レベッカ 千秋楽 6月30日(月)
<レベッカ 千秋楽 6月30日(月)1:30 @シアター・クリエ>まだ興奮冷めやらぬ状態で帰宅しましたが、今書かないとすっかり脱力状態になりそうなので、とりあえずなにか書いておきますね。昨日「異常なテンションとか風変わりな展開ではなく穏やかに幕を閉じるのでは?」などと書きましたが、とーんでもない!思いっきり予想は裏切られました。最初は普通に始まる。でもなんとなく声がマキシムの中の「祐一郎さん度」が高いような気はしていたのですが、まさかあんなことをたくらんでいたとは!!(笑)というのは、プロポーズをした後のこと。「わたし」を回すシーンで勢いでなんとまるでリトルコゼを回すように10回以上もぐるぐるぐる・・と。途中で異常(?)に気付いた観客の拍手と笑いで劇場は包まれ、それに反応するかのようにさらにぐるぐる。もう遠心力で涙もなにもかもすっ飛んだ?そして、そのあと感激だわ!と抱きついてきた彼女を祐一郎マキシムは盛大に手を拡げてすっぽり、というよりガッツリと受けとめました。「結婚するんです」や「楽しい船旅を」「NYによろしく」はヤケッパチ気味に大声で。そして「荷物はスイートに運ばせておくよ」の部分は、もう祐一郎さんでも息があがったのか、途切れ途切れで、また笑いの渦。寿さんのセリフの前に祐一郎さんは手で流れをいったん止めて、床にたぶん勢いで落ちてしまった寿さんのイヤリングを拾ってあげて渡したのです。ヴァンホッパーもありがと!とお礼をいい、そのあとマキシムが去ったあともう片方のイヤリングをむしりとって(笑)はける、という流れ。もう会話が聞こえなくなるほど劇場は爆笑の渦でまるでドリフ(笑)このあとのブーケを渡すシーンでいつものように立ったままでなくマキシムは片方の膝をついて、王子様のように渡したの。きゃー!!もう興奮は消えることなく、会場の温度が一気にあがり、このせいで残りのシーンの記憶が吹っ飛んでしまうほどの衝撃。(BOX席のM井さんはどう思ったかな)いやー前の日にあんなに落ちついた演技だったのは今日のコレのための伏線?というかフェイントだったのか?もうやっぱり祐一郎は普通に静かにことを終らせる男ではなかった。ファンが大勢いること前提のアドリブ、たしかにそういう空気でしたよ。その後はちゃんと神経質にきれ悩んで神妙な表情のマキシムさまにさっと戻っているから、役者さんて凄い。それに「わたし」とシルビアさんはこんなことがあっても決して自分の役作りは変えず立派(笑)でした。ヴァンパイアでいくら教授がふざけてもある程度異常はおどけることがなかった禁欲的までにクールだったクロロックを思い出します。作品によってそういうバランスや役割が変わるのが面白い。そうそう「わたし」に上着を着せてあげるシーン、片方の袖が中に入り込んだままになっていて必死でつまみ出そうとしていたがうまくいかず・・ちょっと笑えました。楽バージョンといえば、舞踏会での寿さんのアメリカンウーマン、パラパラの手拍子をまとめて煽るように、マキシムが手を高くあげて自らが楽しげに踊るように手拍子をしだしました(爆)これがしたかったんだよね、祐一郎さん!もう楽しくて仕方ないという表情で、影などなし、完全に素になっていましたね、ここは。でもその後は真面目なマキシム様。本日は下手の壁友席で、デュエットの満月はたしかに見づらくなりましたが、あとは心配していたよりずっと観やすくて感動。シーンによってはマキシムの斜め後ろ方面からの横顔しかみえなかったりしましたが(審問会の子供椅子(笑)に座るところなど)これがまた新鮮だったのですよ。この3ヶ月ですっかり肉が削げ落ち精悍なメイクを施されたマキシムのこの角度の美しさ。世のフツウの50歳じゃありえないですね。今日は最後ということで、細かい表情まで、とオペラを結構使いました。周りも祐ファンだらけで、オペラがあちこちであがっていたので、使いやすかった。思っていたよりずっとマキシムはいろんな細かい表情をしていて、すごく人間的で彫が深かった。そしてメイクの色は手に比べると黒いですよね。手は脈が浮き出るほど白くて美しい。それにもあらためて惚れ惚れでした。告白シーンも力がみなぎっていて歌にも勢いとめりはりがあり、そのときどきの表情に声に釘付け。気合はやっぱり特別のものでしょうね。最初の「彼女を愛してなどいない、憎んでいたんだ」はやや泣き笑い的にみえました。自嘲的な笑いを含んだ悲しみといったほうが正解でしょうか。レベッカのセリフに入る前のタメは凄く長くて、人格を入れ替えたように「ねえ」と歌いだし、足元もこういうときはやっぱり内股!座るときも最初のホテルシーン以外は基本、内股(X脚)気味。まあ、祐一郎さんですから!(笑)歌いながらところどころで目がうるんでいて、クライマックス後の暗転ではもちろん拍手がありました。(一部はやめにフライング気味の拍手もあり)昨日のシルビアさんは人間的で弱い部分もみせたようだったけれど、今日のダンヴァースはもう火を噴くような感じ、吠える感じでパワー全開で気持ちよかった。これでこそダンヴァースをやり遂げた、という爽快感が本人もあったのでは?最後のほうはかなり目がうるうるしていたけれど、保つところ保ってラストまでいったのがほんとに凄いことだと思います。ちひろさんもすごく一生懸命さが前にでていてけど異常なテンションということもなく、落ち着いていながらよく感情を表現していてとてもよかった。歌も演技もほんとにいいの。このふたりがしっかり芯を作っていてくれたからこそ祐一郎さんのマキシムも伸び伸びと(今日の話)やれたんだなあ、と感謝の気持ちさえ湧いてきました(ファンとして)ベッドでのデュエット(こんな夜こそ)でのマキシムは顔の陰影が美しく悩ましく、そして最後のデュエット(夜を超えて)でのマキシムはすべてをやり遂げた満足感と喜びがにじみでた顔で目もきらきらしていて感動をかみ締めているようでした。炎のマンダレイも全力を振り絞るように声を伸びやかに出し、体全体を使ってぐわーっと歌い上げ、軽くタイミングをとる作業(笑)も全開にして、これが俺だ、もう全部やってしまえ~!という感じに出し切ったのが快感でした。もちろんこのシーン後も大きく拍手あり。よぼよぼと歩いて最後ちひろちゃんをツンツンと振り向かせるところも、だんだん爺度が増してきたこの頃でしたが、今日は割りと素できっぱりした表情にみえました。そして感動したのは、すべてが終わり暗転した直後、マキシムは「わたし」を優しく抱き寄せるようにし、「わたし」はすべてを委ねるようにマキシムの肩に頭をあずけたのです。いろいろな困難を乗り越えたふたりの最後の姿は、頑張りとおしたお互いを抱きしめたいような思いがあるんだろうな、と、こみ上げるものがありました。<カーテンコールに>公式で動画発表があるでしょうから簡単に。執事のフリス役の松澤さんがキャストを順に紹介。時間内に終るかなあとぼそっと言ったら、客席より「頑張って!」コール。若い男性キャストにはこれが最初で最後の舞台になるかは本人次第みたいなドッキリすること言ったり、ロバートの俵くんには「いつもフリス」って呼び捨てにされる今日はちゃんと「さん」付けで呼んで、と頼んだけど、やっぱり「フリス!」と乱暴に呼び捨てに。ホーリッジの武内さんは難しいセリフの連続でノーミスだったそうで、凄いというと「なあに、慣れですよ」と言ったとか。よく東宝の舞台にでるアンサンブルさんを紹介するときは、「もうみなさんおなじみの」とか「見飽きているかもしれないけど」とかユーモアたっぷりでほんとに話が上手で声もいい松澤さん。ジュリアン大佐は犬が好きとか、ヴァン・ホッパーさんはレベッカ会のマザー・テレサと紹介してみたり。圭吾さんは、バレエのお辞儀みたいにかわゆい挨拶でした。禅さんもほんとに素も誠実と信頼の人、と言われてました。ほんとにそんな感じ。そして西野さんとオーケストラも2階正面にずらーっと並び、キャストにヒューヒューと囃されてました。西野さん手を大きくあげていましたっけ。ああ、ほんとに見えなかったけれど、生演奏だったのだな、と初めて実感。そしていよいよメインキャスト3人の紹介。シルビアさんは「明日からフツウの人間に戻ります。105回もダンヴァースを演じていると全部ダンヴァースになっちゃう、明日からリハビリしないと夫が嫌がる、と軽くのろけ(?)。そして最後に「これで卒業させていただきまーす!」とブリブリの可愛い声で。ここで松澤さん「絶対泣くと思ってハンカチ用意したけど要らなかったね」みたいにハンカチをふりふり。つぎの大塚さんも意外としっかりしていて、「最初はどうなることかと思ったけれどみなさんのおかげで素晴らしい3ヶ月でした」と明るくしっかりした声で御挨拶。あれだけ舞台で泣いているから、声にもならないのでは?思っていたのに、びっくりしました。やっぱり芯はかなり強い子なのでは?楽しみなものがあります。そしていよいよ最後に祐一郎さんです。松澤さんに「きっとみなさんのほうがよおく分かっていると思う。畏敬の念をもっている」と前置きされ、前にでてきたマキシムの祐一郎さん。ちょっとぶつぶつとつぶやきシロウみたいに、「大塚さんのお父様より・・(僕は年齢が上、と言いたい)えーそういうニュースも耳にするしそういう犯罪も最近は・・(ごにょごにょ)」端折ってますが、言いたいことはわかります(笑)そしてちょっと恥ずかしそうに「今日は楽だけど、公演前に指揮者の西野さんと、きょうはウマシカ(馬鹿)なことはやらない!と言ってたのに・・・やってしまいました!」(大きな拍手)で、頭蓋骨の中で昔先生(?)に言われた「ヤマグチ!おまえはだからウマシカなんだ!いつまでその芝居なんだ?」とその先生の声がアレやったあとずーっと脳内に響いてた。みたいなことを照れ隠しな顔で、先生の口マネしながら言うので、もうなんだかまたアレを思い出して可笑しくて可笑しくて・・で、どう締める?と楽しみに(少々はらはらと)していたら、真面目な感じのトーンになり、「クリエは奇跡をうみだすところで、レベッカもちゃんと上演できたし、支える人もちゃんといた。、途中ちょっとワケワカメになりそうで、きっと皆もハラハラして聞いていたと思う。祐一郎さん、帝劇よりかなり小さい劇場なのに、妙に緊張していたみたい。それで、「体が大きい人・・が声も大きいかどうかは知らないけれど、そんな大きい人が挨拶・・ではなくって、創造する喜びが・・(なんとかかんとか)体を張って支える人が最後に〆るべきだ!」みたいに話をもっていって、そこで客席をシーンと緊張させて(まるでレコード大賞発表!みたいに)「その奇跡を見たい人は拍手!」と煽り、それでは・・・体を張った男、松澤さん!とフリスの松澤さんに〆の挨拶を振ってしまいましたとさ。松澤さんはかなり感激したようすで、うるんでいたみたい。で、「身に余る光栄です・・でもどこで体張っただろう?」みたいにとぼけ、「皆さんのご希望があれば、106回目、107回目もあるかも。これからもずっとこの作品を愛してやってください」みたいにうまくまとめてくれました。(また大きな拍手)で、客席はうまく締まり大きな拍手で、そのあといつもみたいなサービスカテコに突入でした。祐一郎さん、ちょっとハラハラさせてくれたけれど、いっぱいしゃべってくれたし、なんだか考えていることを(すこしは)まっすぐしゃべるようになってきた?よく考えると祐一郎さんの言葉を聞くのが久しぶりだな、と気付いた。ほんとに終ってしまい、もう抜け殻状態で体も重いですし、明日は仕事。またマンダレイの楽園なしの日常生活に復帰しなくてはいけませんので、今日はこれくらいで。