さよならマンダレイ♪
とうとう終わってしまいました。夢のようなマンダレイ訪問の日々も終わり、気が付けば魔法の解けたあと、馬車がかぼちゃに戻ってた?そんな気分です。溜まったお仕事がたいへんで詳しく書く時間がないのですが、先月末から千秋楽まで飛び石の感覚で通いましたので、いまへろへろです~(^_^;)マキシムロス、レベッカロスになりそうですが、仕事があるのでそう反芻してマンダレイの世界に浸ってもいられないのがつらいところ・・。祐一郎マキシムの告白の中の「レベッカぁ~♪独りだった・・♪」とか、「ロンドンでは自由にしてもいいが、ここではもう許さない!これが最後だっ!!!」いう声や扉の締まる激しい音などが、まだ脳内に響いてます。そのほかのメロディーも実に素晴らしいものばかりで、いろいろな音が脳内で常に流れ続けてます。「ワックスをかけて♪」とか、「あの方はここに~いる~♪」とか「どんな絵を描いてるのか~♪」とか「過去など乗り越えて~♪」とか、「ミセスドウィンターはわたし♪」とか、ね(*^_^*)クリエ1月6日の崩れ落ちるような涙等で顔がぐしゃぐしゃの激しいマキシムの告白はその後はありませんでしたし、壊されたキューピッドを抱えてあそこまで涙を流す保坂ダンヴァースも私が観た日ではその日限りでした。おもえばある意味貴重なクリエ初旬だったと思います。でも、ある時期喉の不調を抱えながらも、それを回避しつつそれでも最上級のものを客席に届けられるよう、あらゆる手立てを講じ、多くの人を魅了するかっこよく、しかも重さ・闇を抱え込む気難しくミステリアスな裕福な男、マキシムをここまで素晴らしい熱と集中力で演じきれたこと、どこにもいない世界一のマキシムです!!それは本当に素晴らしいこと。崩れ落ちなくても、劇画のように綺麗で何度みても臨場感を欠くことのない適度にコントロールを効かせた素晴らしいマキシムの告白。桜井さんファンの方が隣だったとき、最初体ゆらゆら~顔拭いたり・・で落ち着かなかったりしてましたが、彼らもちゃんと劇的告白の祐マキシムにくぎ付けになり見入ってました。そして千秋楽のご挨拶でもあったように、涼風ダンヴァースも、珍しく不調で1幕でピンチが訪れた日(28日ソワレ)を観劇いたしましたので、ほんとにその間は心臓が音をたてるほどドキドキ、ハラハラと、そして、どうか今日の最後まで切り抜けられますよう・・・と、泣きそうな気持ちで見守り祈りながら観ましたが、見事2幕ではあらゆる努力・工夫いろいろでちゃんとピンチを切り抜け、(カテコではごめんね!ポーズあり)その「何者にも負けない」心の強さと柔軟さに心からの尊敬をおぼえました。だから涼風さんのそれを思い出したあのご挨拶(ベストの状態で舞台に臨むことの難しさ大切さを感じた)にはこちらもじわっと来てしまいました。この素晴らしいお方でもこんなことがあるんだ、ベテランと言われる立場になったとしても、いつどんなピンチが降りかかるかわからないのが生の舞台・・ほんとに皆さま毎回命がけで戦っているんだな、ということがわかり、舞台役者さんというのはなんと大変なお仕事なんだろうと・・・。そして次に見たときには見事にパワフルなお声に復活されていて、心から歓びを覚えました。もう一人のダンヴァース保坂さんも、前半とは打って変わって、ハートの痛みがぐんぐんと迫るように伝わってくるドラマチックなダンヴァースになってきて、涼風さんほど派手ではないけれど、内面的にぐぐっと突き刺さるもの、存在感は絶大でしたね。プロローグ、最初にずらっと並んだ後姿のみなさんが(レベッカのイメージに向かった状態から)、ひとりずつこちらに振り向き、役に入るわけですが(圭吾さんの振り向き方かっこよかったね!)、ずっとレベッカを見つめつづけ最後の最後に、振り向くのが、ダンヴァース。エピローグでも、最後の最後にカトレアをレベッカの残影としてそっとステージ上にスポットとしてカトレアを立てた姿残して去るダンヴァース。レベッカへの愛というか執着というか、思いや情念の残り方が他とは違うことが今回プロローグとエピローグにくっきりと表れていました。ほんとにどちらのダンヴァースも素晴らしかった。イッヒ三人も、それぞれの良さがあり、それでもやはり初代の大塚さんのイッヒにはいちばん共感を感じられ、マキシムに対する表現などには、一番じわっとくるものがありました。ヴァンホッパ―(モリクミ)さんは、最初は寿さんと比べてしまい、すこし軽すぎるかしら?と品格がないか?とも思いましたが、まあ作品としては成金のアメリカ人を揶揄っているようなところもあり、不器用で無様で不作法で・・エレガンスがない!♪と歌いながら、そのご自身がそれのどれをも持ち合わせてないからこそ笑えるのかな?と、この軽さも案外適任かと思えた次第。前楽でマキシムの接吻を惜しいところで逃したので、千秋楽ではゲットなるか?と期待しましたが、おおお!いっちゃうのか?という。寸止めな感じで、惜しかった~(笑)新しいクラリスを演じられた島田さん、マキシムたちを迎える前に慌ててちょこちょこと最後列に並ぶ姿とか、イッヒのお着替えを手伝う嬉しい姿、イッヒと一緒に心が成長したりわなわなとなったり、シンクロしている新鮮さ・優しさがとってもよかったです。また新しいフリスの朝隈さんの、御爺さんぶり(とくにフランクとのシーンで招待客リストを老眼の目で遠ざけながら分類する姿!!)面白かったし、声がとてもよくて映えますね。ベテランの武内さんや河合さん初め、あとのアンサンブルさんたちもみなさん動きも声もほんとに素晴らしかったです(*^_^*)そしてそして!そして!祐一郎マキシム様は、ほんとにどの一瞬を切り取っても、そのまま絵葉書にできそうな、美しさと劇的な魅力に満ち、このようなお方はもうこれから現れないだろうと思い、毎回胸がぐっと締め付けられるような気持ちで、そしてうっとりもしながら、拝見しておりました。衣装がぐっと素敵になり、演技も歌も2008や2010と比べても断然深みが増し、マキシムそのものの風格。そして闇の深さやそれを乗り越えようとする気持ちまでダイレクトに伝わり、ヴァルジャンのように、ひとりの苦悩に満ちた男の人生を一緒に味わったかのように満足感がありました。最後の御爺さんマキシムのあの「待受ける、試練にも、絆があれば~~♪」の歌声そして、後ろ手で、イッヒの手を待ち受けるあの大きな祐マキシムの片手!!イッヒにすべてを打ち明けそして最後はそこにすべてを委ねるその手!!思い出してもじわっと来ます。祐一郎さんがこの役に再び出会えた歓びが、緊張感あふれたどのシーンにおいてもダイレクトに伝わってきて、ほんとに思い出せば素敵な時間でした。まさに見る側にとっても、振りむけば~マンダレイ♪です。クリエは舞台が非常に近いものですから、心臓が飛び出そうなお席を頂いて、夢みているような時間を味わうことができた日もあり、もう思い出の瓶に詰めてあります。祐さんの声はシャープになることもあり、緊張感に満ちることもあり、そして、結婚をイッヒに申し込んだときの「なんだと思った?」の声の響きとかたまりません!そして、何度見ても面白く、すっきりと仕上がった今回の流れでは眠く成る隙間もなく、そして、いろいろな点でまだまだミステリーが残り、語り尽くすことのできないほんとに良い作品で、祐友さんたちともお話が色々と盛り上がりました。原作ですと、レベッカは余命6週間の病気を宣告されただけでなく、子宮の変形により子供をもてない身体だったと分かった、というエピソードもあるため、そうなれば、レベッカの心中は実はかなり複雑であったと思われますし、ただの「嫌な女」「憎むべき元妻」というだけではないと思うし、マキシムへの気持ちにもかなりの屈折があったと思いますので(屈折した愛・・念でしょうか)・・。舞台の脚本としては、そこまで盛り込んでしまうと分かりづらくなるので、すっきりとさせていますが・・。前楽、千秋楽では、いろんなものが舞台に落ちてころがったりしながらも(ヴァンホッパ―のオペラグラスのパーツや、舞踏会のグラスとかね)カテコでは、祐一郎さんは「マキシムさん家ののっぽさん」として司会をつとめられ、イッヒ・ダンヴァースさんたちへの最高の愛とユーモアの詰まった素敵なご紹介をしてくださり(前楽では、保坂さん=火をふくゴジラ、平野さん=宇宙人(平野さんのアニメ声を祐さんが真似したのが超面白かった。保坂さんが私は火をつけて屋敷を燃やしてしまいましたが・・・といったとき祐さんが口から火をがおっと噴くのも愉しかったです)(楽には、大塚さんと初めてあったころの話、「娘をよろしく」と親御さんに挨拶され、え??いいんですかあ?と思ったと(*^_^*)。大塚さんのパパと祐さんが同い年、どっひゃー!とショック受ける祐さん。涼風さんとは、マディソン郡では3日間の愛を誓い合ったのに(ほんとは4日だよね、と心で皆つっこみましたね!)なのに!!この作品ではチェスのシーンで、「うれちいわぁ!」(祐さんのイッヒの真似する声と表情がもう可笑し過ぎ)のシーンでうしろからダンヴァースがごほん!と怖い顔で現れると・・・)マキシムから祐一郎に戻って、愉しく盛り上げてくださり、客席も笑いと愛でいっぱい。ほんとにたくさん喋ってくれた可愛い祐一郎さんをみられて幸せ~♪思い出せば、本当に素敵な日々でした(*^_^*)ちひろリン♪じゃないけど、このもらった愛おしい瞬間たちを祐一郎さんの優しい笑顔とともにしっかりとビンにつめて(ドロドロにならないようメンテ?して)大事にしたいと思います!祐さん、みなさん、素敵な思い出をほんとにありがとうございました!(*^_^*)!前楽の知寿さんのご挨拶では、マキシム様が資金を出してくれたら再演!?もあるかも!?な感じのお話でしたが、千秋楽では、特に再演の発表もなく・・・。寂しいけれど、2~3年後ぐらいに再演がまたあったらいいなあ、とつい夢見てしまいます。それほど素敵過ぎるマキシム様とマンダレイの世界でした。祐一郎さんが去ったあとの日比谷には、冷たい雨が・・涙雨でしょうか?また笑う男でお会いできる日を楽しみに待ってます(*^_^*)(自分がレベッカ初演(2008)の前に原作を読み映画を観たりして、祐一郎さんがどのようにこの重い役を作り上げていくか期待を寄せている記事などを改めて読み直してみますと、当時はこのような闇を抱えた重い男の役、に対して、こちら側としてはすごく高いハードルだと(失礼ながらも・・)どこかで思っていたようですが、いま思うとやはり祐一郎さんという俳優さんはこちらが予想をしているはるか斜め上をいく方なんだなあ、最終的にはドカンと大きなものを必ず胸の中に残して去っていかれるお方だなあ、としみじみ感じる次第です。)