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カテゴリ:指数あれこれ
”「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数”と立派な能書きを掲げる”JPX日経400”が、その美辞麗句に対して実際のところは投資対象としてどうなのか、構成銘柄に分け入って検討してみようという試みのもいよいよ佳境です。
(前回までの日記) 〇JPX日経400の真実(その1) 〇JPX日経400の真実(その2) 〇JPX日経400の真実(その3) 1.前回までのおさらい ”TOPIXを基本に若干のアレンジをした指標がJPX日経400” で、どうアレンジしているかというと、 ”JPX日経400”は、 ・会社の規模が大きい企業が選ばれやすい ・業績が好調な企業が選ばれやすい ・株価が好調な企業が選ばれやすい ・1.5%の上限キャップ付き(6月末のデータで8月にリバランス) という特徴があるので、 ”JPX日経400”がTOPIXに対して取るポジションには以下の傾向が顕著。 〇オーバーウェイト銘柄 ・採択された銘柄についてTOPIXのウェイトに広く薄く(4割弱)加えている。寄与するのは時価総額上位銘柄 ・なお、時価総額下位銘柄や東証1部以外から抜擢して採用した銘柄は、”JPX日経400”が”時価総額加重型”を採用しているためほとんど指数算定に寄与しない 〇アンダーウェイト銘柄 ・”JPX日経400”に1.5%の上限キャップが付いている(6月末のデータで8月にリバランス)ため、アンダーウェイトとなっている時価総額最上位のグループ ・過去3年間で大きな赤字を計上した、または上場して年数を経てない等の理由で、時価総額は比較的大きいのだけど”JPX日経400”では不採択となっているグループ 2.TOPIXに対するポジション で、”JPX日経400”のTOPIXに対するポジションが端的にどうなっているかというと、 〇なんと、約75%分はTOPIXと一致。 約25%分だけポジションを取っている(2015年6月末時点)。 〇アンダーウェイト、オーバーウェイト上位銘柄 3.アクティブ運用として考えてみると TOPIXに対してポジションを取っているという意味で、”JPX日経400”もアクティブ運用なのだけど、その観点でみると、 〇75%まではTOPIXに同調し、25%分しかポジションを取っていない。 〇基本的に時価総額上位銘柄は組み入れるけど、過去3年で不調だった銘柄は排除。 〇銘柄の見分け方は、過去3年の営業利益とROEで機械的に(利益の質などは考慮しない)。 〇時価総額下位銘柄や東証一部以外の銘柄も組み入れるけど、ウェイトはとても小さくしている。 これが、仮にどこかのアクティブファンドの運用だとすると、あまりに凡庸すぎて眩暈がする。こんなものでTOPIXをアウトパフォームできるようなら、誰も苦労はしませんよね。 好調に見える銘柄で先々の危険が潜むようなもの株価が高すぎるようなものを排除し、不調に見える銘柄で変貌の兆しの見えるものを察知して採用するというような努力はまるでなされていない(そもそも、過去のROEでこんなことが分かるわけもないのだけど)。 ”JPX日経400”は、はっきり言って投資未経験のインターンシップの学生が夏の自由研究として1か月程度で作るレベルでは。 で、私なりの結論としては、 ”JPX日経400”は、美辞麗句に飾られ、また取引所と日経新聞の権威で箔付けられているけれども 構成銘柄・ウェイトまで分け入ってみたときの素顔は、 凡庸極まりないアクティブ運用。 4.アンダーウェイト・オーバーウェイト上位銘柄の騰落率 蛇足的に、アンダーウェイト・オーバーウェイト上位10銘柄(今年6月末時点)の、昨年8月の銘柄入れ替え以降の騰落率。 不調銘柄を機械的に排除する戦法が裏目に出ている状況がよくわかる。 蛇足的に、次回に続きます。 ※《訂正》:この日記の中で、イオン(8267)をJPX日経400不採択としていますが、JPX日経400に採択されています。表の訂正は、時間に余裕のあるときに行います。すいません。(8月9日) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 9, 2015 06:56:49 AM
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