今回は、貸株サービスの続き。
(関連の日記)
〇貸株サービスが熱い(その3)
〇貸株サービスが熱い(その2)
〇貸株サービスが熱い(その1)
〇貸株サービス
1.貸株サービスにより、個別株投資がインデックス投資に優越
さて、貸株サービスの金利競争は、インデックス投資と個別株投資の優劣についてのセオリーを一変させるだけのパワーを秘めている。
すなわち従来は、信託報酬低廉なインデックス投資が市場平均の利益を低コストで得られる優れた方法で、個別株でのアクティブ運用は利益の期待値が高まらない上にコストも高い というのが世の賢人達の判断(個別株投資をするのは、うぬぼれ屋さんか優待族、ちなみに私は優待好きのうぬぼれ屋さん^^;)。
ところが、貸株金利面の競争が激しくなった今の状況だと、貸株サービスを活用すれば、貸株金利を意識せずにポートフォリオを組んだとしても投資額に対して年間0.3%程度以上の収入となる。
仮に年間の取引手数料が投資額の0.2%程度(1年間で所有株を1回転させる売買頻度を想定)かかったとしても、貸株金利と合算すると投資額に対して0.1%程度の収入(保有・取引コストがマイナス0.1%)。
いくらインデックスファンドが信託報酬低廉だとしても、年間0.1%程度のコストはかかる。
両者を比較すると個別株投資が差引0.2%程度以上有利。
なんと、従来の常識が覆り、コスト面で個別株投資に優位性がある状況となっている(それに加えて年々拡大傾向の株主優待も個別株投資の特権)。
なお、インデックス派の理論的支柱となる効率的市場仮説(アクティブ運用の期待値は市場平均を上回れない)を前提にすれば、
逆に個別株投資をしてもコスト面以外では市場平均より期待値が下回るということもない。
リスクを抑制するための分散投資と、売買頻度を控えめにすることを心がければ、理論的にも個別株投資がインデックス投資との比較で優位。そういう状況を生み出した立役者が貸株サービス。
2.配当権利取りは必須
ここで、最大の注意点は、権利日。
貸株サービス利用中は株主の権利が無い。そのため、権利日に株を貸した状態だと配当も優待も取得できない。
ただし、株主優待については、貸株サービスを提供している全ての証券会社で優待自動取得の設定が可能で、優待のある権利日には貸株が自動で返却される。
問題は配当金のみの権利日。
貸株のままだと、配当金は受け取れない。
それに代わるものとして、証券会社から”配当金相当額”をいただくこととなるのだけど、配当金とは別物。
”配当金相当額”は、
マネックス証券、カブドットコム証券、楽天証券では、配当金から20.315%(源泉徴収額相当)を差し引いた金額。
一方、SBI証券では、配当金から15.315%(源泉徴収のうち国税分)を差し引いた金額。
だけど、これはあくまで配当金ではなく証券会社から受け取る”配当金相当額”。
配当所得であれば、株譲渡損との損益通算で源泉徴収分を取り戻す可能性もあるし、
所得が高くなければ確定申告時に総合課税を選択し、源泉徴収時の払い過ぎ分を取り戻すことも可能。
これに対して、”配当金相当額”はこれ自体が雑所得。
計算時に差し引かれた20.315%または15.315%は何があっても戻ってくることは無い。
それに加えて、雑所得として確定申告して、”配当金相当額”からさらに税金を支払わなければならない場合もある。
損益通算も確定申告もしない予定の人がSBI証券で地方税分を得しておこうという場合を除いては、
配当金の権利日には、かならず返却を受けて、配当金として受け取っておくことが重要。
優待と違って、自動返却の設定はマネックス証券でのみ可能(ただし、配当金自動取得の設定で貸株金利が0.05%差し引かれる)。
配当権利日前には、手間をおしまず、手動で返却手続きを行う必要がある。これを忘れると、貸株サービスでいただく金利以上に損をしてしまうこともあるので要注意。
3.逆日歩銘柄は制度信用で逆日歩をいただく選択肢も
また、逆日歩が付いている銘柄は、制度信用買いで逆日歩をいただくほうがお得なことも多い。
参考に、日歩を金利に換算してみたものが下の表。(金利=日歩×365日/株価)
株価100円の銘柄に最小の5銭(0.05円)/日の逆日歩が付いたとする。これは、金利に換算すると、18.25%/年に相当。
逆日歩は、金利に換算すると結構大きいことが多い。
”制度信用買い”と”貸株サービス”のどちらが得か比較してみると良いかも。
貸株サービスについては、あと1回程度書くかもしれません。
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