみともなっているらしい。 私も子供たちに感化され、削りたての鉛筆の木の匂いや、紙の上に鮮やかに引かれる万年筆のブルーブラックや、製図ペンで引く発色のしっかりした黒い線がふいに恋しくなって、ここ数日、何かしら書くことをはじめている。 筆記用具を持って真っ白い紙になにか書く時間は、思いのほか私の気持ちを落ち着かせ、新しいアイデアをわきあがらせ、やる気を出させてくれることに気付く。 明日はたっぷり入るペンケースを探しに出かけようと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月08日 14時41分23秒
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