先週は、ウチヤマホールディングスがついに念願の一部昇格でほっと一息とか、ヴィレッジヴァンガードの月次が奇跡の復活だなんてきっと妖怪の仕業に違いない(少し持っておけばよかったと反省)とか、色々あったのだけど、
個人的には、カーディナルの怪しい急騰が一番びっくりした出来事。
ヘラクレス市場時代からの長い付き合いだったのだけど、ようやく全株売却。
急騰の恩恵を受けておいて言うのもなんだけれども、
どうも、最近、材料も無くストップ高するような銘柄が多いように思う。実に怪しい動きなのだが、”ストップ高”と”特別気配”制度の弊害ではとも思うので、今回はそのあたりのことを。
0.カーディナル
本題に入る前に、今回動いたカーディナルについて。
カーディナルは、各種カードを作成する会社で、手堅く稼ぐかわりに大きく伸びることも無いという実に地味な会社なのだけど、
上場先を見ると、
大証新市場部 → ヘラクレス・グロース → ジャスダック・グロース
と、夢だけ振りまきバブル化する銘柄が集積するような市場で、ちぐはぐ感。
そのため、以前は、大株主に
かのホリエモン堀江貴文氏と、ストックバリュー投資家の竹田和平氏が共存するという不思議な光景も。
1.今回の値動き
では、今回の値動きについて。
まずは、チャートと株価・出来高のデータを。
直近の動きとして、
まず、8月29日に、一度ストップ高の716円になって、終値634円。
週末をはさんで、9月1日は、高く寄って、すぐにストップ高買い気配の734円、引けで比例配分。
翌9月2日も、高く寄って、すぐにストップ高買い気配の884円、引けで比例配分。
そしてクライマックスの9月3日、買い気配のままストップ高1034円の特別気配だったのだけど、後場に大量の出来高で寄った後に下落。
9月3日、4日は力無く下落。
材料が出たわけでもないので、相場操縦的な人為的な動きだよね。
2.ストップ高張り付きの弊害
なぜ、こんなことが起こるのか。
投資家のモラルの問題もあるのだろうけど、市場の仕組みにも改善点があるのでは。
株価・出来高のデータを見ると、ストップ高買い気配で引けで比例配分となった9月1日、2日は6万株程度の出来高。ストップ高後に寄った前後の日に比べて、出来高が格段に少ない。
それもそのはずで、
ストップ高で、売りの数量より買いの数量が多くなると、”特別気配”となり売り買い同数になるまで寄らない仕組み。株価を上げたい人(たち)は、ともかく多くの買い注文を出していれば、約定することなくストップ高買い気配を維持できる。そのうち、比例配分狙いの人達が入ってくるので、静かに注文量を減らしていけばよいという算段なのだろう。
なので、時価総額が小さく、日頃の出来高の少ない銘柄は、ストップ高まで簡単に達しまた維持できるという意味で、格好のターゲットになるのだろう。
こういう例以外でも、好材料が出てストップ高が近くなると、ストップ高を目指した買いが入ったり、ストップ高から下げると反動で大きく下げたりと、
”ストップ高張り付き”が、合理的な価格形成を邪魔しているようにも見える。
3.じゃあどうすれば
ストップ高制度は米国などにはないらしく、これをやめるというのも1つの方法。
だけど、相場の急変を避けるとか、投資家に情報が行き渡る時間を提供するという合理的な意味もあるのかもしれない。
仮に、ストップ高制度が必要だとしても、
ストップ高張り付きの特別気配はやめてはどうか。売り買い同数にならなくても売り注文が出た分だけどんどん約定させるようにすれば、ブラフでの買い注文は出せなくなるので、ずいぶん改善すると思うのだけどどんなものだろう。(と、こんなところでほざいていても意味無いか。)
まあ、このままの制度でも、
所有銘柄が、怪しい急騰をすれば、ありがたく売却するだけなのだけど。