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テーマ:中学生ママの日記(17695)
カテゴリ:子供にまつわるあれこれ
中学生になった花子は、当初ものすごく張り切っていた。
小学校時代は勉強が飛びぬけて出来たとか、勉強が大好きだったというわけではないのだが、太郎にいろいろなアドバイスを受けて、一年間は塾に行かずに自分でしっかり勉強する計画を立てて、春休みにはぼちぼちと予習を始めていた。 だが、実際に入学してみたら、花子のクラスにはいわゆる「調子に乗りやすい男子」が多数いて、また女子も、はっきり言ってしまうと非常に行儀の悪い子たちが集まっていて、授業は4月の初めから、騒がしくてめちゃくちゃなものだった。 4月に授業参観でその様子を見たとき、私は本当にびっくりした。 先生に向かって、数人の男子が四六時中なにか大声で話しかけている。 まるで友達と雑談しているように、だ。 もちろん手を挙げて発言するものなどほとんどいない。 先生が問題を出そうとすると、その数人の男子が「あーそれの答えは○○!」と大声で言ってしまう。 そして挙句の果てには「せんせー、そんなんもう塾でやったわ!!もっと先いこ!なぁ!もっと先!!」なんて叫んでいる。 あとで花子に聞いたのだが、この先生は最初の授業の時「授業中は手を挙げての発言でなくても『意欲・感心・態度』のところでポイントをプラスしてあげます。また授業中の発言はどんなものでもポイントを付けてあげますよ」とおっしゃったらしい。 だから授業中その男子達は何度も何度も授業に関係ないことを大声で叫び、そのたびに「せんせ!今のんポイントつけてな!絶対つけろよ!!な!!」と確認する。 (その後、この先生は「月に一回ぐらいは授業中寝ていてもかまいませんよ」ともおっしゃったそうだ。騒がれるよりは寝られるほうがマシという苦肉の策か?) 目を覆いたくなるような、とはこういうことを言うのだろうと思いながら授業を眺めていた私のすぐ横で、その騒いでいる男子の保護者達が満足気に微笑んでいる。 その間、他の子供達は面白がってその様子を見ていたり、授業が進まないのを良いことに隣と大きな声でおしゃべりをしている。中にはあきれてしまって黙ってノートをとったり、ぼんやりしているだけの子もいる。 こんな参観、見たことがないと思った。 花子は目をしょぼしょぼさせながらノートをとっていた。 時折、先生が質問する気配に手を挙げてみたりしていたけれど、どれもその男子達の口々に勝手に発言する声に、段々とバカらしくなったようだった。 そんな参観から後、私は毎日花子が帰ってくると授業の様子を聞くことにした。 その数人の男子達の傍若無人な振る舞いはどんどんエスカレートし、女子の一部がその尻馬に乗り、入学わずか一ヶ月で花子のクラスの授業は完全に壊れていた。 かろうじて保健体育と少人数クラスに分かれる数学は、担当の先生が怖いということで男子達もおとなしく、きちんと授業になっているらしかった。 だが他の授業はその数人の男子の扇動で明らかに授業つぶしが始まっており、社会にいたっては先生が授業に来るのを忘れてしまうなんてことまで起こり始めた。 そして花子の席の前の女の子が、授業中ずっとうしろを向いて花子にしゃべりかけてくるので困っているらしい。 その子はクラスの行儀の悪い女子のグループにいる子で、プリントや小テストをやったりレポートを書いていると、堂々とうしろを向いて花子のものをすっかり写すらしく、花子が書いていない部分があると「ちょっと、ここ後の子のを見て書き!」とカンニングを勧めてくる始末。 花子は性格がはっきりしているので、そういうことは「イヤ。そんなんせえへん!」と断るらしいのだが、授業中ずっと後を振り向かれることにはかなりのストレスを感じている様子だった。 授業が荒れていることは、張り切って中学に入学した花子に大きな失望感を与えた。 花子は昨年ずっと太郎の受験のサポートを私と一緒にやってきたので、高校受験の厳しさをよく知っている。 そして、自分も中学に入ったら兄ちゃんみたいに頑張るのだと、楽しみにしていたのだ。 だから、毎日毎日騒がしくて馬鹿馬鹿しい授業を受けるのが、段々辛くなってきた。 連休に入る少し前から、花子は毎日ひどい頭痛を訴えるようになった。 学校に行くことはいやではないので、朝からの頭痛はほとんどないのだが、学校から帰ってきて夜寝るまで、ずっと締め付けられるような傷みがあるらしい。 私は、この状況にかなり危機感を募らせていたのだが、クラスのほかの子供達がさほど不満な様子がないことや、学年懇談会などではそのような話題がまったく出なかったこともあって、花子がちょっと気にしすぎているのかもしれないという気持ちもどこかにあった。 それで「夏休み頃まで様子を見て、それでも状況が良くならなかったら塾に行く?」と花子には話していた。 塾に行ったところで学校のクラスの状況はなにも変わらないのだが、せめて花子の学習意欲を満足させて「学校がダメでも私はちゃんと勉強している」という気持ちにさせてやりたいと思ったのだ。 とりあえず夏ごろまでによそのお母さんにも様子を聞いてみようと思っていた。 しかし、花子の頭痛は日ごとにひどくなり、私はついに花子に内緒で学校に相談の電話をかけてみた。 ちょうど担任は授業のため不在で、学年主任の年配の男性教師が電話にでた。 それはあの参観の授業をしていた先生だった。 私は一瞬躊躇ったが、手短に花子の状況と、クラスのあの状況は今後もあのままで放置されるのかと聞いてみた。 すると「お母さんのおっしゃることは良く分かります。実は担任も頭を抱えているのです。彼ら(いつも騒ぐ男子達)は小学校3年生程度のレベルの子供です。言葉遣いも非常に悪いですし、行動も極めて幼稚です。ですが、厳しく叱って萎縮させてもいけませんし…すぐには治るようなものではないので…ですが、学年担任団でもう一度よく相談をして、少しでも良くなるように努めます」とのことだった。 頭にきた。 一年生の初めからパーマを当て、茶髪にし、校則を破るのが当たり前のようにし、授業中は騒ぎまくって授業を妨害するような、一部のワルガキや行儀の悪いお嬢ちゃんを萎縮させないために、普通の子供達は我慢を強いられているのだ。 ここ数年よく聞く「吹きこぼし」って、こういう風に始まるのだとよく分かった。 太郎が入学した頃は、ちょっとした事でも学年集会でカミナリを落とされ、校則を守らない子供はいつでもこまめに注意されていた。 その甲斐あってか、太郎の学年の子供達はみなそこそこ真面目で、だが個性豊かで面白い子供達に育ち、成績も優秀だった。 そんなこともあって、花子の入学時には私は地元の公立中学を信頼しきっていた。 学年主任の無責任な言葉を聞いても、まだ完全に中学への信頼を断ち切ることが出来ずにいた。 なにより、花子の「塾に頼らずに自分で勉強したい」という気持ちを大事にしてやりたかった。 だが、連休が明けても一向に環境を良くしていこうという気配もなく、服装検査は、まるで真面目に校則を守る子供達がバカを見るようなもので、花子の学習意欲はどんどん薄れていくようだった。 授業の進んでいる教科は、先生が「どうせみんな塾で習ってるから知ってるでしょ」という態度でどんどん進められる。 また一方で、完全に子供達になめられて授業を妨害されている教科は、ほとんど進んでいなかった。 英語などは一ヶ月たってもまだアルファベットをだらだらと書いていた。 もうこれではだめだ。 こんな学校に信頼して子供を預けるなんて、もう私には出来ないと思った。 私は思い切って花子に「もう、今すぐにでも塾に入ってみる?」と聞いた。 花子はずいぶん難しい顔をして黙って考え込んでいたが「そうしようかな。だってこのままでは学校でなんて勉強にならないもん」と言った。 その場ですぐに太郎がお世話になった塾に電話をし、中途半端な時期に入学申し込みをすることになった事情を話した。 「それでは少しでも早く授業に参加できるほうが良いですね」と、さっそく次の授業の日に体験させてもらうことになった。 初めての塾で、体験とは言え2時間40分はさぞかしきつかっただろうと思ったのだが、帰ってきた花子はキラキラした目で「あっと言う間に終わっちゃった!でもまだ学校で習ってないことばっかりで、頭から煙が出たよ。」と笑った。 次の日、すぐに入学手続きをし、花子はクラス分けテストを受けた。 問題は小学校の復習とその応用だったらしいのだが、花子はあまりの緊張でさっぱり解けなかったらしい。 だが、そこから少しずつ頑張って上がっていくことを励みに、楽しんで勉強に取り組めたらいいなぁと私は思っている。 そして今夜から、花子は本格的に塾に通う。 遅れている分を取り戻すために、塾のほうもいろいろと気を配ってくださるらしいが、自宅でも出来るだけ穴埋めをしようと、昨夜は花子と二人で学習計画の練り直しをした。 新しいスケジュール帳に予定がどんどん書き込まれる。 花子はやっとやる気のみなぎった元気な顔に戻った。 今月の終わりには、学校の前期第一テストがある。 そして来月には塾の模擬テストもあり、そのすぐ後には始めて受ける英検が控えている。 しばらくは大変な日々が続くのだろうが、私は再び始まるサポートの日々をちょっと楽しみに受け止めている。 頑張れ花子! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年05月15日 13時12分22秒
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