カテゴリ:学生運動
『きみが死んだあとで』(代島治彦著)を読んで・・・思う ① 2021-12-15 (はんぺん)
1967年10月8日の第一次羽田闘争で、三派全学連部隊の一員として、機動隊との(闘争?)で、亡くなった。この「10・8ショック」は、大きかった。
実際には、全国の反戦運動に(活)を入れたことは、否定しようがない。 反戦運動に積極的だった高校3年生の青2才の僕は、これに刺激されて、連日、大阪の高校生デモに参加していく。
そう、このニュースに衝撃を受けて、(何か行動を起こすべきではないか?)という焦りにも似た衝動にかられたモノだ。
「すべては第一次羽田闘争の「きみの死」からはじまった。青春だけが武器だった、あの“異常に発熱した時代”は何だったのか ―。」(代島・著者)
同名の映画(3時間20分に圧縮した長編ドキュメンタリー)が、先に制作され上映されたが、それに収録しきれなかった分も含めて、今年6月に単行本として出版された・・・ので、読んでみた・・・
・・・だいたい内容は、僕自身が運動との関りがあったので、想像はついたが・・・やはり、中途半端なモノ(本)だった・・・と言える。
最大の問題は、インタビューされた14名の元同級生、元同志、元幹部たちが、正しく(総括)できていないことだ。
青2才の運動を全否定するつもりはないが、その稚拙さに対する誠実な自己批判が、見られない・・・これは、死んでも治らない病(やまい)だと思う。
遠く離れた大阪の地でも、それまでのベトナム反戦運動に取り組んできた僕たち高校生だったが、(10・8ショック)は、衝撃的だった。 マスコミは、(暴力学生)非難が多い中、一定の(支持)表明をする文化人、大学教授たちもいて、世論は、大きく分かれていたように思う。
(反体制運動)が世界的に蔓延し、反抗心旺盛なぼくなどは、妙に(世間の常識)に反発して、彼らの運動に共感していく。年明けの友人・知人に出す出す年賀状には、いっぱしの革命家気取りで「三派全学連を支持しよう」と書きなぐって意思表示して、満足感に浸った記憶が鮮明にある。(今から思うと恥ずかしい限りだが)
10:8のあと、大阪での高校生の反戦デモは、中核系の(反戦高協)が中心の相当激しいデモが行われ、僕たちの高校からも、僕も含めて何人も参加していった。
10・8羽田闘争は、客観的に見れば,戯画的で、小児病的で、あり得ない(闘争)だったが、これが、その後の運動の方向を決定づけることになったと思う。 その帰結が、日本赤軍による(よど号ハイジャック事件)であり、連合赤軍による(あさま山荘事件)(山岳アジト事件)だったのだ。(闘争とは、程遠い犯罪! 事件だ)
革命を妄想し、武器を調達すると称して、交番を襲うなど、今から考えると(狂気)としか思えない言動が、当たり前のように肯定されていく。
このことは、僕にとっては他人事ではない。僕も(革命幻想)に酔いしれていたうちの一人であったことは、はっきりしている。70年安保を前にして、大学キャンパスも含めて、「異常に発熱した時代」(代島・著者)の到来を感じていた。
同時に、権力に対して、角材と投石で渡り合うという、中世以前の(闘い)の先には、(敗北)という必然的な結果を予感するモノでもあった。 (革命)とは、権力を奪取するモノであり、チャチな青2才が叫んで、すぐに実現すると考えるには、あまりにも稚拙極まりなかったのだ。
それほどまでに(反権力)を真剣に考えるのならば、より詳細な戦略・戦術が不可欠であったが、青2才の単純細胞の我々学生には、不相応な仕事だった。
かくして、(妄想)による(思い込み革命!)が、(自己否定)(自己変革)という格好だけをつけて、開始される。
70年安保後、(自己否定)を叫んだ全共闘の連中が、なんの(総括)もなく、なし崩し的に一般社会の中に(知らぬ顔をして)潜り込んでいったのを多く見てきたが、僕は、はらわたが煮えくり返ったものだ。彼らは、対立セクトに対しては、相当、暴力的事件を起こしてきたのだ(厳密には、間違いなく刑事事件だった)
人間とは弱いモノであり、組織に入れば、なかなか指導者には、自分意見を言いにくいモノだ。特に、大きな権力との戦いの中では、リーダーは絶対者であり、(反対意見は、即、反革命)として糾弾される。その結果、多くの党派内では、分裂、内ゲバが多発して、混迷を深めた。
僕が所属した組織では、3回ほどの大きな分裂があった。(近親憎悪)というわけで、あの(中核と革マル)のように、激しく対立が起きた。60年後半から70~80年代にかけて、学生運動でいったい何人の活動家たちが、内ゲバで殺されたのだろうか・・・・
無念の思いも兼ねて、この本を読んだ。 (はんぺん)
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最終更新日
2021.12.16 01:54:44
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