ふるさと納税の上限額(基礎編)
ふるさと納税の季節がやってまいりました。例の、”実質2000円の負担で、全国の美味しいもの各種をお取り寄せ”というやつ。 投資活動の利益も含めた今年の所得もだいたい見えてきたので、それに見合うふるさと納税をしなくてはと動き始めたのだけど、どうやら今年の場合もう完全に出遅れ気味。 去年のお気に入りで今年も是非と思っていたもので、今でも申し込み可能なのは”宇和島市 海の幸セットA”だけ(”鳥取県活親がに”は改悪、他の2つは申込み終了)。 まあ、他にも魅力的な特典を新設する自治体が次々と出てきているので、新規開拓をしなくてはと思っているところ。 で、まずは、ふるさと納税の上限額(実質2000円負担におさまる上限額)を見極める必要があるので、今回はそのあたりのことを。1.ふるさと納税とは ふるさと納税は、”田舎はせっかく人を育てても都会に出て行く一方で衰退気味。人を育てた努力に報いるべく、住民税の一部は出身地に納税する制度を”というような趣旨で、(出身地の定義も難しく、他にも愛着のある自治体などもあるということで)任意の自治体に一定の限度で納税(正確には寄附)を出来るように創設された制度。 総務省の説明資料に、分かりやすく解説してあるのだけど、 一定の額を限度に任意の自治体に寄附 → 翌年確定申告 → 寄附した年の所得税還付、翌年の住民税減額という流れ。 で、なぜ注目されているかというと、 納税者側に2000円(制度創設時は5000円)の自己負担が生じるため、自己負担分を考慮してお礼の品を送る自治体が出てきたことに始まる。 そういう中で、当初の趣旨からははずれてきているのだろうけど、お礼の品を目的に納税する人 → 納税を増やすためにお礼の品を充実させる自治体 → 充実したお礼の品を選択して納税する人 → 負けじとお礼の品を充実させる自治体 という風に、”神の見えざる手”に導かれ”ふるさと納税市場”的なものが出来てきている。 それぞれの立場で経済合理的に行動するという、至極自然な前提に立てば、 個別の自治体としては、地元の特産品をお礼の品とした場合には、ふるさと納税額から処理に要する経費を除いた分を丸ごと還元しても、地域産業が活発になるメリットがある。なので、今の制度が続けば、”ふるさと納税額から処理に要する経費を除いた分を丸ごと還元”というあたりに収斂しそう。実際に、阿南町の”1万円の納税で20kgのお米”あたりから、”丸ごと還元”的な動きが広がってきている。 一方、納税者の側としては、実質2000円の負担に収まる上限の金額を、なるべく価値の高いお礼の品を受け取れるよう分散して納税する、というのが合理的。まだまだ制度を活用していない人が大半だけど、今後はどんどん拡大するだろう。(個人住民税が12兆円ぐらいあるので、本来1兆円以上はふるさと納税されててもおかしくないのだけど、平成25年度は130億円程度にとどまっている。) ということで、納税者側としては”実質2000円の負担に収まる上限の金額”を納税したいのだけど、結構仕組みが複雑なので、上限を見極めるのに一苦労といったところ。2.ふるさと納税で返ってくる金額 ”実質2000円の負担に収まる上限の金額”を見極めたいのだけど、制度が複雑。 総務省の説明資料によると、以下の合計金額が返ってくるとのこと。 〇所得税:(寄附金-2千円)を所得控除(所得控除額×所得税限界税率が軽減) 〇個人住民税(基本分):(寄附金-2千円)×10%を税額控除 〇個人住民税(特例分):(寄附金-2千円)×(100%-10%(基本分)-所得税限界税率) なお、平成26年度から、所得税限界税率は、復興特別所得税を加算した率。 ”個人住民税(特例分)”の上限は住民税所得割額の1割。 最後の、「”個人住民税(特例分)”の上限は住民税所得割額の1割」というところから逆算して、”実質2000円の負担に収まる上限の金額”を見極める必要がある。 ちなみに、所得税限界税率は以下のとおり。 課税される所得金額 所得税限界税率(復興特別所得税込み)195万円以下 5.105%195万円を超え 330万円以下 10.21%330万円を超え 695万円以下 20.42%695万円を超え 900万円以下 23.483%900万円を超え 1,800万円以下 33.693%1,800万円超 40.84%3.給与所得者の場合の基本的なケース 上記の説明では、よく理解して実際に計算をするのに一苦労と思う(というか、挫折しかねないほど)。 簡易な目安としては、 総務省によって、給与所得者の場合の基本的なケースについての、”実質2000円の負担に収まる上限の金額”が参考として示されている。 •2,000円を除く全額が控除できる寄附金額の一覧(目安) ただし、給与所得のみのケースなので、別の収入があるとか、投資活動で利益が出たとかの場合には使えない。 ここは、株式投資のブログなので、そのあたりをもう少し詳しく掘り下げる必要があるのだけど、今回はここまで。 次回は、株の譲渡益なども念頭に、”実質2000円の負担に収まる上限の金額”をもう少し詳しく見ていきたい。