ミス・サイゴン 7月17日(木)プレビュー公演最終日
<ミス・サイゴン 7月17日(木)プレビュー公演 @帝劇>4ヶ月のミス・サイゴンの最初の4日間はプレビュー公演。最後の橋本さとしさんの公演に行って来ました。いやあ!もう最初の音楽と自転車ちりんちりんを聞いただけで、なつかしい世界に戻ってきたなあと涙がほろっと出そうでした。そして観ているうちにもうこの世界の魅力にどっぷりつかって、いつのまにかハンカチがぐしょぐしょに。ほんとによかったです!この作品もレミゼと同じで話も結末も決して明るくないのに音楽の素晴らしさはもう天才的なので、どの旋律もそのまま聴いているだけで心をなでられゆすぶられずにいられない、広い帝劇にふさわしい魅力に満ちているなあ、と再確認しました。一階席で観たのですがM列くらいから後ろはほとんど某S女子高の生徒が占めていて、名前と座席チェックなどをする先生方があちらこちらに立っていて忙しそうでした。舞台がはじまる前に拍手が湧いたりして若々しい空気でしたが、公演中はヒューヒューなどもなく結構おとなしく観ていたようです。オケピのないクリエの後だからか、帝劇の座席はやっぱり舞台が遠めに感じました。塩ちゃんの演技つき指揮はわたしの席からは見えませんでしたが、やっぱり踊っていらしたのでしょうか。音楽指導のビリーさん(山口氏)や演出関係の外国の方も客席にいらしたようです。ミス・サイゴンは2004年に結構いろいろなキャストの組み合わせで観ました。あのときも市村さんを1回でいいや、と思っていたのに気が付いたらリピートしてた。今年は好みの方向もきまってきたので継続キャストは絞り、新しいキャストはできるだけみたいなと思っていますが、なかなか気持ちに火がつかないな、と思っているうちにプレビューの日が来ました。でも!今日一度観ただけでもう火がついたサイゴン♪です。まず、橋本さとしさんのエンジニアはやっぱり最高!!かっこよくってクラクラしそうでした~。もうあと3ヶ月祐一郎さんの舞台がなくても橋本さんとサイゴンでわたしはもつかもしれない、元気をキープできるかもしれないという強い予感が芽生えました。カッコイイといってももちろん上品な2枚目だよ、という方向でなくて、うさんくささ、セクシーさ、「ちょい悪おやじ」風のいかがわしさ、クールさ、計算高さ、そういうものがありながら憎めないところがあり、それこそウマシカっぽい感じがぷんぷんしていて、客席いじりもあり、サービス満点ですごく楽しめるところがいいんです。なんか醸し出す空気が好みなんですよ。ちょっとしたダンスもなかなかクール。でもバルジャンやったせいか、人間味とかふっと見せる表情の細かさとか、すごくエンジニアとしても進化してる感じでグイグイと惹かれました。派手な衣装やサングラスとかほんとに似合うし、客引きの姿とか全部そういう世界のことがらが自然で様になってる。バルジャンも頑張っていたしそれなりの個性のあるバルジャンを作っていたけれど、やっぱり橋本さんはこのエンジニアがはまり役なんですね。ほんとにそのまんまで似合ってます(実はさとしさんも素は繊細で恥ずかしがりなのかもしれないけれど)。市村さんみたいに長~くやってもらいたい。キムは他の方は観たことがあり、それぞれのよさはもちろんあるのですが、他の方と違って東宝ミュージカルのあれこれという役がちらつくものがなくて、顔立ちなども一番キムっぽいかな、と思って密かに期待していたソニンさん。スイーニーでもちょっと超音波ぽい声だけれど高音しっかりでていたし。その期待を裏切らないキムで、もう登場したときからキムがそこにいる。リアリティに満ちていてアジアから連れて来られたキムという少女にしかみえず、各シーンで涙、涙でした。声はちょっと細めでまだ声を張り切れずに声量・迫力がもっと欲しいところもあるのですが(マイクのせいかな?)表情や演技がとてもよくて、またぜひ観たいキムになりました。作っている、演じているというより、キムそのもので繊細さや悲惨なできごとに翻弄されながらも奥底に土着な感じのワイルドさを湛えていて、ある意味細いけれど「太さ」があるところがいい。まあ見かけでだいぶ得をしているとはいえるけれど、それだけでないです。キムとしての初めての舞台とは思えない完成度です。子供(タム)やクリスとの接し方も体の中からほとばしるものが自然に表現されていてゆすぶられました。ソニンさんについてはあまり日常生活などを拾い読みしていないせいもあり、新鮮で色がついていない、という点では一番かも。ここでは貧しい可哀想な子だけれど、ほんとはリッチで恵まれてて頭もよくて・・という余計なことがちらつかないのがいいのかも。相手のクリスは照井さん。いやーこの人決して派手ではないのですが、実にいいものもってます!こんなに骨太ないい声の方だったなんて。歌い方が好きです。最初の一声と演技でおおお!と意外性にどきっ。声が気にいったということは私にとってはすごく大きいことです。失礼な話ですが実は一番期待していなかったので、やったぜ、発掘!と言う感じです。最初の裸に近い女性たちの中での拒絶的な演技も自然だし、その後の人との向き合い方がとても真摯でまっすぐにぶつかる感じがとても気に入りました。ひょろっとした感じなのかなと思っていたけれど、りりしさもある。まだちょっと硬いところや表情が少なめなかんじもありますが、かなり好きなクリスになる予感があります。といいつつ、やはりひとりみてしまうと、未見のクリス(藤岡くんと原田くん)もぜひ観なくっちゃ、比べたいという気になります。ああ、すでに東宝さんの思う壺ですわ~。今日のソニンキムと照井クリスはとても相性がいいように思いました。声の細さや向き合い方とか方向性が似ている気がする。なんとなくだけれど新妻キムx藤岡クリスが声質や声量や向き合い方で相性がよさそうな気がするので、その組み合わせも観てみたいな、と思います。ジョンの岡さんは前もみたけれど、落ち着いた大人のよさがでてきた感じです。ブイドイなどは首に力が入る歌い方は変わらずですが、安定していたし、クリスのその後のことをキムに話せず悩む演技がとてもよくなっていた気がしますし、キャラクターがよくでてきたように思います。そしてトゥイの泉見さん。これがあのマリウスと同じ人?と思える緊迫感と悲しみを湛えた表情にはっとしました。目が痙攣しそうなほどの張り詰めた表情や制服を着たときの怖いくらいにビシっとした動きは熱いマリウスやアルフレートとは逆に周りの空気がぐっと冷え込むようで、亡霊の姿ででてくるときは照明のせいで青いのですが、ここはほんとにぞぞっとする怖さでしたね。キムに撃たれて死んだときの目の見開き方も前にみたときと同じで、呪うぞ!という言葉そのものをつぶやきながら死んでいったような感じでした。怖いのだけれどとても悲しい。愛を成就することが敵わなずパワーに頼ってしまうしかない悲しみを知っている人でもあるのです。他のトゥイも観てみなくては、と思うけれど、たぶん泉見くんのインパクトは相当なものでしょう。ジジの方は残念ですがあまりつよい印象が残りませんでした。ソロもまだ硬いので、これから表現力が増してくるといいなと思いました。結構期待していたエレン役のほのかさん。あれれ?こんなにガサっとした声でしたっけ?もっとあたたかく優しくなめらかだったような・・・?喉が荒れていたのでしょうか。みかけはまさにアメリカン・ウーマン♪な感じだし演技は包容力にあふれた感じでよかったけれど、歌だけだと高橋由美子ちゃんがなつかしくなったりしました。あとはシルビアさんが大化けしてくれるのを観るのが楽しみです。絶対4-6月のダンヴァースがちらついてしまいそうだけれど、役者さんとしてどうくるかな?と。カーテンコールはおとなしく終るかな、と思っていたらなんとレミゼ風のブーケ投げがありました。これって今回4ヶ月ずっと続けるのでしょうか?レミゼの世界のもの、という思いがあったので、うーん、と複雑な気持ちもあります。最後はスタンディングになり、さとしさんセンターでイエーイみたいにガッツポーズをやりレミゼのときもそうだったけっけと思い出しました。タムの子役の子がエンジニアにキスされてそれを拭いちゃうシーンと、カテコでエンジニアが手を広げているのに無視して、キムたちのほうにダダっと走っていくところは前と変わらず面白いところです。タムのお絵かき(命をあげるよ)とか最後のシーンは泣かずにはいられないです。混血にはあまりみえないけれど、それはいつものこと。半ズボンとソックスとズック靴をみているだけでうるうるしちゃいます。火がついた「ミス・サイゴン♪」とともに夏を熱く過ごします!でも今年の夏はなにもなくてもかなり暑そうです。