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永田町のママ日記

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2005年05月24日
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カテゴリ:半蔵門あれこれ
さっき、実家の母と電話で話していると、
今日、母は私が以前働いていた放送局の同僚とデパートで
ばったり、であったそうな。私よりは先輩だけど
なぜか一緒に組まされることが多く、取材には
毎日のように二人でよくでかけた。兄妹のようであった。
彼も私も一緒に駆けずり回って働いていた頃には、
独身で、ひょろひょろとやせた青年であったけれど、
今や、私と同様、彼も1児の父。私がやめた後も
ずっと、報道部でがんばっているはずである。

彼に「○子(私)は、子育てで完全に主婦になってるわよ」と
母がいうと、彼は「人間、変われば変わるもんですよ、、」などと
笑っていたらしい。ふん。えらそうに!電話を切ると、外は
すごい雨。この雨を見て、その彼と大喧嘩をしたときのことを
思い出した。

その夜、我々は私が担当していた自然番組のために、
山に「モリアオガエル」というカエルの産卵を撮影に行く予定であった。
モリアオガエルと言うのは各地で天然記念物などに指定されてるから
ご存知の方も多いとは思うのですが、
毎年、春から初夏にかけて、真夜中、すごく面白い産卵をするのです。
まず、メスが池とか沼とかの水面に張り出した枝にやってきて、
げこげこ、と鳴く。するとオスがたくさ~ん、集まってくる。
で、メスがおなかから液体(卵子とかが入ってる)を出すと、
集まったオスがいっせいにメスに群がって、その液体を自分の後足で
あわ立て、その中に精液を入れて、受精させる、という形の
産卵なのである。結果、メスの卵は、本当に真っ白なアワの塊になって
木の枝にくっついたままになる。
10日ぐらい経つとその卵は孵化して、アワから出た
おたまじゃくしが、下の水の中に
ぽとん、ぽとん、と落ちるわけです。外敵から身を守るためだとか。
おもしろいでしょ?

で、この産卵の様子を撮影しようと躍起になっていた私たち。
でも相手は生き物なのでそう簡単にはいかず、なかなか
かえるを見つけられなかったし、泣き声を聞いてライトをつけると
カエルが逃げてしまったり、、で、実はその日は
もう3回目か4回目の取材だったのでした。
もう連日の寝不足でへとへと。だけど期限が迫っていたので
どうしてもいかなきゃ、、という状態だった。
昼間の通常の仕事を終えてから、いったん、仮眠を取りに帰宅して、
夜中の12時に、狙いを定めた山の池の前で
待ち合わせた。カメラなどの機材は私が自分の車につんで
もって行くことで約束をしていた。私が働いていたような
地方の放送局だと、記者でもなんでも一応カメラだけは
一通りできるように訓練をうけるので、難しいことをせず、
ただ「うつす」だけなら私にもできるようになっていたが、
もちろん、今回は夜中の撮影と言うこともあって、
彼がカメラを回すことになっていた。
12時きっかりに到着。山なので当たり前だけど、あたりは闇の世界である。
彼はまだきていない様子。。30分経過。1時間経過。
こない!!携帯はなるけど、でない!なんてヤツだ!女一人で山に
こさせるなんて!ひとしきり怒る。

怒りがひと段落して冷静になると、自分がなんて恐ろしい場所に
いるのだ!!と気づいて愕然とする。山の中の池のそば!こわ~。
幽霊、とか獣とかいう言葉が頭をよぎり、カサコソという
枯葉の音にもびくつく始末。。もう、帰ろう、、と
思ったとき、「げこげこ」。。モリアオガエルだ!しかも
すぐ近くの枝で、泡を作り始めているではないか!
これはもう、がんばるしかない!なぜかあのときの私は、
やる気まんまんで、しかも「モリアオガエルを撮らねば!」という
アホな使命感に燃えていた。今考えるとあほらしいが、あの時は
真剣だったのである。。
一人でそ~っと、三脚を立て、カメラにバッテリーをいれ、
ライトをつける。ホワイトバランスもいちおう、とる。
そして、「うつってますように~」と願いながら
撮影。カエルたちは、産卵に夢中なのか、
ライトで照らしても、まったく意に介していないように
産卵を続けている。話しには聞いていたが、
たった1匹のメスに、何十匹ものオスが群がり、
白い泡を必死であわ立てている姿は、ちょっと感動モノであった。
夢中でアサの5時ぐらいまでそこにいて、
夜明けごろ家に帰った。
カエルたちはまだ、枝にいて、もうあわ立て行為はしていなかったが、
よほど疲れたのか、ぼーっとしてぴくりとも動かなくなっていた。

さて、家で仮眠をとった私は、9時ごろおきて、9時半の定時ぎりぎりに
会社に駆け込んだ。昨夜使った機材をかついで、部署に入ると、
ヤツが「あれ、お前、一人でやったのかよ?」と開口一番に言ってきた。
「1時ごろ目がさめたけど、一人だと帰っただろうとおもって
行かなかった」というのだ。一人で撮った、というと
げらげらと笑い出し、まあ、お前を襲うやつもいないよね、とか言う。

弁解か謝罪の言葉を期待していた私は、昨日からの疲労と
あいまって、怒りが爆発し、みんなの前で、ぎゃんぎゃんと彼を
責め、半泣きで部屋を飛び出してしまい、その後3日間くらい
彼と口を利かなかった。
そのあとどうやって仲直りしたのかは覚えていない。
今の私であれば、彼のバツの悪さを隠すための
冗談に、冗談で切り返す、くらいの芸当はできるのだけど、
あの頃はまだ、できなかった。あんなことで
みんなの前で喧嘩をしたりして、本当にわるかったなあ、と今は思う。

数年後,私が会社を辞めるときに、大きな花束と栄養ドリンクを1箱くれた彼が
今、どうしているか、としみじみ思う。
今度帰ったら、シンを見せにいこうかなあ、、と思う。
それにしてもすごい雨!モリアオガエルは喜んでいるだろう。。

















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最終更新日  2005年05月24日 21時37分30秒
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