ダンスオブヴァンパイア 千秋楽 11/30
とうとう終わってしまいました。心ときめいた11月も終わり、「師走と共に去りぬ」私たちのお城、帝国劇城は幻のように感じます。でも、あの日のあの瞬間のときめきは今も心にちゃんと留まっていて、それを反芻してばかりの日々。なかなか魂がお城の世界から戻ってこれない、そんな感じの昨日、今日です。月に照らされたあの空間。音楽の変化とともに赤く色が変わる月。後をふりむかなくても、伯爵さまが近づいてきている。そのことは空気でわかります。伯爵さまが舞台に上がられ、雪がはらはらと舞い落ちる中、前奏が静かに始まり、そこから奏でられるメロディーとともに、私たちの魂も、ひそやかに伯爵さまの色に染まり始めます。闇の世界にずっと封印されていた伯爵さまが、この月夜の晩にそっと姿を現す。一言貴方が呼べば、誰だって鳥籠を抜け出します。もちろん。祐惑に目が眩むのは当然です。神が死に絶えて永遠に呪われた彼等。光を恐れてさまよっているはずの魂がこれほど、多くの人に光を与えてくださる。そのことがもうこの作品と祐一郎さんのもたらす絶大なるパワーの奇跡です。前楽、楽、とあっという間に過ぎてしまいました。大変にぎわった熱い熱い劇城でした。外の寒さを忘れるくらいでした。前方ではないですが、センターの見やすいお席で観られたこと、ありがたいです。伯爵さまの抑えがたき欲望でのダイレクトな息吹、メッセージ。深いまなざし。皆さんの生きるエネルギー。それをまっすぐに味わうことができ、至福なときでした。これほど美しく、これほど儚く、これほど深い、祐一郎さんの伯爵さまを今回じっくり堪能できたこと。日常生活になにがあろうと、きっとわたしとおなじように皆さんの心は歓喜と興奮で満たされ、寒さも心配事もいっときは忘れ、伯爵さまとお城の魅力にうっとりと身を任せ、この方のファンでいられることの幸せ。この方と同じ時代に生きられることの幸せ。それを心から噛みしめる瞬間が何度もあったに違いない。そう思います。細かいことは書きませんが、(千秋楽の動画等は、公式ページなどでどうぞ)ほんとうに幸せな11月でありました。お城が最後であること、それをちょっと忘れていたい。そう思っていましたが、幕間のクコール劇場で、西野さんの指揮つきで、静かに蛍の光が流れ、クコールのプラカードを観た瞬間。防波堤が崩れました。祐一郎さんは、いつ観ても、ほんとにほんとに言葉にできないほど、素晴らしかったです。そして、誰も寂しい思いをしないよう、いつも気配りをしてあげて、優しさにあふれた人。(新レベッカさん、楽の日にさりげなく手をつないであげていましたね。そして新上さんの楽には、マイクを近づけてあげたり、前にえいっと押し出してあげていて。あの声には祐一郎さんも笑撃を受けてましたね。微笑ましかったです。そして、楽日に訪れた神田サラにも最後にハグしてましたね。)ときには見守るような気持ちで、そしていつもその日が素晴らしい日になるよう、心から祈りつつ応援しました。その気持ちが届いたかどうかわかりませんが、ずっと素敵で美しく、歌声もそしてその存在感も、ほかに代わりはいない。心から確信しました。それだけではないのです。やはり歌や演技、存在感オーラ。それらは勿論ですが、あの伯爵さまのバックグラウンドに感じる哲学性、気品、ノーブルな空気。演出の素晴らしさは勿論あるのでしょうけれど、やはり、もう山口祐一郎以外に、この伯爵さまの世界を創りあげることができる人はわたしには思いつかない。そこにたたずむだけで絵になり、魂が惹き付けられてしまう。それほどの魅力、魔力を持つ人を私は知らない。墓場でのあの世界感の創り方、空しさ、虚しさ、というその空白であるはずの言葉にさえ、心拍が上がってしまいそうな、劇的に揺さぶられるなにかを感じさせてしまう、その存在。やっぱり100年に一回の逸材としか言葉がありません。さっと最後の幕が降り、劇城が封印される。やはり寂しさがないといえば、嘘になります。またこの劇場でお会いできる日を祈って・・・という言葉。ほんとにその日が来ることを心から祈ります。祐一郎さんの伯爵さまは自分にとってかけがいがなく、永遠に続いてほしい存在。祐一郎さん、ほんとにありがとうございます。そして、みなさま、本当にお疲れ様でした。