ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 2016.9.24
『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』9/24 (千秋楽)(紀伊国屋サザンシアター) 雨の中出かけてよかった! ほんとに素晴らしかった! 橋本さとしさんはゴッホ役。岸さんは、ゴッホを色々な意味で支えていた弟のテオを演じ、 それ以外にも、厳格な父親や、画商の人や、それから、ゴーギャン役と演じ分けてました。 さとしさん。最近すこし心が離れかけてた・・・・のですが、 もう最高!!なゴッホでした。 取材番組でも言ってたけど、この役と対峙すると食事が通らないんですと。 ほんと、そのとおりで、すっかりスリムに戻り、むしろ研ぎ澄まされたシャープさが痛々しいほどの 痩せっぷり。でも声はよく出てた!むしろ昔よりよく出ていたのでは? そして昔から好きな演技をするさとしさんだけど、この役はほんとに似合ってた。 出ずっぱりのさとしさんをじっくりみられてホントしあわせ! 白いシャツにサスペンダーで、髪型もソフトなふわっとした素敵な髪型。 上着を脱いだり着たりする姿もいいなあ。 靴はモカシンぽい上質な感じ。 苦悩するシーンはすこしレベッカのマキシム祐一郎を思い出した詩もしました(*^_^*) 名画を描いた人はさぞもてはやされてたのでしょう?というイメージがあるけれど、 モーツァルトと同じで、生前は苦悩のほうが多い。 それを生身の身体でみごとに演じきってた。 もちろん、愉しい気分のときは、愉しいさとしさん。音楽もそれなりに飛びまくる楽しさ! 岸さんもアップツリーのときは、身体が緩んでる?と思ってたけど、 この作品の演じ分けは素晴らしかった! そして声はアンジョの頃と同じくらい張りがあって素晴らしかったな。 ああ、このふたりに今度のレミゼで、バルジャンをやって欲しいなって思った。 ほとんど大道具はない部屋なのですが、プロジェクトマッピングによって マジックのように景色が変わる変わる! 初っ端から、もう○○ランドのアトラクションのようで、なんと素晴らしい! 平面1つでなくて、側面ともつなげたパノラマ風の背景部分に、ゴッホの色鮮やかな 色彩の絵画が映し出され、そこをまるで自分の脚で進んでいくように見える導入。 ずっと歩いていくと、そこはゴッホの住処になり、扉を開くとそこが部屋になる。 もう導入部でブラボーと心が叫ぶ。 そのあとも、彼らが手にするキャンバスも、常に白紙なのだが、手品のように そこにも絵画イメージが映し出され、壁にも、その場面にあったマッピングが施され、 実に自由で明るく、ときには暗く、そして動きのある、緩急自在な色付け味付けがつぎつぎとなされ、 ほんとに技術の進歩ってすごいなと心から感嘆。 レミゼ新演出の動く下水道なんてもんじゃなくて、全体がそれらの動く背景によって 大きく色づけられ、深い意味合いを帯びてくる。 えええい!とイメージを振り払いようにゴッホが手をうごかすと、背景も散り散りに消えたり、 魔法使いサリーのように手を振れば、そこには、新たな景色が現れる。 もう虜になりましたわ。 最後の最後、一面の麦畑で、自分の胸をピストルで撃つところだけ、 タダの壁だったところが開き、ほんものの麦がむき出しに表れて、 やけに生々しく、これも大事な演出なんだなって思ってどきっとした。 ピストルの音だけ鳴り響く、悲しい結末。でもこれが真実。 30代でこの世を去る。テオも後を追うように30代で、痴呆で亡くなった。 さとしさん、前の番組でも、この作品、愉しい場面は20%くらい?とか言ってたけど、 それでも、苦悩する場面そのものもドキドキと楽しめるくらい、迫真の素晴らしい演技で。 もう、ほんとに惚れ直しました。 父親にひれ伏す時、狂ったようにゴーギャンに傾倒しすぎて、本人が来ても つい異常な執着をみせてしまって、去られてしまうときの、赤子のような叫び。 何をしても、演技が自然なので、どきどきしながらも安心感がある。 ミュージカルといいながらも、芝居部分がしっかりしてるんだわ。 やっぱりさとしさんの舞台はいいな、と。 千秋楽だったので、終わったあと、スタンディングしたみんなをさとしさんが、 「長くなるからいったん座ってもらおうかな・・」といったあと、 「あ、でも、このオールスタンディングの光景が死ぬほど好物なんですよぉー もうちょっと観ていたいな〜」ということで、 みんな、座らずにそのままオールスタンディングのまま、大拍手喝采!! それを嬉しそうに全身であびるふたり。 そして、さとしさんから挨拶。 もうすべてやり終えてほっとしたのか、荷を下ろした笑顔+大阪弁でまくり!よっ!さとしさんって感じで。 もうほんとに僕を支えてくれたみんながいたからこその作品。 僕が、手をうごかす位置がずれまくっても、ちゃんとフォローしてくれる演出さん、 照明さん。 僕が、つい力あまって壊してしまっても、それを残業して直してくれた小道具さん。 僕が、つい演技がおおきくて、やぶってしまった衣装を毎回直してくれた衣裳さん、 天然パーマで、今はこんな風になっちゃってますが、毎回綺麗にストレートに直して くれるヘアメイクさん。ほんとにほんとに感謝!!と。 そして、ずっとこんな僕をコーラスでも演技でも支えてフォローしてくれた弟。 (歌うのを忘れて、岸さんにほら歌って!と言われたりしたそうで・・・) 岸さんは、「ちゃんと名前を言ってよ」とせがんでました(*^_^*) 今日だけなのか毎回なのかわからないけど、 そのあとレミゼみたいにお花なげがありました。 (ひまわりです。) リピータの方も多かったみたい。 再演があったら絶対に見に行きたい作品です。