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カテゴリ:へそまがり流投資手法
前回、
ROEは役立たず と題して、「ROE(自己資本利益率)」が、その良さそうなイメージに反して、投資の役に立たない、と書いたのだけど、 「ROE」の役に立たなさ加減というのは、とても1回では書ききれない。 今回は、別の角度から、ROEは役立たず(その2)。 1.株価との関連付けが無い ROE = 純利益/自己資本×100(%) = 1株利益/1株純資産×100(%) 計算式から分かるとおり、株価とか時価総額の要素が無い。なので、株式投資で最も大事な観点である”その株は割高なのか割安なのか”といったことを全く示していないのだ。 なので、 (私は必ずしもそうは思わないのだけど、100歩譲って、)「ROEが高い会社 = 将来性の高い会社」 だとして、 さらに、なぜだかわからないけど、将来的にも高ROEが継続することに確信が持てる会社が見つかったとして、 その会社が買いなのかどうか、「ROE」だけでは全く判断が出来ない。 普段の生活で、値段を見ずに買い物する人がいないのと同じこと。(値段を見ずに買うのは、すしざんまい社長の初セリぐらい。ROEを最重視して投資判断をするというのは、そんな類。) 2.株価と関連付けるためには まあ、ROEだけで投資判断する人は稀で、大半の人は、株価の割安さを測る指標と併用するのだろうけど、 割安さを測るための代表的な指標は、PERとPBR。 PER = 株価/1株利益 収益面から、株価の水準を見極めるための指標。 PBR = 株価/1株純資産 純資産(株主資本)面から、株価の水準を見極めるための指標。 一方のROEを分解していくと、 ROE = 1株利益/1株純資産×100(%) = (1株利益/株価)/(1株純資産/株価)×100(%) = (1/PER)/(1/PBR)×100(%) = PBR/PER×100(%) ROEは、割安さを測るための代表的な指標どうしを割り算していることになる。大事な指標どうしを割ってどうするんだ! 株価と関連付けて割安さを見ようとすると、ROEは扱いが難しすぎる。 重要なので、繰り返すと、 ROE = PBR/PER×100(%) 3.自己資本も時価評価が必要では 株価と関連付けるためのもう1つのアプローチは、自己資本を株式市場での評価に基づき時価評価してみる方法。 ちなみに、有価証券報告書には、自己資本比率については、”時価ベースの自己資本比率”という指標が掲載されている。 時価ベースの自己資本比率 = 株式時価総額/総資産×100(%) これにならうと、 時価ベースでのROE = 純利益/株式時価総額×100(%) 無事、株価との関連付けが出来た。 ちなみに、その会社を買収するといった場合、”簿価の自己資本”に相当する金額では買収不可能で、一般には時価総額またはそれにプレミアムを付けて買収することとなる。 それなら、最初から”簿価の自己資本”ではなく、市場での評価にもとづき、”時価ベースの自己資本”を使っておくのが道理。一般株主だって、株を買うときは、”簿価の1株自己資本”ではなく、市場の株価で買うしかないのだし。 で、よく見ると、 時価ベースでのROE = 純利益/株式時価総額×100(%) = 1/PER×100(%) これは、PERの逆数で求める、伝統的な指標である”株式益回り”。 結局のところ、伝統的な指標に回帰。 投資の尺度としては、ROEは徹頭徹尾不要である。というのが、私としての結論。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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