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カテゴリ:へそまがり流投資手法
この3連休は、高まる大波乱の可能性に対して、どう自分の資産を防衛していくか考えなきゃと思っているのだけど、なかなか戦略がまとまらない。 「資本を減らす自社株買いはROEを高くする。ただ、日本企業の稼ぐ力を認めるならもっと長く保有した方がいいとの判断もあるはずだ。それを2カ月で見切るのは、まだ半信半疑の投資家がいる証左といえる。」 と論評。 ギター侍風に言うと、(古っ) 自社株買いによるROE向上が、稼ぐ力向上に役立つって言うじゃな~い。。。 でもアンタ、自社株買いは短期の需給には効いても稼ぐ力の向上には決してつながりませんから! 残念~!! 3.自社株買い前後の理論株価 有償増資などの際の理屈(時価総額が企業価値)を応用すれば、 自社株買い後の時価総額 = 自社株買い前の時価総額 - 自社株買いに要した金額 自社株買い前の時価で、自社株買い前の株数のa%の自社株買いをすると、 自社株買いに要した金額 = 自社株買い前の時価総額×a% なので 自社株買い後の時価総額 = 自社株買い前の時価総額 - 自社株買い前の時価総額×a% = 自社株買い前の時価総額 ×(1-a%) 株価に直し、さらに、自社株買い後の株数=自社株買い前の株数×(1-a%)と変換すると 自社株買い後の株価 = 自社株買い後の時価総額 / 自社株買い後の株数 = (自社株買い前の時価総額 ×(1-a%))÷ (自社株買い前の株数×(1-a%)) = 自社株買い前の時価総額 / 自社株買い前の株数 = 自社株買い前の株価 ようするに、 自社株買い後の株価 = 自社株買い前の株価 視点を変えると、 株数を1割減らすなら時価総額の1割を自社株買いに使わなければならないし、2割減らすなら時価総額の2割を自社株買いに使わなければならない。時価総額の1割をキャッシュアウトしたなら時価総額は9割に、2割をキャッシュアウトしたなら時価総額は8割になりますよ ということ。 同じくキャッシュアウトとして配当をしたときを思い浮かべれば、時価総額の1割分の配当をすれば配当落ちで時価総額が1割減るし、2割分の配当をすれば時価総額が2割減るのと同じこと(こんな高額配当をすることはめったにないと思うけど)。 でも、気をつける必要があるのは、上記は自社株買い前の株価で自社株買いができると仮定しているのだけど、短期の需給がタイトになるので、実際は割高に自社株買いをせざるをえない。 なので、短期の需給の影響が剥がれた後の比較では、 自社株買い後の株価 < 自社株買い前の株価 一般的な戦略としては、自分の保有している銘柄が自社株買いを発表したなら、短期の需給改善効果があるうちに少しだけでも売っておいたほうが手堅いように思う。 4.特に高PBR銘柄の自社株買いは要注意 高PBR銘柄の時価総額は、帳簿上の自己資本がわずかで、多くは自己資本以外のブランド力や営業力等(ひっくるめて”自己創設のれん”とも)が評価されてのもの。 帳簿上の自己資本は比較的手堅い資産であるのに対し、ブランド力や営業力等は移ろいやすい。 高PBR銘柄が自社株買いをすると、少ない割合の帳簿上の自己資本がますます減り(同時に1株純資産も大きく減る)、時価総額の裏づけがブランド力や営業力等ばかりになっていく。 下落リスクが増えていくので、特に、要注意。 5.自社株買いが良い選択であることも 逆に、低PBR銘柄などで、経営者が自社の株価が明らかに割安であると確信が持てるのなら、自社株買いも有力な選択肢となる。 特に、使い道の無いキャッシュを積み上げているような企業で、市場化からは”お金を持っていてもどうせ無駄にしてしまって株主に還元されることは無いだろう”的な評価(必然的に極端な低PBR)を受けているようなら、自社株買いをすることにより、1株純資産も向上するし、市場の評価も一新される可能性も。 ということで、そういう会社は是非、自社株買いをやって欲しい。 なお、自社株買い前後の株価が変わらない場合、 〇高PBR銘柄(PBR1倍以上)の自社株買い → ますます高PBRに 〇低PBR銘柄(PBR1倍以下)の自社株買い → ますます低PBRに 6.感想など 自社株買いを行うと、企業の稼ぐ力が付くとか、自社株買いをしても時価総額は一定だとか、少し考えればそんなことありえないと気づくだろうに。 同じ効果のあるはずの、大規模な配当(自己資本をキャッシュアウトさせるという点で同じこと)の場合、企業の稼ぐ力が付いたり、配当落ちが無かったりすると思う人はいないよね。 自社株買い=ROE向上=企業価値が上がる なんて、ROE至上主義者の幻想にすぎない。 そんなことより、利益を出すための地道な努力をして欲しい。世の中で売れるのはなんなのか、自社の強みは何なのか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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