『時計じかけのオレンジ』1月10日(月)18:00 @赤坂ACTシアター
このタイトルの映画があることは知ってました。そして小栗旬さんが主演で橋本さとしさんや武田真治さん、石川禅さんが出るよ~と情報を得てからも、うーん・・どうしようかなあ~と悩んでました。公式サイトの「みどころ」にある、<喧騒、盗み、歌、ダンス、ファッション、暴力・・・・反逆児アレックスの残忍な楽しみ方とは?衝撃と誘惑と大音量の音楽・疾走するウルトラバイオレンスの世界★舞台版日本初上演!!>という文字からは、同考えても自分はこういう世界は苦手っぽい・・・・・と。しかし!公式がUPしていたお稽古動画を観て気が変わりました。みなさんとっても愉しそうに踊ってる!小栗さんなかなかチャーミングっぽい(笑)。しかも音楽がいいかも・・・。ということで、赤坂ACTシアターに出かけました。劇場付近は最近ではファントムに続いて、という感じでしたが、まだクリスマスの名残(?)のイルミネーションが綺麗にできていて、上を見上げると、まるで星から降る金・・・(←って演目違いでしょう!(笑))出演は、小栗旬さん、橋本さとしさん、武田真治さん、石川禅さんあたりが目当て・・という感じで(^^)、あとは・・・高良健吾さん、山内圭哉さん(宝塚BOYS思い出した!インパクト強いお方ですね、いつも!)ムロツヨシさん、矢崎広さん、桜木健一(ほんとに刑事くんの人!)そして、このような舞台の大御所といっていい感じの、キムラ緑子さん、吉田鋼太郎さん(すごーいギンギラギンでまぶしい衣装でした)ほか。上演台本・演出は河原雅彦さん(パンフ観たら、なんだかいい感じ(^^)・・・・というか雰囲気にひきつけられました。観る前から・・・(^^)この方も出てくれてたらいいのに・・・なーんて。)大音量は劇団新感線くらいかな?覚悟していたので、割と大丈夫でした。最初や途中にいきなり爆音、というのがあるし、上手の一番端っこ(壁友席)だったので、まさにスピーカーがすぐそこ、という席でしたし、音楽によっては座席が揺れるほどの振動があるけれど、それも案外慣れると快感かも・・^_^;)。原作とか映画とか、予習をしようと思えばできたけれど、暴力シーンとか、人が苦しむシーンを見せ付けられるのが耐え難いと思い、ささーっとネットで原作ストーリーを予習した程度でしたが、それでもふむふむ・・・と必要にして充分というちょうどいい予習でした。で、原作どおりというより、『時計じかけのオレンジ』という原作や映画を題材にそれをさらにシニカルにひねり、エキスをうまく搾り出してアレンジして、狂気をはらみつつも随所で笑えるエンターテイメントとしてパロディ化している作品なのね。舞台はむずかしい御芝居というよりむしろ音楽つきのパロディショーで、あくまで愉しませることを前提にしていて、難しい小理屈を抜きにその世界を傍観しながらいちぶになるというような感覚?決して愉快なシーンではないはずなのに、味付けって大切ね。なんか魔法をかけてしまってるんですね、きっと。そしてバックスクリーンをとっても効果的に利用してる!常にネオンのように明るそうで暗さも秘めたようなパンクロック風な照明の機能ももち、ときには舞台装置の一部のように雨粒をネオンで降らせて見たり、残虐なシーンの説明では、わざとぼかしたような映像をちらつかせてみたり、テロップのように場面の時・場所などを説明的に示してみたり、最後は映画みたいにテロップを流したり・・・それ以外にもおお!!というのも忘れそうなくらい常にスクリーンが舞台の一部として機能してる。とにかく、こういうスクリーンの使い方を観てしまうと、シシィが木から落下したり星をちらちら浮かばせるだけの某作品(あ!愛はありますよ)の使い方はやっぱり学芸会ぽいかなあ・・とか超古典的なのかしら?と思ったりする。小栗旬さんは、『カリギュラ』のときよりも断然いいと思った。あの作品はなんとなくキャラに合わない気がしてつらそうな感じもして、小栗さんのよさが生かされているのかなあ?と残念だなと思ったけれど、この作品では、奇抜で人間というよりほんとに近未来のサイボーグのような、なんというか体温がありそうでなさそうな・・・生き生きはしているけれど、ぞっとする狂気をつねに含み、どっか精気が地球のものではなさそうな・・・(ああ表現がむずかしい)たしかにそこに存在しているんだけれど、実は夢でした・・みたいな感じがして、メイクや髪形がパンク姿なせいで、テレビや雑誌で拝見する姿がほどよく化けてくれていて・・・・でも声は彼そのもので、あの独特のふわふわ感とか鼻っ柱の実は強そうなところ、ナイーブなところもうまく生かされていて、おなじ狂気でもカリギュラよりずっと似合ってて観てて愉しいし、まさに適役と思いました。演出のおかげか彼のそういう持ち味のおかげか、とにかく生々しかったら目を背けたくなるようなシーンも多いはずなのだけれど、うまーくデフォルメ処理?されていて、ショーの一部として、そういうの苦手な私でも全然大丈夫でした。というより、むしろ、音楽効果もあり、どんどんこの世界にのめり込んでいく自分がいました(笑)。これってまさにこの作品のテーマでもあるような・・・ああ、怖いですね。小栗さんはテレビで見るより、ほんとにサイボーグ体型で浮世離れしている、というか顔の小ささとか手足の長さとか、筋肉のつき方とか、パーフェクトすぎて怖いくらい。ほかの人が非常に日本人ぽく見えちゃって・・・・。とりついたような演技のときは、ちらっと藤原さんを思い出したりもしました。台詞量がわわーっと多くて早口のときは、蜷川さん系の雰囲気が入ってくるので。とにかく魅力にあふれててファンじゃなくても目が離せない存在になると思う。目当てその2の橋本さとしさんも面白い役で、きっと脚本見ながら愉しげにお稽古したのでは?と思えるほど似合っている役でした。アレックス(小栗さん)をある実験にかけていくのだけれど・・・橋本さんのかつらは、シカネーダーから借りてきたのか?というかんじのまばゆいきんきらきーんのウェーブ。まるで似合わないところが、超可笑しくて、しかもあの鼻のかたちに、つくり眉毛の形が「いったい貴方は何処のお国の人?」と聞きたい。面白すぎ!それぞれの人物に歌(ソロもあるし合唱も)や踊り(ダンスといえるか微妙だけど)があるんだけれど、歌うとやっぱり橋本さんはミュージカルで鍛えてるな、と違いはかなりありますね。もともと声もいいし。そして石川禅さん。もうあの扮装とか、台詞のしゃべりかたとか思い出すだけで、腹筋が震えるほど面白かった!!よくぞ禅さんをこの役に当ててくれました!(感謝!)禅さんは真面目な役(フランツとかね)に取り組むとほんと泣かせてくれる役者さんだけど、パイレート・クィーンのビンガム卿みたいに黒いはずだけどアチャーとなる役もすごく上手で魅力あったし、ほんと間口がどんどん広がっていく素晴らしい人だね~。今回も、まさかいくら間口広いとはいえ、牧師さんと聞いていたから、てっきりシリアス系だと信じていて、いい歌声が聴けるのね、レミの司教さまみたくいい御芝居が観れるのね、と思っていたのよ。でも!!開けてみてびっくり・・・パンクな髪形、奇抜な衣装・・・そしてもう説教の内容と間合いのとりかた、そのシーンそのものが、説明したら面白くないから省くけれど、もうワンマンショー!?というくらい意外性に満ちてて、ひっくりかえりそうでした~v(^.^)v。山内さんやキムラさんにしても、武田くんにしても(ブラッドブラザーズをちらっと思い出すかも・・・)ほんと俳優さんのいいところをうまーく引き出して、料理法を熟知している感じで、すごいわ!とうなってしまったわ。ちょっとネタばれになるけれど、一番凄いのは、ひとこと!小栗さんがほぼステージに出ずっぱりということ。モーツァルト!のヴォルフなんてもんじゃないわ。うーん・・・・ふつうはどんなに出ずっぱりといっても、幕間はしっかり休みますよね~。しかし!!小栗さんはなんと幕間もずっとステージの上にいるんですよ!!しかも・・・これっていいんだろうか?と心配になってしまう、ある大変な「状態」のまんまで・・・。この作品子供には見せないほうがいいシーン(あ、もちろんショー化しているけど)などもあり、胸をべろんべろん見せてしまう女性がでてきて、えーっ!?これっていいのかしらん?大胆すぎる?と思っていたら、女性にみえたけど、ニューハーフなんですって。それにしても・・・・よく出来ていた・・・(←なにが?って聞かないで)小栗さんは文字とおり体張ってる。出ずっぱりのせいで袖にひっこまず衣装の御着替えもできないから、舞台上で生着替えをするんですよ。シシィの結婚式なんてものではなくって、ほんとに上から下まで順に全部着替える(といっても客席から全部見えないけど。それに、ぜんぶに見えて、実はダミーの下着(肌色のTばっく風)履いてるけど・・・遠くで裸眼で見たらわからないで、ぎょぎょっとするかも(笑)。それ以外にもこれはお稽古も本番も頑張ったね、といえる熱演で、この日もマチソワだと思うと頭が下がる。うーん・・・やっぱり舞台の人なのかもね。カリギュラのときほど声もつぶれてないし。これは普通の感覚ではなかなか続かない役じゃないなかあ・・・と思う。ということで、苦手かも・・・と恐る恐る思って観に行った作品、おおいに受けました\(~o~)/小栗さんはもちろんずっとアレックスなんだけど、橋本さんも禅さんも山内さんもキムラさんも・・・・いろいろな役でちょこちょこ出没しているので、ほーんとウォーリーを探せ気分になるかもね~(^^)。友人はマチネ観て、わたしも一緒の日をと思ったらソワレ取ってて、ずれちゃったね、せめて合間に軽食をとろう、ということになったけれど、食べ終わったら、友人は「一応当日券聞いてみる」となり、聞いてみたら、なんと1階席割といい席(超サイドだけど帝劇よりずっと観やすい。サイドとか通路席はこの作品美味しい。通路も一部だけど俳優さん通るし)があって、友人はえいっとマチソワすることになりました!(パンパカパーン!)わたしも1階上手サイドだったから結果、友人の近くで愉しむことができて、ほんと興奮の時間でした。わたしはこれっきりになるかもしれないけれど、もしかしたら楽近くにもう1回くらい行きたくなってしまうかも。あの小栗さん、橋本さん、禅さんを観られると思うと、うきうきしてしまうから。やっぱり食わず嫌いはしないで、いろいろ観に行くといいことあるなあと思いましたよ~。