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先週の株式市場は、とりあえず”エボラ出血熱”を消化した格好で、上げ基調。
しかし、西アフリカの状況は混沌。WHOの25日の発表では、感染者が1万人を超え、死者数も5000人弱に拡大。 また、厚生労働省のまとめでは、ギニア、リベリア、シエラレオネのそれぞれの首都で猛威をふるい、症例数の過少報告が続いているとのこと。 ・エボラ出血熱、感染者1万人超える 死者は4922人 ・2014年10月23日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新13)(厚生労働省検疫所) というような状況なので、株価が上がることは素直に嬉しいのだけど、先行きどうなるかは非常に不透明。西アフリカが収束しない限りは全く安心できないのだが、相変わらず良い見通しが持てない。 私は、レバレッジ1.0倍、そのうち金ETFが2割という防御態勢を継続。また、エボラ流行シナリオ、早期克服シナリオとも耐えられる銘柄構成に徐々にシフト。 それと、西アフリカでエボラと対峙している国境なき医師団に少しだけ寄附してみた。この寄附が、先週行った投資の中で、最も費用対効果が高いかもしれない。 ちょっと長めの前置きだったのだけど、週末なにげに図書館で借りた本が面白かったので、その読後感想が、今回の本題。 1.食い逃げされてもバイトは雇うな? 本は、公認会計士の山田真哉氏の書いた”禁じられた数字(上下巻)”。 ・食い逃げされてもバイトは雇うな-禁じられた数字(上) ・「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い-禁じられた数字(下) 上巻のタイトルを下巻のタイトルで打ち消すという、人を食った技を披露。 ずいぶん前のベストセラーなんだけど、中身が薄そうなタイトルだなーと敬遠していた。でも、読んでみると、実に読みやすく、コンパクトながら充実している。 主題は2つ。 1つは、数字の話。もう1つは、会計とビジネスの話。 2.数字を操る 人をひきつけるには、数字を有効に活用することが重要とのことで、事例を豊富に紹介。 どういう断面で切り取るかによって印象が違う。効果的な数字の使い方をということで、 例えば、サッカーのスウェーデン代表は、イングランド代表を相手に、「39年間無敗神話」というキャッチコピー。実際は、39年間で12戦しかしておらず、しかも4勝8分け。でも、39年間無配には違いないし、イングランド戦の集客アピールには効果絶大。 さらに工夫すると、スーパーの割り引きに同じコストをかけるにしても、 「全品2%引き」というより、「抽選で50人に1人は無料」とした方が、集客効果があるとのこと。確かに、期待値としては同じでも、50人に1人無料の方がワクワク感があるような。 一方、受け手側としては、数字に騙されてはいけないよという注意喚起も。 例えば、「この売り場で、1億円が12本」という宣伝。事実には違いないのだけど、どこで買おうが当たる確率は同じなので、意味は無い。相手を錯覚させるための”卑怯な数字”を著者は”禁じられた数字”と定義。 ”禁じられた数字”には4パターン。 ・アンケート、ランキングなどの「作られた数字」 ・”1億円が12本”のような「関係のない数字」 ・将来予測などでの「根拠のない数字」 ・計算上はうまくいくけど実際にはうまくいかない「机上の数字」 3.ビジネスを成功させるには非会計的な行動が不可欠 今回、この本を読んで、”目からウロコ”的な点が、非会計的な行動を推奨している点。 冷静な計算から導き出される”会計的な行動”だけでは、ビジネスは成功しないと断言。公認会計士の著者が言うだけに説得力がある。 で、ここに、上巻下巻で相反するタイトルが付けられている理由がある。 上巻の「食い逃げされてもバイトは雇うな」というのが”会計的な行動”。バイトに払う給料と食い逃げで生じる損失を比較すると給料の方が断然高くつくので、「バイトは雇うな」というのが”会計的な行動”。 だけど、それではビジネスとしては発展しないというのが、下巻の「「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い」。 食い逃げを許すゆるい店だという評判が立ったり、そのうちレジごと持っていかれたりとか、バイトを雇わないことの弊害は大きいためバイトを雇うというのが”非会計的な行動”。雇ったバイトをうまく活用して、いかに店を繁盛させるか妙手を考えるのがビジネス。 二者択一を超えた妙手をひねり出すのがビジネス。ビジネスはいわば非科学的なものであり、金額重視・効率化重視の会計的思考とはある意味相容れな面があるもの。内部統制強化なども会計的な発想、ビジネスの現場とは反りが合わないとのこと。 会計的行動と非会計的行動の複数の視点を持って、妙手を考えるのが経営者の役割 というのが本書の結論のようである。 4.感想 そういえば、昔の偉大なる創業者は、「経理の言う事を聞いていたんでは会社は発展しない」というようなことを言っていたなーとか、 ソニーがダメになっていったのも、社外取締役とか、環境会計とかガバナンス、コンプライアンス的に正しいことに注力する一方で、儲かる製品・仕組みを知恵を絞ってひねり出すということを忘れてしまったからあんだろうなーとか、 日頃漠然と感じていたこととシンクロ。 なるほど、そういう理屈かと、目からウロコの2冊でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 27, 2014 03:21:25 AM
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