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カテゴリ:チラシの裏
よく日経新聞なんかが、”日本の企業はROE(株主資本利益率)を高めて少なくとも8%を超えるようにしないと世界の投資家から認められない。ROEが低いから日本の経済は低迷しているんだ。”なんてキャンペーンをしているけれども、
まったく馬鹿げた、日本の未来に重大な悪影響をもたらしている世迷言だと思うので、今回はそのあたりのことを。 (ROE教を嗤う関連の日記) ・ROEは役立たず ・ROEは役立たず(その2) ・ROEは役立たず(その3) ・ROEは役立たず(その4) ・自社株買いは愚策-ROEは役立たず(その5) 1.デフレ・マイナス金利時代にROE8%を目指すから無理が生じる そんな高収益な事業がそうそう転がっていないからこそデフレ・マイナス金利なわけで、 そういう経済・社会情勢の中で8%など高ROEを必達目標のようにすること自体が無理筋。 経営者が高ROEを目標に掲げ、事業を集中したり選択したり資本政策的に色々工夫をしたとして、それで高ROEが実現できるというほど、世の中は甘くできていない。 ROE教の連中は、利益の目標は立てられても、その利益をどうやって生み出すかについてはほぼ能書きを垂れるだけ。誰にだってできる簡単なお仕事。 現場の情熱と偶然で、革新的な製品やサービスが生み出されて、結果的に高収益を享受し高ROEが実現できることもあるだろうけれども、 狙ってできると考えるのは、かなり傲慢。 投資におけるランダムウォークの世界と類似。アクティブファンドが能書きだけ立派で成果が付いてこないのと同様。 (関連の日記) 〇平均以上に儲かる事業は無い 2.ROE教が蝕む日本の未来 革新的な製品やサービスが生み出されているのならともかく、 そうでもない企業が、それでも高ROEを実現しなければと脅迫観念に囚われた時に、四方八方に害悪が撒き散らされる。 社員の労働条件を厳しくしてみたり、取引先に不利益を押し付けてみたり、資本の部をいじって高リスク体質にしてみたり、はなはだしくは粉飾まがいのごまかしをしてみたり、 多くの上場企業がそんなことばっかりやっているもんだから、上場企業はそこそこ儲かってはいても、 給与所得者(=消費者)の所得水準は低迷し、しかも人生の不確定要素が大きいため、消費が盛り上がらない。 そのため、合成の誤謬的に、企業の経営環境も厳しいまま。そして、その中でも高ROEを実現しなければということで、またもや無理を生じさせるという悪循環。 3.高ROEは偶然の産物と覚悟を決めるべき デフレ・マイナス金利時代なのだから、高ROEを必達目標のように考えるのを止めるべきでは。 社会の健全な構成員として、まず社員とも取引先ともまっとうな関係を前提に現場の熱量を高め、偶然に革新的な製品やサービスが生み出されるのを我慢強く待つ。 偶然に革新的な製品やサービスが生み出されれば飛躍的に儲かり超高ROEともなるだろうけれども、そうでない時には低ROEを甘受する。 多くの企業人が、そういう覚悟を持つことによって、普通の人々の生活は明るくなり、結果的には消費が喚起されて、企業の経営環境も改善し日本の経済も再び成長していくのではと強く思う。 まずは、日本の未来を蝕むROE教を捨てよ!。 4.感想など ROE = 純利益/自己資本×100(%) ROEというのは、やっかいな指標で、分子の利益を上げる以外に、分母をいじることでも変化させることができる。 なので、経営者や財務屋が自力で何かできるような気になってしまう。また、色々ひねくりまわして仕事をした気になってしまう。 まやかしだらけの罪な指標である。 今回は、英国の国民投票の結果に刺激されて、乱文ながら思うところを書いてみました。 ※ランキングサイトに登録してみました。 にほんブログ村 にほんブログ村
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