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カテゴリ:グロース投資
多くのブログで語り尽くされている感のあるペッパーフードサービス。見解の分かれる焦点の銘柄だけに、株ブログの端くれとして、今更ながら取り上げてみたい。
今年の春頃から急騰したペッパーフードサービスなのだけど、白状すると、近頃よくある大した材料も無く急騰する銘柄の1つという認識でいた。そもそも、成型肉のイメージしかなく、安かろう悪かろう的なジリ貧企業とばかり思っていた。 ところが、遅ればせながら、今のペッパーフードサービスは、昨年12月に1号店を出店した立ち食いスタイルの”いきなり!ステーキ”を抜きには語れないということを知った。 ということで、今回は、”いきなり!ステーキ”をメインに同社株についての見解を書いておきたい。 1.いきなり!ステーキ 驚異の満足感 まずはどんなものか体験ということで、大繁盛しているという”いきなり!ステーキ”に行ってみた。 入店すると、肉切り場?に案内される。そこで肉の種類とグラム数を聞かれる。私は一番安いリブロースステーキ(値段改定後1g5.5円)を400g注文(なんと、リブロースは最低300gから、とのこと)。すると、目の前で大きな1本肉から注文の量を切り出してくれる(オーダーカット方式と言うらしい)。で、焼き方はレアがお奨めとのことなので、レアにしてみた。 席で待つこと10分、熱い鉄板に載った焼けたステーキと付け合せのコーンが到着。今回、サイドメニューは頼まなかったので、まさに、いきなりメインのステーキを頬張る。うまい、実にうまい。表面は焼けているのだけど中のほうは赤いまま、この火の通っていない赤身の部分がジューシー。書いていて、思い出しヨダレが出そう、というか出た(笑)。 厚切り肉をレアで食べるのが、こんなに美味しいものだとは、長い人生で今まで知らなかった。普通のレストランでは、ステーキは150gからせいぜい250gなので、この美味しさにはたどり着けない。”厚切りレア”を一度経験すると、薄いステーキでは満足できないだろうと思う。 大げさに言えば、霜降り肉が最上と思っていた日本人への、新たな美味しさの提案。 で、この満足が、約2500円で手に入れられる。驚異のコストパフォーマンス、大繁盛するのも至極当然。 2.いきなり!ステーキ 驚異の収益力 一方、会社の立場から見ると、”いきなり!ステーキ”は、驚異の収益力を誇るのである。 飲食店の売り上げは、席数×回転率×稼動率×客単価。 まず、立ち食いスタイルなので、席数は多めに出来る。”いきなり!ステーキ”は、20坪30席が標準。普通のステーキ店に比べて、面積あたり1.5倍弱の席数を確保している模様。 次に、回転率。前菜抜きで、立って食べるので1人の客の所要時間は30分程度らしい。普通のステーキ店の3倍以上の回転率。 続いて、稼働率。コスパが良いためか、結構行列が出来ている。また、立ち食いスタイルなので、空席を作らず詰めていくことが容易で高稼働率。 上記を掛け合わせると、面積当たり、普通のステーキ店の約5倍以上の客をこなすことが出来る計算。 そのため、質の良い肉を安価に提供する薄利多売の商売でも驚異の利益を上げることが可能となっている。 25年12月期決算説明会で社長が語るには、20坪30席の店で、1日の客数500人、売上げ100万円とのことで、ちょっと桁外れ。 3.決算説明会資料から見た”いきなり!ステーキ”の収益力 じゃあ、具体的にどの程度売り上げて、どの程度利益を出しているのか。 2014年12月期中間決算説明会資料にヒントがある。 資料中に、2014年上期のセグメント別の売上げと営業利益が載っている。 2014年上期(2014年1月~6月)に、”いきなり!ステーキ”業態が約3.6億円売上げ、5200万円の営業利益を出していることが分かる。 で、2014年上期に営業していた”いきなり!ステーキ”は、 ・銀座4丁目店(30席):昨年12月オープン済み ・銀座6丁目店(30席):1月25日オープン ・吾妻橋店(26席) :4月1日オープン ・渋谷桜ヶ丘店(30席):6月17日オープン なので、1店舗が1月営業するのに「店・月」という単位を用いるとすると、2014年上期は、約14.5店・月の稼動に留まる。 前記の売上げ、営業利益から計算すると、 1店・月あたりの 売上げは、約2470万円/(店・月) 営業利益は、約360万円/(店・月) 年あたりに直すと、売上げは、約3億円/(店・年) 営業利益は、約4300万円 /(店・年) 売上げも驚異的だが、初期費用をものともしない営業利益も驚異的。 4.下期の予想 上期には4店舗だった”いきなり!ステーキ”は下期に続々オープン。 直営店だけでも ・神田南口店(42席):7月2日オープン(10月1日FC店に移行) ・六本木店(34席) :7月15日オープン ・プレナ幕張店(41席):7月30日オープン ・赤坂通り店(36席):8月5日オープン ・吉祥寺店(20席) :8月12日オープン ・新橋店(30席) :8月20日オープン ・新宿西口店(30席):8月27日オープン ・錦糸町店(34席) :9月3日オープン ・池袋南口店(42席):10月16日オープン予定 下半期は、直営店で、約62店・月の稼動見込み。 売上げ、営業利益に換算すると(店の大小や立地などの影響は考慮せず)、 売上げは、下半期で約15.3億円、通期で19億円 営業利益は、下半期で約2.23億円、通期で2.75億円 この他、フランチャイズ店として、池袋東口店(9月30日オープン)と大阪法善寺店(10月29日オープン予定)。また、社長は、年内30店舗を大目標として掲げている。 これら、FC関連やこれからの出店分をプラスすると、2014年12月期中間決算説明会資料の中の”いきなり!ステーキ”業態の下期売上げ計画約21.2億円、営業利益約2.4億円程度には着地しそう。 5.来期以降どうなるか 驚異の集客力・収益力をテコに、FC展開も含め出店攻勢が続くのではないかと思う。 今年、30店舗を目指しているが、来期はプラス50店舗以上か? それ以降は見通すことは難しいけど、100店舗程度で競合により頭打ちになるのか、1000店舗以上に拡大していくのか、どちらの可能性もあるように思う。 前者であれば、”いきなり!ステーキ”業態の 年間売り上げは200億円程度(FC込み)(1店舗あたりの売上げが3分の2程度に鈍化するとして) 年間営業利益は20億円程度(利益率もやや鈍化するとして) 後者であれば、”いきなり!ステーキ”業態の 年間売り上げ3000億円程度以上(FC込み)(1店舗あたりの売上げ維持) 年間営業利益は430億円程度(利益率も維持するとして) 前者だと、現在の時価総額約100億円(新株予約権行使による希薄化考慮)程度がせいぜい。 後者だと、時価総額2000億~4000億も狙えるし、勢いがつけば1兆円も、と妄想が膨らむ。 あくまで、いきなり!ステーキのみを考慮してのもの。これ以外でも、牛タンなども健闘しているらしいので、株価の下支えにはなるかも。 6.新株予約権の発行 8月13日に、新株予約権の発行について発表されている。出店資金確保が目的とのこと。 マイルストーンという会社が、31.4万株分(約11%に相当)の新株予約権(行使価格3186円)を取得し、株価によって権利を行使してくる見込み。 現在まで、2割程度の権利行使・株式売却に留まっていると見られる。しばらくの間、3200円を超えて株式が上昇する局面では売り圧力となる。 このあたりのタイミングを見計らうと、効率的な投資ができるかも(私は待ちきれませんでしたが^^)。 7.感想 配当利回りとか、益回りとか、純資産とか、そういった部分を重視して、まるで債券投資をしているかのような株式投資が流行だけど、 こういう、将来の可能性を重視しての投資も、夢があって、まさに株式投資をしている気分。 ※ 投資は、損しても得しても自己責任で! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 6, 2014 12:00:16 AM
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