大阪Mozart!(モーツァルト!)1/14-1/15 前楽・大千秋楽
大阪(梅田芸術劇場)Mozart!(モーツァルト!)、幸せなことに行ける機会ができたので1/14~1/15 と遠征してまいりました。1月14日ソワレの育三郎さんの楽、そして、本日1月15日の大楽、井上ファイナルです。本日興奮・感動・寂しさ・・・いろいろな気持ちが入り混じったまま遅く帰宅したので、まとまった感想はかけませんが、思い出すままにすこし書いておきたいと思います。このMozart!という作品、観れば観るほど深みを増し、本当にNo.1-2に入るほど大好きな作品です。2人のそれぞれの良さがある素晴らしいヴォルフ+魅力の個性、新しいコンスたち、しっとりした心情が伝わってくる新ナンネール、どんどん良くなって新しい魅力をだしてきた新男爵夫人。すごいの。初日付近はすこし違和感があるかな、なんて思ってても、ほんとに変わっていくのですから、良い方向に、ずんずんずん、と進化していく。そのセンスというのは、今回のキャストの方、みなさんすごい抜群なのですね。そしてずっと初演から演じていながら、脱皮していくように新たな部分を見せてくれ、ドラマチックな気持ちにさせてくれる市村パパ、吉野シカネーダー、しっかりと芯を見せてくれる阿知波さん・・ウォーリーを探せ!気分にさせてくれるアンサンブルの素敵なみなさん♪そして!!もう、その存在感と美しさ、声の波動でからだが吹っ飛んでしまいそうな迫力のある我らがコロレド猊下!!どの姿も劇的すぎてクラクラでしたね。毎回!観ればみるほど、なんて素晴らしい音楽、作品なのだろう、という気持ちになります。14日ソワレ。いつもぎりぎりのところで命を張って歌い演じていると感じられた魂のヴォルフ山崎さん。最後も心情がぐいぐいと伝わってきて、とくに1幕最後の劇的なアマデとのシーン、2幕フィナーレやはり劇的なアマデと再び命を1つにして果てるまでのシーン。どれだけ涙を流したことでしょう。ファイナル、という名前がつかなくても、十分ファイナルと感じられるもの、いつ最後になっても悔いはない、という言葉どおり、命そのものの脈動が伝わる素晴らしいヴォルフ。それを育三郎さんは生きぬいてくださいました。わたしの大好きなソニンコンス。気持ちのこめかたはまさにファイナルの深さがあり、ダンスは・・のソロ。やはり鳥肌。このコンスほど泣ける人はいませんでした。挨拶にも気持ちがこめられていて、とてもよかった。そして、わたしの大好きな美菜子ちゃんアマデ。東京で観たときよりもすごく進化・深化してました。この子は生来の女優さん?と思える場面が多くあり、目力の強さにどきっとする瞬間がとてもありました。いつも目で何かを訴えている、怖さも慈愛もあり、その力が凄い子だなと・・・。最期にまたヴォルフと寄り添い一体化して果てるときの、その言葉にし難い気持ち・・あふれるものがあり、涙なしには観られません。素晴らしいアマデでした。山崎ヴォルフと市村パパの関係性。最初は違和感のあった新男爵夫人がすごく良くなっていて、星金で号泣。親子のシーンほんとうにぎりぎりのところまで来ているそのことが胸を打ちます。せつなさ、がよく伝わってくる育くんヴォルフ。歌声も好きですが、演技のセンス方向性が大好きです。カテコの挨拶で、ヴォルフの定年は35歳らしい、僕はまた出たい、という気持ちもよく伝わってきましたよ。祐一郎さんはね、大阪でほんとに生き生き、伸び伸びしていてね、素敵すぎ♡可愛すぎ♡すごく細いのに、いったんコロレド大司教の衣装、これは武士の鎧兜だね、を着ると、もうほんとに別人になる。仮面ライダーやウルトラマンの変身と同じレベルだ!と思う!(笑)そのギャップが一番の魅力なのだけれど、今期の祐一郎さんの猊下。毎回凄いけれど、この前楽のコロレド猊下は、正統派コロレドとして、文句なく最高の迫力、説得力、魅力・・・あらゆるパワーが発揮できた、自慢の猊下でした。そして本日の15日いよいよほんとの大千穐楽になりました。もうこれで見納めという気持ちが最初から湧いてきて、墓場のシーンから奇跡の子のダイナミックな音楽が鳴るところから、いままでこの作品にかけた人たちの愛が押し寄せてくるようで、もう涙が勝手に流れてきてしまいましてね。大変でした(笑)こんなに泣いたのは初めてというくらい。あふれてくるのですね。本日は、大千穐楽にして、なんと劇的なことがいろいろとコロレド猊下に起こった日でして、これは1つの記念日になりそうです。登場シーンはもう、今までで最高?といえるくらい、嬉しそう!!コロレド猊下として舞台で生きられる喜び、ヴォルフガングという天才と対峙できる喜び、この作品と出会った喜び、無事にこうして大千秋楽を迎えられたよろこび、そういう祐一郎さんのたぶん感じているだろう「おおきな喜び・歓び・悦び♪」がもう、音符として跳ね、声の艶として添加され、マントの翻しとして表現され・・・。観ているわたしも、超ハッピーな気持ちになる。ヴォルフを支配しようとする心、しかし実はヴォルフの才能を一番知る、代理父のような猊下。その点、子供の反抗が自分との解離に向かう運命になるレオポルトはリアル父だからこそ吾身と切り離せず苦しみ抜くわけで、大父、小父・・・と仏教みたいだけどそんな「見守る側」の違いもあらためて面白いなと感じたり。馬車のシーン。前夜も「あら、出てしまった」感は猊下の手の動かし方で伝わってきて、ちょっとやばい感はあったのね。でも、本日大楽では、あらら・・・かなりの「量」が出てしまったのでしょうか?猊下は自分の「手」を確認して、あーあ、どうしよう?出ちゃったわ、的な動きを客席にも見せてくれちゃうもんだから、もう客席はひくひくと震えながら、大爆笑!たしかに本日の馬車の揺れは、かなりの危なさを予感されるものだったかんじね。しかも、本日は馬車から降りて、マントを再度羽織ってぶん!って気取って終わる最後のところ、偶然か狙ったか、その中間か?そのあたりは不明だけど、マントがひっからまってしまって、猊下のお顔のあたりをすっぽりくるむような、赤ずきんちゃん?着ぐるみ?ゆるキャラ?といった感じの可愛い猊下になっちゃって・・・もう大爆笑!!これって楽バージョンって言えるのかもね。こんなのは初めてみることができましたし、もうかわいくてかわいくて・・・。そして2幕の猊下が忘れられない猊下になったのです。なんと「神何故」でレオポルトとやり取りをした後の部分で、たしかに本日はすごいシリアスな迫力でぐいぐい来そうだ、という予感はあったものの、まさか「人間は教育できる!!サルでも!!」と叫んだあと、多分時間にしたら1秒もあるか?というくらいなのでしょうけど、歌詞を全部暗記してる濃いファンとしては数秒に感じられるほどの「間」(魔?)が空いて・・・あ!通常とのその違いを感覚的に察知したわたしたちは意識するまえに、心臓がどきってなるのですよね。そしてその「どきっ」を認識するか、しないかというその短い間に、もう祐一郎さんは、とっさの判断で、「調教できるっ!」の部分を、見事劇的な心の叫びという形で、劇的叫びセリフ調に表現され、たぶんすごい量のアドレナリンが噴出していたのでしょう。そのあとの部分、いつもの歌唱とはまったく違った、初めての劇的バージョンとして、わたしたちが息をすることもできないほどの緊迫感を保ったまま、狂気すれすれのような鬼気迫る力をもって、歌い上げ(叫びあげ?)たのでありました。まるで新しい曲を聴いたかのような新鮮な驚きと、起こり得るかもしれない小さな出来事を逆手にとって湧き出すパワーを勝利に変換する、すごいエネルギーを感じさせ、そして、たぶん色々な力が働くのでしょう。いまこの瞬間にふりそそぐあらゆるパワーを味方につけ、生の多分一生に一度しか観られえない、凄みに満ち溢れたコロレドの爆発的パフォーマンスをとして、観る者を揺さぶった。だからこそ、あの延々に続きそうな、ショーストップ状態になりえた、そう思います。ヴォルテージがどんどん上がる猊下、「おおお、神よ!!」のところでは、両手を大きく広げ、顔を上にあげ(2階だったので、こちらを向いてくれてるような気持に♡)まるで天を仰いで神に問いかけるそう!まるで一瞬「ジーザス」を思い起こさせる祐一郎さんが新鮮すぎて、くらくらときました。この後半部分の心臓の鼓動が3倍増しになりそうな、祐一郎さんのアドレナリン噴出を、観ている側も憑依されるというか、伝染というか、ほんとに同じ状態になり、心臓がバクバクと激しく鼓動したままの状態で、「わたしを惑わす無礼で!!傲慢!!うぬぼれ!!愚かな!男がつくっだっす!!」この後のあの無音状態を、さらに「真空無音状態」にしてしまったかのような、緊張感のある瞬間。これはいままで、味わったことのないものでしたね。怖さと興奮と歓びと・・こんなにいろんな感情が一遍に押し寄せるなんてね。思い出すだけで、心臓がばくばくしそうです。やっぱり生の舞台を生き抜く人のパワー、とっさに最良の判断をするその頭脳と運動神経。ともかく、祐一郎さんのそういう臨機応変の才能の凄さを久々に体で感じ取ることができた、運命的な日になったのでした。もう今日はこれだけで、特別感のある公演でしたが、後半、井上ヴォルフ、臨終に向かうにつれ、やはり観る側も運命的な気持ちが高鳴り、1幕以上にハンカチが手放せません。本人はカテコでは、愉しく演じることができた、という感想でしたが、走馬灯のようにヴォルフの人生が浮かんだと。そうです。観る側も、やはり「ファイナル」なモードがそれぞれの心の中にそれぞれの思い出をたぶん走馬灯のように、思い起こしつつ今日の最後の井上ヴォルフを見守った、そう思います。12年。やはりすごいことですね。爽快な満足感あふれていた井上くんのお顔。それを見守る周りのほうが神妙にみえました。その空気があったせいか、カテコのあいさつも本日は祐一郎さんも含め、まじめなテンションで、祐一郎さんはお天気のことに言及したせいか、市村さんから「お天気おじさん」と言われてた。祐さんはね、西田さんたちを前へ前へと押し出してて、優しいね♡特別サプライズゲストとして、今回は前のコンスを演じた西田ひかるさんがいらっしゃったり。静かな感動に包まれた優しい空気がしばし梅芸を支配しました。前夜は、楽を迎えた育三郎さんは、感激のあまり、客席降りをし、後方席のほうまで走っていき、みんなをびっくり喜ばせ、とくに2階に挨拶していたので、2階席に大きな喜びの声があがってましたっけ。本日は井上くんは客席に降りることはなく、ふつうにアマデとの可愛いやりとりがあり、愉しく去っていきました。素敵な2日間もあっという間に終わってしまって、過ぎた日の喝采♪じゃないけど、すでにノスタルジックな気持ちになりそうであります。心にぽっかりと穴があいたようで寂しいのですが、明日からまた現実に戻らなくちゃ。観ている側でさえこうなのですから、演じている側はなおさら衣装を脱ぎ、メイクを落とし、劇場を去り、一個人に戻るというのは、表現しがたい寂しさがあるだろうな、と推察できます。ほんとに心に残る素晴らしいこの作品をありがとう!!一番の願いは、ヴォルフやコンスが変わったとしても、祐一郎さんのコロレド猊下と吉野さんのシカネーダはずっとずっと続けて欲しいな。コロレド猊下は70歳くらいまで可能なのでは?と思えます。祐一郎さんの70歳は、フツウの人の55歳くらいに相当するのでは?と思えますから(笑)では、また!また何か思い出したら、追記します。